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市長エッセー(散歩道)その131~140

印刷用ページを表示する 掲載日:2017年2月14日更新

飯田市長・牧野光朗が日々感じたことを記していきます

131 南信州次世代会議が模索する「たまり場」 (広報いいだ平成27年12月1日号より)

 この度の南信州次世代会議との懇談会は、若い皆さんの地域に対する思いを直接聞くことができ、大変有意義でした。その際、様々な仕事や活動をしている皆さんが集まる「たまり場」をどう確保するかが話題になりました。
 ここで想定される「たまり場」は、単に気楽に集っておしゃべりをする場所としてだけではなく、いつ行っても誰かがいて、様々な地域づくりの話を誰とでも自由にできる場所です。欧米ではこうした平らな議論は「円卓会議」と称され、日常的な「円卓」の場として、ドイツには「シュタムティッシュ(常連のテーブルの意味)」があります。あるいは産学官協働を意識して「プラットフォーム」と称されることもあります。
 いずれにしろ、南信州次世代会議の皆さんは、この「円卓」の場から実際の地域づくりや産業づくりに繋がる共創の機能が発揮できるようにしたい、と考えてその設置を模索しているようです。これはまさに「共創の場」づくりの過程であり、私が大分にいた頃、別府市の竹瓦温泉前にあった「サロン岸」が担っていた役割そのものです。飯田では若い皆さんが自らつくろうとしています。大いに期待するところです。

132 アップルワインが醸し出す以心伝心 (広報いいだ平成28年1月1日号より)

 NPO国際りんご・シードル振興会の後藤高一理事長さんから、「4月に開催されるフランクフルトの国際シードル見本市に飯田のシードルを出品したいので、現地の通訳を紹介いただけないか」とのお話がありました。
 この「シードル」、フランクフルトでは「アップルワイン」として昔から広く親しまれていて、既に17世紀にはアップルワインの搾り器の衛生規定が定められていたとのことです。また、市の中心部には「アップルワイン博物館」がありますし、アップルワインが飲める専用の路面電車も走っています。私も当地の駐在員だった頃はよく飲んでいました。
 こうした本家本元に飯田産を持ち込もうというチャレンジを意気に感じ、早速、クノーブラオホ眞澄さんに電話をしました。彼女はフランクフルトの日本人社会のキーパーソンで、平成17年10月に飯田市で開催した「日独地域国際化サミット」にも講師として来飯されています。先方も丁度この見本市があることを連絡したかったとのことで、当方の依頼にも二つ返事で引き受けてくれました。「アップルワインはりんご、りんごと言えば飯田」と気にかけていただいたようで、まさに以心伝心を感じたところです。

133 「善い」と「良い」 (広報いいだ平成28年2月1日号より)

 新春記者会見で発表した今年の年頭所感では「善い地域」を採り上げました。そのきっかけは、昨年8月に国の経済財政諮問会議の下に置かれた経済・財政一体改革推進委員会の委員を拝命したことにあります。国の深刻な財政状況に鑑みれば、当委員会の議論がコスト削減中心になってしまうのは致し方ない面はありますが、この右肩下がりの時代、それだけで地域の課題が解決する訳ではありません。そこで今一度私たちが本当に住みたいと思う「善い地域」について考えてみることにしました。
 記者会見では、「善い地域」の「善い」は何故「良い」を使わないのか、との質問を受けました。一般的には「良い」は質がよいことを表し、「善い」は行為がよいことを表すようですが、私の解釈としては、「優良可」のように「良い」は他と比較して相対的によいことを意味するのに対し、「善い」は人間の最高の価値を表す「真善美」と言われるように、誰から見てもよいとされるものを表すと捉えております。
 我が国固有の文化伝統を色濃く残す「ニッポンの日本」を標榜し、体験教育などでも本物志向をうたってきた当地域は、「良い地域」よりも「善い地域」を目指す方がふさわしいように思います。

134 地域を学ぶ若い皆さんのために (広報いいだ平成28年3月1日号より)

