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飯田アカデミア第71講座を開催しました
飯田アカデミア2014 第71講座 報告
第71回となる飯田アカデミアを、池 享(いけ すすむ)先生をお招きして、5月17日(土曜日)・18日(日曜日)の両日にわたって開催しました。
池先生は、これまで戦国大名毛利氏や長尾氏などを主なフィールドとし、戦国時代における地域社会の構造、統一政権(江戸幕府)成立の前提、さらには東アジア全体の歴史における戦国時代の位置づけなど、幅広い視野から、日本の戦国時代について研究をされてきました。
今回のアカデミアでは、戦国時代の前提となる、中世日本の社会構造や慣習の問題、戦国時代における地域社会の構造と矛盾、「公儀」権力の成立、戦国時代の東アジア、江戸幕府の成立の前提とそこに至るまでの過程などから、戦国時代とはどのような時代であったのか、という点について、お話を頂きました。
先生のお話で、特に重要な点は、戦国時代を単なる「群雄割拠」の時代として見るのではなく、その前提となる中世日本の状況から、江戸時代の到来までを見通し、さらに東アジア全体の動きを踏まえて、「戦国時代」について論じている点にあるかと思います。戦国時代に、それぞれの地域が抱えていた矛盾や戦国大名による領国支配の仕組み、さらには当時の日本を取り巻く国際情勢などを検討し、それらの中に、戦国時代の意義と統一政権(幕藩制国家)成立の原因を見出す、という視点は、日本史を考える上で重要な問題を提起するものであるといえます。
従来の戦国時代のイメージは、まさに「群雄割拠」する戦国大名の活躍や人間的な葛藤などというものが中心的であったかと思いますが、先生のお話からは、そうしたイメージとは違う、「戦国時代」像が浮かび上がってくるのではないか、と思います。先生からは、時代劇や教科書のイメージを疑ってみる、という歴史を考える上で、とても大切な姿勢を改めて示して頂いたように思います。
講師
池 享 (歴史研究所 顧問研究員/一橋大学名誉教授)
1950年 新潟県生まれ。専門:日本中世史(戦国大名領国論、中世後期社会論、戦国・織豊期天皇論)
講座の概要
「戦国時代とは何だったのか?」
1日目 地域社会の変化と「公儀権力」の成立
第1講 戦国大名を生み出す地域社会の変化
はじめに―伊那地域の戦国争乱
- 日本中世の社会と国家
- 応仁の乱を契機とする室町幕府―守護による全国支配の解体
- 戦国期地域社会の矛盾の性格と地域権力の課題
第2講 「公儀権力」の成立と展開
- 国衆所領における地域権力の本格的形成=「公儀権力」化
- 戦国大名領国の形成
- 大名領国と列島社会
2日目 東アジアの変動と戦国大名・統一政権
- 歴史的展開
- 東アジア海上勢力の一貫した主導性
- 理解・評価の「歪み」の理由
- 冊封体制の動揺と戦国時代の到来
- 豊臣政権の朝鮮侵略
- 徳川政権による新たな国際秩序の形成
第3講 16世紀東アジアの大変動
はじめに―教科書的理解=ヨーロッパ中心主義的見方の問題
第4講 戦国大名・統一政権と東アジア