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飯田アカデミア第77講座を開催しました

ページID:0043468 更新日:2016年7月5日更新 印刷ページ表示

飯田アカデミア第77講座 報告

     アカデミア第77講座 講師画像 アカデミア第77講座 様子
 

 第77回飯田アカデミアを東京大学名誉教授の藤田覚(ふじた さとる)先生をお招きして、「堀親寚(ちかしげ)・後藤三右衛門(さんえもん)と天保期の幕政」をテーマに、6月25日・26日に開催しました。
 本講座では、これまで藤田先生が長年ご研究に取り組んでこられた天保期の幕府政治をめぐる問題について、日本国内の状況や対外関係などを踏まえながら分析された中に、飯田に縁の深い堀親寚・後藤三右衛門の二人のお話を交えていただくことで、改めてその時代を飯田からの視点も入れて、より一層身近に眺めることができたように思えます。

 第1講では「大御所時代の政治」と題し、徳川家斉(いえなり)の大御所時代の貨幣改鋳の利益によって、幕府が財政の赤字を解消していた仕組みや、貨幣改鋳を担った後藤三衛門に関連したお話をしていただきました。
 第2講では「アヘン戦争の衝撃」として、閉ざされた時代というイメージがある江戸の頃も、実は海外の状況が幕府の政治に影響を与えていたことや、アヘン戦争が与えた影響について述べていただきました。
 二日目の第3講は「対外的危機と天保の改革」と題し、アヘン戦争から続く状況の中で、幕府が軍備増強や戦争を回避するため考えられる対策をしていたことについて、第4講では「天保の改革の失敗」をテーマとして、堀親寚や後藤三右衛門がどのように関係したか、改革の失敗によって、対外的な対応を決めるだけの力が無くなっていった結果、ペリー来航に続く幕末へと向かっていくことになる背景など、近年の研究成果を踏まえたお話をいただき、充実した内容となりました。

 大勢の皆さまに参加いただき、参加された皆さまからは、「飯田藩に関係した講義で、身近な地域の出身者が中心の学びは興味深く感じる。」「江戸の社会がとても近く感じられた。」「世界の動きと日本史との深いつながりが興味深かった。」などの感想をいただきました。
 近年の研究によって、かつて教科書に書かれていた内容とは江戸時代のイメージが大きく変わりつつあります。そうした中で飯田と所縁のある堀親寚や後藤三右衛門がどのように活動していたのか、という点の一端を本講座で知る事ができたように思います。

 なお、今年度の地域史研究集会では「飯田藩と地域社会」をテーマに8月に開催いたします。飯田藩に焦点を当て、藩の政治と学問・文化の問題を、幕府や地域とのかかわりをみながら考えてみたいと思います。
 藤田先生にも再びお話をお願いしているところであり、今回受講いただいた内容とも関係する部分も出てくるかと思います。
 ぜひ、地域史研究集会にもご参加いただければ幸いです。

 

 講師

 藤田 覚(ふじた さとる)さん 〔東京大学名誉教授〕

講師著書 

  • 『泰平のしくみ 江戸の行政と社会』岩波書店 2012
  • 『天保の改革』吉川弘文館 1989
  • 『幕末から維新へ〈シリーズ日本近世史 5〉』岩波新書 2015 ほか多数

 講義概要

堀親寚・後藤三右衛門と天保期の幕政

  • 第1講 「大御所時代の政治」 
  • 第2講 「アヘン戦争の衝撃」
  • 第3講 「対外的危機と天保の改革」
  • 第4講 「天保の改革の失敗」

アカデミア第77講座 質疑応答1 アカデミア第77講座 質疑応答2