人形劇とりんご並木を愛し、エコツーリズムを推進する南信州の環境文化都市

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ごあいさつ(市民の皆さんへ)

 昨年の東日本大震災は大きな時代の転換と位置づけられるのではないでしょうか。これまでは「戦前、戦後」という言い方で現代を位置づけてきましたが、これからは「震災前、震災後」という位置づけがなされるように思います。戦後の高度成長期からバブル崩壊を経て「失われた20年」と言われる震災前の時代に対して、震災後のわが国はこれまで以上に「人と自然との結びつき」「人と人との結びつき」を重視する傾向が強まるものとみています。
 一方、当地域では昨年リニア中央新幹線のルートと駅設置が確実となり、三遠南信自動車道、リニアといった大規模交通インフラを見据えた地域づくり、即ちプラス面の効果を最大限に活かしつつ、ストロー効果などのマイナス面の影響を最小限に抑えるための地域づくりが2027年のリニア開通までに求められると捉え、飯田下伊那を挙げてリニア将来ビジョンを策定し、これを南信州広域連合の広域計画や飯田市の第5次基本構想後期基本計画に組み込んできました。このリニア将来ビジョンで示された対外的な地域像が「小さな世界都市」「多機能高付加価値都市圏」です。

 「震災後、リニア開通前」の15年間を俯瞰したとき、私たちの地域が目指すところは、経済的豊かさと精神的豊かさを兼ね備えた多機能高付加価値都市圏の創出、換言すれば「飯田の豊かさを享受できる学術研究都市」と考えています。
 「学術研究都市」と言うと、これまでの右肩上がりの時代につくられた研究機関の建物が林立する研究学園都市をイメージするかも知れませんが、ビルや工場などのハコモノを移植するような20世紀型の地域づくり・産業づくりは、人口減少、少子化、高齢化が進む一方で、国の借金(国債及び借入金などの合計)が1千兆円を越える程の深刻な財政難に陥っている現状では、もはや限界と捉えています。そもそもこうしたハコモノ移植型の地域づくり・産業づくりは、言わば痩せた土地に植林をして、水やりや剪定などの手入れもせずに放置しておくようなもので、その後の環境変化に耐えられず、頓挫してしまうことがままあったように思います。
 昨年、飯田市の第5次基本構想前期基本計画の振り返りを行いましたが、「環境モデル都市」や「南信州定住自立圏」の取組やリニアへの対応、あるいは緊急経済対策など、当地域にとって極めて重要な施策が計画当初には想定されておらず、この5年間における時代の急速な変化に改めて目を見張ったところです。こうしたこれまでの知見を踏まえて、「飯田の豊かさを享受できる学術研究都市」は、21世紀型戦略的地域づくり・産業づくりによって進めていく必要があると考えます。植林に例えれば、木がしっかり根付く肥沃な土壌づくりを行い、芽出しから水やりや剪定などの手入れを入念に行って、環境変化に耐えられるよう深く根を張った大木に育てて、多機能高付加価値の果実がたわわに実るが如く、施策や事務事業を自立的かつ自律的に結実させられるようにするものです。

 今後のさらなる環境変化に対応し、経済自立度の向上による経済的豊かさと、自分たちの地域に愛着と誇りを持ち、学びの魅力を有する精神的な豊かさを併せ持つ「飯田の豊かさを享受できる研究学術都市」の実現の重要な要素となるのが「学輪IIDA」に代表される「知のネットワーク」と捉えています。
 大学の教授や研究者の皆さんは、同じ大学に属していても、学際的共同研究などは例外として、基本的には個々自立して調査研究活動を行っています。これに対して「学輪IIDA」は、当地域を学びの場として集まった様々な教授、研究者のネットワークです。つまりこれまで関係づけられていなかった様々な分野の専門的人材が飯田の学びの魅力に惹き付けられ、当地域をモデルにした取組を実践するために繋がったのです。
 このように誕生した「知のネットワーク」がどれだけ創造性を有したものになるのかは、今後の取組に負うところが大きい訳ですが、創造性豊かな多機能高付加価値都市圏を目指す21世紀型戦略的地域づくりにおいて、「知のネットワーク」の機能は3つ挙げられると思います。

 一つとして、地域を起点とした人材育成機能です。いわゆる四年制大学を有しない当地域において、大学設置はリニアと並ぶ長年の悲願ですが、人口減少、少子化の現状において、従来のハコモノ誘致的な考えでは実現は大変困難であるし、リスクが大きい割に効果は限定的になる可能性が高いと思われます。むしろ、「学輪IIDA」を中核とした大学連携を基軸とし、地域を丸ごとキャンパスと捉える飯田インター大学の構築を目指した方が、地育力による心豊かな人づくりに繋がるものと考えています。現在取組を進めている小中連携・一貫教育や高校教育とも結びつけることで、当地域における人材育成の基軸を形成していきたいと考えるところです。

 二つとして、クラウド機能が挙げられます。これは、「飯田市にとっては必要に応じて必要な知見を取り出せる」機能です。「学輪IIDA」では、飯田市は政策立案に必要な時に専門的な識見を、この「知のネットワーク」から得ることが可能になることから、「大学機能のクラウド化」と言える訳です。

 三つとして、米国のシリコンバレーや欧州のサイエンスパークのような産業ダイナミズムの創発機能が挙げられます。創設間もない「学輪IIDA」では未だそこまで目に見えた成果があがるまでは至っておりませんが、この機能は当地域の経済自立度向上に直結するものであり、現在取り組んでいる航空宇宙などの産業クラスターづくりとの結びつきをいかに強めていくかが今後の課題と捉えているところです。

 このように「学輪IIDA」を核とする「知のネットワーク」づくりは、「震災後、リニア開通前」の当地域において、21世紀型戦略的地域づくりを進めるうえで極めて重要な要素となると考えております。私と致しましては、こうした地域づくりをはじめ第5次基本構想後期基本計画に掲げた取組を地域一丸となって着実に進めていくことで、次世代に継承できる飯田らしい真に豊かな地域を実現できると考えています。

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