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市長エッセー(散歩道)その141~150

印刷用ページを表示する 掲載日:2017年7月7日更新

飯田市長・牧野光朗が日々感じたことを記していきます

141 龍江地区の個性が輝く「よりあい処」 (広報いいだ平成28年10月1日号より)

 大学の夏休み期間にあたる8月から9月にかけては、多くの学生がフィールドスタディで飯田を訪れます。学輪IIDAの先生方の推奨を受け、今年からそのテキストとして拙編著『円卓の地域主義 共創の場づくりから生まれる善い地域とは』を活用してもらっていますが、去る9月11日に、この本の帯の推薦文を書いてくれた(株)日本総合研究所の藻谷浩介主席研究員を講師に招いて、龍江で講演会が開催されました。

 龍江地域づくり委員会が主催したこの講演会では、藻谷氏から中山間地を元気にする処方箋が分かりやすく示され、大いに盛り上がりましたが、その後、空き店舗を活用して地元の皆さんが立ち上げた「よりあい拠 ほたる」で行われた懇親会も大変楽しいものになりました。

 地物のメニューに彩られたテーブルを囲みながらの、藻谷氏と様々な経歴を有した地元の皆さんとの対話は、機知に富み、笑いにあふれたものでした。私にとって、その雰囲気は別府の「サロン岸」を彷彿させ、まさに「共創の場」の輪郭を感じるものでした。こうした地区の個性が輝く取組を更に展開していけば、右肩下がりの時代であっても持続可能な地域づくりは可能である、と改めて手応えを得たところです。

142 「真の地方創生モデル」の全国展開 (広報いいだ平成28年11月1日号より)

 この度は52年振りの2期連続無投票により、4期目の市政を担わせて頂くことになりました。人口減少、少子化、高齢化の右肩下がりの時代に対応しながら、知の拠点整備やリニアの対応など飯田の将来を左右する事業を誤り無く進めていくことは、これまで以上に困難が伴うものと認識しています。課題が山積する中、市政の舵取りを託された責は大変重いものがありますが、なお一層市政経営に邁進し「真の地方創生モデル」を飯田から全国に発信していく所存です。これまでのご厚情に感謝申し上げますとともに、今後もどうぞ宜しくお願いします。

 ところで、この「真の地方創生モデル」の全国展開は、私が属している経済・財政一体改革推進委員会(経済財政諮問会議の専門調査会)の課題でもあります。いくら先進優良事例を集めても、先進地視察に行っても、それだけで他地域への横展開が図れるものではないからです。「自分の地域ではできないなぁ」と呟いて終わりになりかねません。更に深い分析・考察が必要であり、その意味で、様々な先進優良事例を輩出する飯田のメカニズムを追究することは、当地域だけでなく全国的にも意義があるものと考えています。

143 両陛下の行幸啓(ぎょうこうけい) (広報いいだ平成28年12月1日号より)

 11月17日に天皇、皇后両陛下が御来飯されました。私的ご旅行の位置付けとはいえ、陛下の「行幸啓」としては明治以来初めてのことで、心から歓迎申し上げたところです。また、お迎えの準備・対応に携わって頂いた多くの皆さんに厚く御礼申し上げます。

 振り返ってみると、陛下が皇太子時代の昭和44年8月に御来飯された時は、私は小学2年生でした。学童クラブで下山村駅まで行き、急行で天龍峡に向かう両殿下に力一杯手を振ったことを思い出します。

 今回は木下市議会議長と共に天龍峡で両陛下をお迎えさせて頂きました。阿智村の熊谷村長、高坂村議会議長も加わり、とても和やかな雰囲気の中で御会食を共にさせて頂きました。その後、両陛下はりんご並木で飯田東中学校の皆さんの収穫作業をご視察されましたが、47年前に見たりんごの木が大きくなっていること、その木々を地元の中学生が代々守り育ててきたことに大変感銘されているご様子でした。

 両陛下は、中学生の皆さんが歌う『りんご並木フォーエバー』に送られるように街中を後にされましたが、飯田に残していって頂いたものは、とても大きなものだったと思います。

144 外国人児童生徒の教育機会確保に向けて (広報いいだ平成29年1月1日号より)