 平成20年から南信州・飯田のフィールドスタディを開始して以来、私はそのプログラムの中で総論的に飯田の地域づくりについて講義を行っていますが、学生の皆さんや大学の先生方からは、予習や復習ができるテキストのようなものをつくれないか、との要望が早くから寄せられていました。これから地域を学び、全国各地で地域づくりを実践する若い皆さんの一助になれば、との思いから、これに応えようと執筆した本が『円卓の地域主義』です。しかし本書の執筆は難航を極め、数年に及ぶ紆余曲折を経て、ようやく今年度の「学輪IIDA」全体会議で出版報告ができました。
 その原因は私が多忙過ぎて十分な時間と労力を割けなかったこともありますが、現在進行形で様々な分野で事業が動いている飯田の地域づくりを総括的にまとめることは至難であり、作業が遅々として進まなかったことにあります。こうした困難を乗り越えて本書を完成できたのも、法政大学の小門裕幸研究室はじめ多くの皆さんの一方ならぬご協力があったからこそで、感謝に堪えません。本書自身が多くの皆さんと円卓を囲んで議論し、「共創」によってつくり出されたものと言っても過言ではないと思っています

135 代田昭久新教育長を迎えて (広報いいだ平成28年4月1日号より)

 数えで七年に一度の大祭、お練り祭りが終わると、すぐに新たな年度のスタートになります。新制度の下での教育委員会も、佐賀県武雄市で教育監と校長の任に就いていた代田昭久氏が伊澤前教育長の後を継ぎ、本格的に始動します。(伊澤前教育長には、在任中はもちろん、この3月の高校生講座カンボジアスタディツアーなどで退任後も大変お世話になっております。)
 民間出身の校長として杉並区立和田中学校で5年、武雄市立武内小学校で2年務めた代田教育長は、ICT教育や官民一体型学校づくりなどで全国から注目されていますが、自らのホームページでは、これからの教育について「自立貢献」を目標に掲げています。この「自立」には経済的な自立と精神的な自立があり、これを目指す生徒の皆さんには自発的に行う主体的な意欲が求められる、と説いています。また、自立するためには「貢献する力」が必要であり、他人と共存して生きていくための社会性を身に着けることが自分の人生を豊かにする前提になる、としています。
 こうした考え方は、飯田市が推進してきた「地育力による心豊かな人づくり」に通じるものであり、代田教育長の今後の取り組みに大いに期待するところです。

136 「桜を見る会」に参加して (広報いいだ平成28年5月1日号より)

 全国市長会を通してご案内を頂いた総理大臣主催の「桜を見る会」に連れ合いと参加させて頂きました。
 昨夏より経済財政諮問会議の下に設置された委員会の委員として6月発表予定の「骨太方針」づくりに関わっているため、度重なる東京出張で今春は桜を堪能する機会にあまり恵まれませんでした。そんな状況から、当日は桜の旬を過ぎていましたが、「会場の新宿御苑に行くのは久しぶりだし、葉桜でも取りあえず見られればいいか」との思いがありました。しかし実際は、ソメイヨシノが桜吹雪で一万六千人の参加者を迎えてくれましたし、八重桜は丁度見頃で園外の喧騒を忘れさせてくれる美しさでした。
 会自体は安倍首相のご挨拶と首相夫人の乾杯以外には特にフォーマルなものはなく、園内を巡る中で交流のある国会議員や官僚、首長の方々に出会って挨拶を交わすくらいでした。
 
余談ですが、報道では芸能関係の参加者に注目が集まっていましたが、残念ながら私はその方面には疎いので、ももいろクローバーZの皆さんとすれ違っても、連れ合いに教えてもらうまで分かりませんでした。

137 区切りを迎えた藤本四八写真文化賞 (広報いいだ平成28年6月1日号より)

 去る5月14日に第10回飯田市藤本四八写真文化賞の授賞式が催されました。当文化賞は、松尾出身で戦後日本写真界のパイオニアとしてリアリズムを追求された藤本四八先生の業績を讃えながら、我が国の写真文化の普及・振興を図るため、これまで2年1サイクルで作品募集、選考、表彰及び作品展を開催してきました(今回展示は飯田市美術博物館で6月26日まで)。
 今回20年目の節目を迎えるにあたり、その後の対応について1年ほど前から関係する皆さんと相談して参りました。そして写真文化の普及・振興については一定の成果を挙げられたと総括し、現在のデジタルテクノロジーによる疑似体験や仮想現実世界の広がりの中で「リアリズムの精神」は益々大切になっているとの思いを共有したうえで、当文化賞としては今回で一区切りとさせて頂くことにしました。
 これまで藤本四八写真文化賞に関わって頂きましたすべての皆さんに心からの感謝を申し上げます。本当にありがとうございました。
 今後は主に子ども達を対象に、こうした考えを学べる取組に軸足を移し、かつての人形劇カーニバルやアフィニス夏の音楽祭のように、次のステップを踏み出せれば、と考えております。

