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飯田アカデミア第72講座を開催しました
飯田アカデミア2014 第72講座 報告
第72回となる飯田アカデミアを、長野県短期大学名誉教授の荒 敬(あら たかし)先生をお招きして、10月4日(土曜日)、5日(日曜日) の両日にわたって開催しました。
1945年から1952年の日本占領期に関する著名な研究者である荒先生は、研究の過程で様々な占領関係の資料を編集され、研究を発表される一方で長野県における占領期の出来事についても研究してこられました。
今回のアカデミアでは「連合国軍(米軍)の日本占領 ―地方軍政部と長野県を中心として―」と題して、これまでの荒先生の研究を生かした講義をしていただきました。具体的な内容として、長野県軍政部隊の活動、いわゆる「ケリー旋風」、長野空襲など戦争の時代から戦後にかけて、連合国軍とのかかわりの中で起きた長野の重大な出来事について、米軍資料という、通常の地域史研究の過程ではなじみの薄い資料に基づき解説をしていただきました。それに加えて、近年の占領期研究の動向について、新たな世代が成果をあげていることをご紹介いただきました。
また先生からは、占領軍資料だけでは不明なことが多くあるため、各地域の地元の資料と突き合わせて補い合っていくことが重要であるとのお言葉をいただきました。今後の歴史研究所における地域資料収集と研究活動の参考にしてまいりたいと思います。
多くの方にお集まりいただき、近現代史に対する期待と関心の高さに触れることができた講座でした。
講師
荒 敬 (長野県短期大学名誉教授)
1949年 東京都生まれ。 研究分野:日本現代史(占領期研究)
研究テーマ:「現代日本の政治と社会」
特に第二次大戦後の日本占領期を対象として
(1)連合国軍の日本侵攻作戦の展開と占領統治の実態
(2)非軍事化・民主化の実施過程における諸問題と国民によるその受容の内実
(3)占領下における政党の再編と政治過程の特質
長野県をはじめ占領下の各府県等地域の政治と社会の動向の分析
講義概要
連合国軍(米軍)の日本占領 ―地方軍政部隊と長野県を中心として―
第1講 長野県政部隊の活動と南信地域
- 日本占領初期における長野軍政部の活動と南信地域(1946年3月~9月)
- 食糧危機と高冷地農業
(1) 食糧供出と配給
(2) 高冷地農業の振興 - 飯田大火
第2講 長野師範学校(男子部)とケリー旋風
戦後新教育発足時の長野教育界 ~ケリー旋風と長野師範学校事件を考える~
- 敗戦直後の長野教育界
(1) 長野軍政部・教育課
(2) 大日本教育界長野支部(のちに信濃教育会)
(3) 県教育部とその態勢
(4) 長野県教員組合 - 県教組への一本化問題(1947年7月~48年2月)
- 労働協約問題と政令201号(1948年6月~9月)
- 県教育委員会選挙(1948年7月~10月)
第3講 長野空襲と日本の敗戦
昭和20年8月13日 長野空襲の真実 米軍資料は語る
第4講 連合国軍の日本占領と地域史研究
- 研究の現在 占領期
- 「関東防空大演習」と桐生悠々
(1) 「関東防空大演習」(1933年)
(2) 防空演習と文化人・民衆
(3) 関東防空大演習を嗤う 桐生悠々
(4) 1933年 関東防空演習とその特徴 ~横浜市を事例に~