 12月5日に松野文部科学大臣を訪ね、外国人集住都市会議を代表して、外国人児童生徒の教育機会確保に向けた緊急アピールを行いました。

 これは、11月に財政制度等審議会(財政審)の分科会から財務大臣に提出された「平成29年度予算の編成等に関する建議」において、外国人児童生徒への対応が特定地域の課題とされたことに端を発します。財政審の議論の背景には、ものづくりが盛んな東海や北関東地域に人手不足を補うために南米から来日した外国人が多いので、こうした課題への対応は当該自治体や企業に任せればいい、という考え方があるようです。

 しかし飯田市のように、戦前、国策に従って多くの満蒙開拓団を送り出した歴史的事情によって外国籍の子ども達が多い地域もある訳ですから、こうした議論は一面的と言わざるを得ません。実際、当市の外国籍住人2,101人(うち小中学生170人)のうち中国籍の方は1,012人(うち小中学生97人)で最も多い状況です(平成28年11月末現在)。

 今回のアピールでは、まさに未来への投資として、外国人の子ども達に対する日本語指導の充実や特別の教育課程に必要な指導者を、国においてしっかり確保するよう求めています。

145 ビルド・バック・ベター(より良い復興) (広報いいだ平成29年2月1日号より)

 12月22日に発生した糸魚川の大火では、街中の家屋144棟を含む約4万平方メートルが焼損しました。改めて被災された方々にお見舞いを申し上げます。70年前の昭和22年に飯田の大火を経験している当市にとって、本件はとても他人事とは思えず、27日には危機管理室の職員に、復興の協力を申し出た私の親書と見舞金を現地に届けてもらいました。

 この大火の翌日は天皇誕生日でしたが、天皇陛下は記者会見において、大変ありがたいことに11月の当地への行幸啓に触れられ、飯田のりんご並木については、戦後間もない時期に「『ビルド・バック・ベター』が既に実行されていたことを知りました」とお話しになられました。この「より良い復興」を意味する言葉は、災害復興において被災前より良いものにしていく考え方を表すものですが、広く使われるようになったのはここ十年位ではないかと思います。

 りんご並木は市にとって大火後のまちづくりの原点と位置づけられますが、国においても「ビルド・バック・ベター」の先進事例であることを改めて認識したところであり、糸魚川においてもそうした「より良い復興」が一日も早く成されることを願って止みません。

146 地域ぐるみ・低炭素から脱炭素への新たな挑戦 (広報いいだ平成29年3月1日号より)

 2月8日に地域ぐるみ環境ISO研究会設立20周年と市の「環境モデル都市」認定・ISO14001自己適合宣言移行を記念したイベントが市役所であり、この度同研究会の代表に就任した多摩川精機株式会社の関重夫社長と、パリ協定が掲げる脱炭素社会構築に向けた産業界、行政それぞれの役割について議論しました。

 昨年11月4日に発効したパリ協定の目標は、世界の平均気温の上昇を産業革命から2度未満、できれば1.5度に抑えて、今世紀後半に温室効果ガスの排出を実質ゼロにする、というかなりハードルが高いものです。

 関社長は、産業界の脱炭素化への動きとして、米国の電気自動車(EV)メーカー・テスラ社の新型EV車に多摩川精機のセンサーが搭載されることになった経緯を、同社のイーロン・マスクCEO(経営最高責任者)との出会いから語られ、EV車から脱炭素化社会を展望されました。

 私からは、当地域が太陽光発電を中心に再生可能エネルギー普及を一歩一歩着実に進めてきたことに触れ、今後も脱炭素化に向けて「百人による一歩」を地域ぐるみで積み重ねていくことが重要である旨、申し上げました。

 いずれにしろ、私たちの脱炭素化への挑戦は始まったばかりです。

147 「地域人教育」の広がり (広報いいだ平成29年4月1日号より)

 今年で6年目になる東京大学教育学部牧野篤教授のゼミによる調査実習報告会が、3月11日に飯田市公民館で開催されました。昨年9月に実施したフィールドスタディとその後の追加調査を報告書にまとめて発表するものでしたが、「地域人教育」は飯田OIDE長姫高校に留まるものではなく、飯田市民の「公民館をやる」営みそのものと捉えることができる、との視点が示されました。

 印象深かったのは、この報告書で李正連准教授が「私は故郷を離れてからずっと将来故郷に帰りたいと思ったことは一度もない」と書いていることでした。李先生は、その理由として「私の小・中・高校時代はひたすら学校の勉強や受験勉強で埋め尽くされており、地域との関わりはほとんど持てなかった」ことを挙げて、飯田の地域人教育の意義を説いているのですが、その率直で正直な自己分析には敬意を表するところです。

