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地域史料の所在を網羅的に調べます-史料所在データの蓄積

印刷用ページを表示する 掲載日:2008年6月3日更新

史料所在データの蓄積

 歴史研究所では、地域の歴史に関する資料を調査して研究を行い、成果を公表しています。地域の方々と一緒に歴史の研究方法を勉強し、史料集を出版するのも重要な仕事です。地域の歴史に関する資料(史料)を収集し研究することは、みなさんが未来の地域を考えるために不可欠なものばかりです。しかしどれも地元に史料がたくさん残されて、はじめて可能だといえます。そのため歴史研究所では現在、この地域の中のどこにどんな史料が残されているのかを、徹底的・網羅的に調べようというプロジェクトを計画しています。ただしそれには地元の方々のご協力が不可欠です。

 そこで今回は、このプロジェクトがどうして大事なのか、また地域の史料の残り具合が現在どうなっているのかについてお話しします。このプロジェクトは、飯田市や近隣の町村で、公共施設や個人のお宅などに保管されている史料について、どこにどのようにしまわれているかということを、網羅的に調査しようというものです。またたとえば東京など、地域の外に流出してはいるけれども、この地域に関連して作られた史料も、当然調査の対象に含まれてきます。

ありふれたものほど残りにくい

 最近この地域では、建物の建て替えや引越し、代替わりなどが進んでいます。ところがそのため、現在ではそれぞれのお宅や事務所などにしまわれていたはずの史料がどんどん捨てられているのです。去年も歴史研究所が関わったもので、すんでのところで間に合ったものもあれば、残念ながら処分されてしまったものもあります。その理由として一番多いのが、これらをしまっている方々が、こんなものを残しておいたってつまらないじゃないか、という場合です。たとえば新しいもの。戦後の手紙や日記、あるいは写真などがうちにしまってある場合、それが歴史研究に役に立つと判断するのは、とても難しいと思います。しかし戦後でも百年立てば立派な過去になることを考える必要があります。またうちは普通のうちだから、こんなものを残したって仕方ないという場合もよくあります。しかしたとえば、江戸時代の民間の史料で現在圧倒的にたくさん残っているのは、実は庄屋をやっていたお宅の古文書なのです。もちろんそれも大事ですが、庄屋以外のお宅でも、絶対にたくさんの書類が作られたはずなのに、今では村の歴史が庄屋の目線でしかわからないということもありえるわけです。百年後、同じことを繰り返してはいけません。みなさんの何気ない日常やありきたりの生活の記録こそがもっとも大事なのに、実はもっとも残すのが難しいのです。

将来の世代のために

 近現代のものに比べれば、それより古い江戸時代の古文書の保存は一見大丈夫なようにみえます。この地域ではこれまで郷土の歴史の研究をなさる方々が実に多くいらっしゃり、あちこちでたくさんの村誌が作られ、膨大な数の江戸時代の古文書が調査され、目録が作られてきました。このような活動自身が地域の貴重な財産であり、高く評価されるべきだと思います。これらの史料は公共の施設に寄贈されたり管理を委託されているものもありますが、多くは所蔵者のお宅などで、ご家族のご尽力によって大切に保存されてきました。しかしこれから将来にわたっても、地域の中でしっかり受け継いでいかなくてはなりません。そのためには、たとえすでに調査を経験したものであっても、もういちど所在確認レベルの調査をしっかりと行う必要があります。

 歴史研究所ではそのため、古文書の内容だけではなく、どのような経過をふまえて現在まで残されてきたのか、ご記憶のある方からきちんと聞きとりし、どのようなしまわれ方をしているかについても、現時点で土蔵の中のどの場所にどんな箱に入ってしまわれているかを写真にとり、スケッチして記録します。またこれまでどのような調査をされてきたかという、いわば調査の履歴についても、所蔵者の方や実際に調査をなさった方から聞きとっていきたいと思います。

史料自体の面白さを

 今日お話ししたプロジェクトは非常に時間と手間がかかりますが、これで終わり、という日を迎えることはありません。というのは、取り扱う対象が膨大ですし、それに加えて私たちが日常生活を営む過程で、新しい書類や記録がどんどん作られているからです。そのためこの調査は長年かけて行う必要があります。とはいえ、現時点でも多くの史料が捨てられつつあるため、急いで集中的に取り組む方法も組み合わせなくてはいけません。いずれにせよこのプロジェクトを行うためには、地域住民の方々の主体的な参加がどうしても不可欠なのです。
 そのため歴史研究所ではこの調査を通じて、みなさんに史料保存の重要性について認識を深めていただけるよう、できる限りの手段を尽くしていくつもりです。たとえば一緒に調査に参加していただいたり、調査の途中段階で公表会をしたりして、史料自体に興味を持っていただけるようにします。どうかその時は、お気軽にご参加ください。