138 生誕百年のジェイン・ジェイコブズと没後百年の田中芳男 (広報いいだ平成28年7月1日号より)

 このほど『ジェイン・ジェイコブズの世界 1916−2006』(藤原書店)が発刊されました。縁あって私もジェイコブズに言及した平成27年の年頭所感と『円卓の地域主義』をベースに寄稿させて頂きましたが、この本自体は、ジェイコブズ生誕百年を機に、行政、経済、都市計画、倫理等様々な分野の専門家が集まり、その全体像に改めて迫ろうとしています。
 折しも本年は、飯田生まれで「日本の博物館の父」と讃えられる田中芳男の没後百年にも当たります。飯田市美術博物館では、これを記念してプラネタリウムのオリジナル番組を制作しましたし、この秋には特別展も予定しています。
 ジェイコブズと田中芳男は生きた国も時代も全く違うのですが、『ジェイコブズの世界』を読んでいるうちに、この二人は関わった分野が広く多様性に富んでいる点は共通しているように思えてきました。田中芳男も博物館だけではなく「動物園の父」「博覧会の父」などと称されるほど様々な分野で活躍した多才な人物だったからです。
 多才な故に却って全体像が掴みにくいところも共通している二人ですが、それぞれの百年を契機に全体像に迫る見直しがなされれば、と思います。

139 経済・財政一体改革推進委員会の飯田視察 (広報いいだ平成28年8月1日号より)

 6月19、20日に、本欄その128で採り上げた政府の経済財政諮問会議の専門調査会である「経済・財政一体改革推進委員会」のメンバーが来飯し、農家民泊や「千代しゃくなげの会」による保育園運営、南信州・飯田産業センターの航空宇宙プロジェクト、菱田春草生誕地公園整備、おひさま進歩のエネルギー自治事業、官民協働による地域医療の確保など、当市の様々な取組を視察しました。
 この視察のきっかけは、当委員会の中から「これから全国で先進事例や優良事例の横展開を図っていくためには、現地の取組を実際に見ることが大事。牧野委員が紹介している飯田市の事例を見に行こう」といった声が上がったことでした。
 
超多忙な皆さんにできる限り視察をしてもらうため、かなりの強行日程を組まざるを得ませんでしたが、メンバーの一人、日本総合研究所の高橋進理事長からは「住民の地元を愛する気持ち、自立心の強さ、それを引き出す行政の取組が好事例の連鎖を呼んでいるのではないか」「こうした取組が全国に浸透すれば日本は必ず良い国になる」との高評価を頂きました。
 
今回の視察は当委員会にとっても飯田市にとっても大変有意義なものになったと思います。

140 竜東中学生のボランティア活動視察 (広報いいだ平成28年9月1日号より)

7月24日の午後に天龍峡の近くにある特別養護老人ホーム「ゆい」を訪問し、竜東中学3年生の佐藤ゆめなさん、林絢音(あやね)さんのボランティア活動を視察しました。これは、先の龍江地区の市政懇談会における「毎週日曜日に片道1時間半かけて施設に通っている」との佐藤さんの発言がきっかけでした。
この日は午前中に竜東中学校で私も参加した「第5回ふるさと竜東のつどい」が開催され、お二人は、アトラクションの吹奏楽の演奏や、昨年度文部科学大臣奨励賞を受賞した調査研究「ブッポウソウとフクロウの棲む竜東を目指して」の発表、分科会における自由討論と、精力的に日程をこなし、学校で昼食をとった後「ゆい」まで歩いてやって来たとのことでした。
二人で協力しながら慣れた手つきでベッドメイクをするところを見せてもらいましたが、1年生時からずっとこうした活動を続けているとのことで、佐藤さん、林さんには改めて敬意と感謝を伝えました。
この日の「竜東のつどい」の分科会で若い皆さんの地域に対する思いをお聞きしましたが、お二人の活動を実際に視察したことで、そうした思いへの理解が更に深まったように思います。