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第19回飯田市地域史研究集会を開催しました

ページID:20221124 更新日:2022年11月24日更新 印刷ページ表示

第19回飯田市地域史研究集会を開催しました

テーマ : 満洲移民 ―下伊那から再考する

◆9月10日(一日目)

第一部 満洲移民を再考する

講演 近代日本の戦争 ―森本州平日記から考える/加藤陽子(東京大学)
講演 日中戦争下の募集と送出 ―地域指導者と下伊那の人びと/本島和人(歴史研究所)
報告 下伊那の中の満洲 ―原資料を読み解く/齊藤俊江(歴史研究所)

加藤陽子さん本島和人さん齊藤俊江さん
     加藤陽子さん              本島和人さん              齊藤俊江さん

◆9月11日(二日目)

自由論題報告

報告 明治30年代の飯田町文化の高まり ―歌舞伎座新史料を中心に/竹村雄次(歴史研究所)
報告 江戸時代後期の伊那地方における離縁と女性/塩澤元広(高森町歴史民俗資料館)

竹村雄次さん塩澤元広さん
     竹村雄次さん              塩澤元広さん

第二部 満洲移民と向きあう

報告 満洲体験が人生の指針に ―看護師として生きる/橋本珠子(満洲移民体験者)
報告 沈黙を聴く ―ドキュメンタリーの現場から/手塚孝典(信越放送)
報告 想起と対話の「場」 ―記念館レポート/三沢亜紀(満蒙開拓平和記念館)

橋本珠子さん手塚孝典さん三沢亜紀さん
     橋本珠子さん              手塚孝典さん              三沢亜紀さん

 9月10日・11日に「満洲移民―下伊那から再考する」をテーマとして第19回飯田市地域史研究集会を開催しました。

 1日目の1部「満洲移民を再考する」では、最新の研究成果に基づき、移民の送出過程に焦点を当て、満洲移民とは何であったのかを議論しました。最初の加藤陽子さん(東京大学、歴史研究所顧問研究員)の講演「近代日本の戦争―森本州平日記から考える―」では、いまだ収束の兆しすら見えないウクライナとロシアの戦争を理解するうえでも、日中戦争に至る歴史展開を改めて検証することの重要性が指摘され、当時の国際関係や国内の動向を跡付けつつ、近代侵略戦争の特質が浮き彫りにされました。続く本島和人さん(歴史研究所調査研究員)の講演「日中戦争下の募集と送出―地域指導者と下伊那の人びと―」では、日記や書簡、新聞、時報・村報などを通して語られた地域指導者の言葉に着目し、下伊那における移民の募集・送出の過程が詳細に明らかにされました。また、齊藤俊江さんの報告「下伊那の中の満洲―原資料を読み解く―」では、戦後開拓までをも視野に入れた長年の調査研究成果が紹介されるとともに、満洲移民からみた下伊那の社会状況が考察されました。

 2日目の第2部「満洲移民と向きあう」では、満洲移民の加害と被害の歴史を受けとめ、記録や記憶を未来へ継承することの意味を考えました。橋本珠子さん(満洲移民体験者)の報告「満洲体験が人生の指針に―看護師として生きる―」では、生まれ育った満洲での暮らし、逃避行と収容所の惨状、引き上げ後から現在までの経験が語られました。手塚孝典さん(信越放送)の報告「沈黙を聴く―ドキュメンタリーの現場から―」では、制作したドキュメンタリー番組を手がかりに、満洲移民の経験・記憶が今を生きる人々にも重くのしかかっていることが指摘されました。最後の三沢亜紀さん(満蒙開拓平和記念館)の報告「想起と対話の「場」―記念館レポート―」では、開館10周年を迎えた満蒙開拓平和記念館が、多様な立場の人々や情報が交差する場として存在してきたことを振り返るとともに、これからの役割についてもお話しいただきました。

 また、2日目には、自由論題報告として、竹村雄次さん(歴史研究所特任研究員)の報告「明治30年代の飯田町文化の高まり―歌舞伎座新史料を中心に―」と、塩澤元広さん(高森町歴史民俗資料館)の報告「江戸時代後期の伊那地方における離縁と女性」も行われました。昼休みには、満洲移民に関する写真がスライドショーで公開されました。

 昨年に引き続き、新型コロナのため、オンラインでの開催となりましたが、2日間でサテライト会場を含め延べ244人の参加者を得て、盛況な研究集会となりました。

(研究員 羽田真也)

 

関連ファイル

第19回飯田市地域史研究集会リーフレット (PDFファイル/826KB)

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