学校部活動の地域クラブ活動への移行に向けた取組について
1 取組の背景
なぜ今、部活動を改革するのか
中学校の部活動は、異年齢との交流の中で自己肯定感、責任感、連帯感の涵養等に資するとともに、主体性の育成にも寄与するものとして大きな役割を担ってきています。しかし、社会の変化や少子化等の影響を受け、様々な課題があります。
飯田市教育委員会では、スポーツ庁・文化庁からの部活動の地域移行の提言も踏まえ、学校だけでなく地域と一体となって取り組むことで、これからの時代の「豊かな文化芸術・スポーツ環境を創造」していきたいと考えています。
学校部活動における課題
【課題1】
生徒数減少に伴う部活動数の減少と競技や活動の選択肢の少なさ
【課題2】
専門的な知識や競技経験が少ない教職員による指導と教員に頼ってきた指導体制
=地域指導者の確保と育成 教員の働き方改革
これまでの取組
平成30年度に実施した部活動の実態調査を踏まえ、学校教育における取組として「部活動の適正化(冬季ジブン・チャレンジ期間の導入)」、地域における取組として「新たな活動の場づくり(全市型競技別スポーツスクールの開設や文化講座の開催など)」に取り組んできました。
※詳細はこちらをご覧ください⇒自ら考え活動する子どもたちの育成を目指して (PDFファイル/8.5MB)
2 考え方・取組の目的
(1)基本的な考え方
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異年齢との交流の中で自己肯定感、責任感、連帯感の涵養、主体性の育成という意義を大切にし、中学生の*ウェルビーイングを中心においた、より良い文化芸術・スポーツ活動の場を学校・保護者・地域が連携し、地域ぐるみでつくっていくことを共通理念とする。
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全ての市民が生涯にわたって文化芸術・スポーツに親しむことができる環境づくりを行う。
(2)取組の目的
中学生がウェルビーイングを感じながら、地域の中で主体的に様々な文化芸術・スポーツ活動に取り組むことを通じて、心身の健やかな成長と豊かな社会性を育む
ア 生徒がやりたい文化芸術・スポーツをできる地域環境をつくる
イ 生徒が文化芸術・スポーツの楽しさを実感できる場をつくる
ウ 生徒が生涯にわたり文化芸術・スポーツに親しむ意識と習慣を育む
エ 高い技能レベルをもつ生徒を地域で育む
※ウェルビーイングとは…楽しい、熱中する、仲良く、充実感を得られる、成長する等のさまざまな生徒の欲求を踏まえた心も体も健康で幸せな状態
3 方向性(取組目標)
まずは『令和8年度末までに休日の学校部活動を地域クラブ活動へ移行』を目指します。
4 休日部活動から地域クラブへの移行のイメージ
以下のような考え方のもと、各種目(分野)の実情に応じて段階的に進めます。
(1)生徒への影響を少なくするため、現在休日に活動をしている部活動の一部を拠点校部活動として行います。顧問に加え、地域の指導者に関わっていただくことで、将来的な地域クラブ活動の運営を担う人材発掘につなげたいと考えています。
(2)生徒が多様な種目(分野)にチャレンジできる環境づくりを進めるために、現状調査と並行して試行的に実践していきます。
将来的に、この取組を通じて、学校教育の一環として学校が実施してきた学校部活動を、社会教育の一環として地域団体が実施するクラブへ移行します。このことにより、中学生を含む全ての市民が、生涯にわたって地域で多様な文化芸術・スポーツ活動に親しむことができる持続可能な活動環境をめざします。
休日部活動から地域クラブへの移行のイメージ (PDFファイル/187KB)
5 具体的な取組
(1) 学校部活動⇒拠点校部活動⇒地域クラブ活動への移行 (PDFファイル/174KB)
単独校での活動継続が困難な種目からスタートします。ここに示すエリアを基本とし、活動内容によって柔軟に対応していきます。
(2) 多様な種目(分野)に安心してチャレンジできる環境づくり (PDFファイル/80KB)
生徒が楽しさを実感し、主体的に取り組める環境づくりのために、これまで飯田市が行ってきた取組の更なる充実を図ります。
ア 全市型競技別スポーツスクール・文化芸術講座の充実
- 全市型競技別スポーツスクールや文化講座等、関係団体や民間等との連携による中学生の志向や地区の実状に応じた新たな活動の場の充実を図ります。
イ 生徒の主体性を育む冬季ジブン・チャレンジの拡大と充実
- 筑波大学と連携を図り実施している冬季ジブン・チャレンジ期間におけるこれまでの取組を市内全中学校に展開していきます。
ウ 適正な活動時間の徹底
- 生徒の心身の成長に配慮した活動の適正化の継続、部活動総時間数の徹底
- 活動指針の遵守、保護者や地域指導者への意識啓発,指導者の心得6カ条の共有
- 部活動地域移行の目的や活動の適正化に対する保護者や地域指導者への理解促進
(3) 地域クラブ活動の組織・体制づくり (PDFファイル/493KB)
ア 運営団体について
運営団体は、将来的にはスポーツ協会、総合型地域スポーツクラブ、各競技団体等が担い手となり、中学生の文化芸術・スポーツ活動の機会をつくっていきたいと考えています。
イ コーディネーターの配置
部活動の地域クラブ活動への移行を踏まえ、学校と地域をつなぐ「部活動地域移行支援コーディネーター」を配置し、地域における文化芸術・スポーツ環境の充実に向けて学校と地域との連携を図ります。
ウ 指導者の質と量の確保(部活動指導員の配置と研修制度)
- 指導者確保のためスポーツ関連団体、文化関連団体等に働きかけ、指導者バンクを作成していきます。
- 市活動方針、指導者の心得6カ条の共有ならびに生徒が主体となるクラブ運営の仕方について大学等の専門的知見から学び合う機会を継続し、指導力向上を図ります。
- 平日の部活動顧問と休日の地域指導者との協力・連携を密にしていく仕組みを構築していきます。
エ 飯田地域クラブ連携ネットワーク (PDFファイル/73KB)
「飯田地域クラブ」とは、飯田市に存在する中学生が活動する地域クラブ活動の緩やかな集合体をイメージしています。安全安心な活動環境づくりのための管理・研修等を検討していきます。
ア 生徒、保護者、地域の方々の理解の促進
・移行に向けた取組状況を随時発信していきます。
イ 飯田市の目指す方向、推進計画のリーフレット作成と配布
・理解促進のための説明会の実施
6 令和6年度からの取組
【ポイント1】拠点校部活動がスタート
単独校での活動継続が困難な種目からスタートします。以下に示すエリアを基本とし、活動内容によって柔軟に対応していきます。
【Aエリア】緑ヶ丘中・竜東中・竜峡中・遠山中
【Bエリア】高陵中・飯田東中・飯田西中
【Cエリア】鼎中・旭ヶ丘中
【ポイント2】地域指導者による指導体制の充実
拠点校部活動では、顧問のほか、地域の指導者にも指導していただきます。さらに、拠点校部活動から地域クラブへの移行を検討していきます。
移行スケジュール(イメージ) (PDFファイル/99KB) (教育委員会情報誌Hagu第20号に掲載)
7 検討経過
これまでの会議録等は以下のリンク先からご覧いただけます。