 報告会には飯田OIDE長姫高校で地域人教育を学び、自らまちづくりを実践する高校生団体Sturdy eggの皆さんも参加していました。彼らは飯田水引の新たな可能性を模索しているところですが、こうした「地域人教育の申し子」たちが活躍する場を今後もっと増やしていくことができれば、と考えています。

148 新たな「ものさし」が当事者意識を引き出す (広報いいだ平成29年5月1日号より)

 3月下旬に催された高校生カンボジア・スタディツアーは、今年も高校生の当地域への理解を深めることに大いに寄与したようです。サポートをしてくれたNPOふるさと南信州緑の基金の皆さんのご尽力に敬意と感謝を申し上げます。

 このツアーは、半年間の事前学習で当地域とカンボジアについて学ぶことにより、高校生が自らの「ものさし」を持つことに重点が置かれています。まず自分たちが住んでいる地域を学び、それを自らの「ものさし」にしてカンボジアを見ることで、より深く自らの地域を理解することができるからです。こうした深い理解は、自分が地域にできることは何かを問う、当事者意識に繋がります。

 新たな「ものさし」は産業づくりにおいても重要な役割を果たしています。当地域の経済自立度は、自らの利益を追求する企業に別の「ものさし」を提示しました。これが地域の自立度向上のために企業に何ができるか、という当事者意識を引き出し、そこから航空機やバイオ、食品農業などの新たな産業集積(クラスター)形成に向けた動きが起こり、旧飯田工業高校の施設を活用した産業振興と人材育成の拠点づくりにまで展開されているのです

149 かつてない林野火災への対応 (広報いいだ平成29年6月1日号より)

 5月5日、南信濃で林野火災が発生しました。火災現場は急峻な地形のため、地上からの人海戦術と上空からの散水に頼るしかない状況でした。地上においては飯田広域消防、飯田市消防団に加え、天龍村消防団の応援も頂く中で消火活動を展開し、上空からは愛知、岐阜、静岡、東京各都県の消防防災ヘリと、県を通じて要請した自衛隊ヘリ延13機により散水が実施されました。

 現場は広葉樹林の多い植生のため、根本の火まで届くよう散水するのにも困難が伴い、また不規則に発生する熱源を追いかける「モグラ叩き」のような状況が続きましたが、最終的には埼玉県の消防防災ヘリに搭載された特殊カメラによる残火熱源の確認や自衛隊も加えた地上からの確認を経て、8日の夕方に鎮圧を宣言し、翌9日午後には鎮火となりました。

 鎮圧までの空中からの散水回数は合計194回、散水量は589t、消火活動の延人数は562人と、当市としてはかつて例が無い規模の林野火災となりましたが、参加頂いた各機関の連携が功を奏し、人家に影響を及ぼす大事に至らずに済みました。改めて消火活動に携わった全ての方々に感謝を申し上げます。本当にありがとうございました。

150 全国市長会の副会長に就任して (広報いいだ平成29年7月1日号より)

6月7日に開催された第87回全国市長会議(通常総会)において、地方創生担当の副会長に就任しました。

全国市長会の副会長には各支部推薦枠(9名)と会長推薦枠(今回は3名)があります。各支部推薦の副会長は、全国各ブロックに置かれている9つの支部から選出されます。例えば飯田市が属する北信越支部からは前支部長が支部推薦の副会長になります。

会長推薦の副会長は、震災復興や地方創生、女性活躍社会といった喫緊の課題に対応するために昨年の総会から設置されました。その時地方創生担当の副会長に選出された方が、この度全国市長会会長に就任された松浦防府市長です。

今回の私の副会長就任は現会長が担ってきた職責を引き継ぐというもので、その責任の重さを痛感しているところです。斯くなる上は、会長をしっかり補佐し、農地に関する地方分権改革など経済委員長としてこれまでの4年間に取り組んできたことを踏まえつつ、また「産業振興と人材育成の拠点」整備(旧飯田工業高校後利用)のように、全国から注目される飯田市の様々な事業を、地方創生モデルとして他地域へ横展開することを意識しながら、その職責を果たしていきたいと考えています。