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第13回飯田市地域史研究集会 内容紹介

ページID:0035342 更新日:2005年9月13日更新 印刷ページ表示

第13回飯田市地域史研究集会

会場  さんぽ 
 (左)会場の様子
 (右)丘の上さんぽの様子

特集 飯田・下伊那の歴史的景観

 吉田ゆり子先生による飯田市地域史研究集会の総括、秋の長雨のわずかな晴れ間を狙っていたかのように、飯田・下伊那の歴史的景観をテーマとする二日間の研究集会が開催されました。

  初日は、国内や海外における景観に関する議論や取組みを振り返り、県内や市内の景観に視点を移しながら、地域の内や外、研究者、行政、住民と異なる立場から意見を交わす機会となりました。東京大学の伊藤毅先生とベネチア建築大学のマッテオ・ダリオ・パオルッチ先生からは、20世紀初頭に審美性を背景に景観という概念が生まれ、それが現在意識されているような、地理学的な領域を意識した概念に変遷する過程についての講演があり、土地利用の歴史的変遷と多様性を伝える領域としての景観の意義を提示されました。
  一方で、今年、国の重要文化的景観として指定を受けた飯山市の小菅の里づくり委員会の鷲尾恒久氏からは、文化庁による文化財の概念である文化的景観を軸に、歴史が集積した集落景観と周辺の自然景観を研究者と協力して地域づくりに活かしてきた経験を報告がありました。そのような外からの視点に対して飯田市教育委員会の下平博行氏は、「田切」地形に沿って領域を形成し、古代から近代の史跡が積層する市内座光寺において、麻績の里として住民に意識される景観について報告しました。続く意見交換では、さらに「人と暮らしの伊那谷遺産」選定委員会に参加している本島和人氏が、98の文化遺産の紹介と「防災」を通した景観の認識の取組みを紹介しました。それらを受けて出された、変遷した景観、残された景観をどのようにとらえ、伝えるかという問いに対して、景観を個々の史跡の集積としてとらえるだけではなく、それらが受け継がれた歴史的経緯を明らかにすることが、景観の価値を意識するためには必要ではないかという指摘が出されました。

  初日を締めくくった丘の上さんぽや、二日目の松島正幸氏の丘の上の段丘景観、木下光氏の街道と宿場の景観に関する報告は、市民から普段親しんでいる身近な景観の成り立ちを考えさせる視点を提示するものでした。最後に集落住民として下栗集落の景観について報告した野牧和将氏は、日々の生活を守ることが、集落の景観を成り立たせていると語りかけ、会場の多くの方の賛同を得ました。初日の司会を勤めた東京外国語大学の吉田ゆり子氏は、まとめの言葉の中で野牧氏の報告を受けて、景観は地域住民のめに残していくものであり、地域の持続性に貢献し、地域の取組みを支援するという観点から行政による文化財保護を考えていく必要性を訴えました。

  会場では、景観の中で生活する人々の姿に焦点を当てた写真を集めたパネル展示が行なわれ、また市内の中央、鼎、上郷の各図書館では、9月24日まで研究集会のテーマに合わせ企画展示が行なわれました。

   ディスカッション 関連展示
 (左)ディスカッションの様子
 (右)飯田市立中央図書館で行われた関連展示