犯罪被害者等支援につながる公的補償制度
[概要]
通常、犯罪の被害者は犯人に対し損害賠償請求をすることができますが、通り魔やテロ行為による無差別殺傷事件などでは、加害者から損害賠償を十分に受けられない場合があります。
犯罪被害給付制度とは、故意の犯罪行為により、不慮の死を遂げた被害者の遺族や、身体に障害を負わされた被害者などに対して、国が給付金を支給することにより、犯罪被害者等の精神的・経済的打撃の緩和を図ろうとするものです。
[詳細]
■犯罪被害者等の支援につながる給付金
犯罪被害給付制度を規定する「犯罪被害者等給付金の支給等による犯罪被害者等の支援に関する法律」の第1条(目的)によれば、この制度が犯罪被害者等の支援を目的としたものであることが明確に示されています。
・犯罪被害等を早期に軽減し、再び平穏な生活を営むことができるよう支援するため、犯罪被害者等給付金を支給すること
・犯罪行為の発生後、早くに継続的に犯罪被害等を受けた者を援助するための措置を行うこと
これらにより、犯罪被害等を受けた者の権利利益の保護が図られる社会の実現に貢献することを目的とします。
■対象となる犯罪被害
日本国内において行われた人の生命または身体を害する罪に当たる犯罪行為(過失を除く)による死亡、重傷病または障害が対象となります。
なお、日本国外でも、日本船舶内や日本航空機内において行われた場合は対象となります。
また、心身喪失者または刑事未成年者の行為など、刑法上は加害者が罰せられない場合も対象となります。
■給付対象となる被害者(遺族)の資格
日本国籍を有する人、日本国内に住所のある人が対象になります。
したがって、外国籍を有する人も日本国内に住所があって犯罪被害を受けた場合は対象者です。
■給付金の種類
給付金は3種類あり、対象者に一時金として支給されます。
○遺族給付金 (死亡した被害者の第一順位の遺族に)
○重傷病給付金 (重大な負傷または疾病を受けた被害者本人に、保険診療医療費の自己負担額と休業損害分の額を1年を限度として)
○障害給付金 (身体に障害が残った被害者本人に、傷害等級に応じて)
※遺族給付金と障害給付金の給付金額は、被害者の年齢や勤労による収入額などに基づいて算定されます。
※重傷病とは、加療1月以上かつ入院3日以上を要する負傷または疾病です。PTSD(心的外傷後ストレス障害)等の精神疾患の場合は、加療1月以上かつ3日以上労務に服することができない程度です。
※犯罪被害者が死亡前に療養を要した場合は、遺族給付金についても重傷病給付金に準じた算定がされます。
■給付金の支給申請
○申請先
住所地を管轄する都道府県公安委員会に申請します。受付窓口は、県警察本部または各警察署です。
○申請期限
犯罪被害の発生を知った日から2年以内、または犯罪被害が発生した日から7年以内に、申請しなければなりません。
ただし、やむを得ない理由により期間が経過する前に申請できなかった場合は、その理由がやんだ日から6月以内に限り申請できます。
○公安委員会の裁定
都道府県公安委員会から給付金を支給する旨の裁定を受けた後、給付金の支払いを国に請求します。(時効は2年間)
ただし、親族の間で行われた犯罪、犯罪被害の原因が被害者にもあるような場合、労災保険等の公的給付や損害賠償を受けた場合などは、都道府県公安委員会の裁定により、給付金の全部または一部が支給されないことがあります。
裁定内容に不服がある場合は、通知書を受け取った翌日から60日以内に国家公安委員会に審査請求をすることができます。
■犯罪被害給付制度の歴史
【創設】
○犯罪被害者等給付金支給法(昭和56年1月1日施行)
昭和49年の三菱重工ビル爆破事件では、多くの一般市民が死亡・負傷する甚大な被害がありました。
これを契機とし、公的な犯罪被害者補償制度の確立を求める声が高まり、この法律が制定されました。
【改正】
○犯罪被害者等給付金の支給等に関する法律(平成13年7月1日施行)
平成7年の地下鉄サリン事件などにより、犯罪被害者が大変厳しい状況に置かれていることが国民に広く認識されました。
これにより、支給対象の拡大(重傷病給付金の創設、遺族給付金に対する被害者負担額の付加、障害給付金の支給範囲の拡大)や給付基礎額の引上げなどの法改正と改称が行われました。
また、平成17年4月施行の犯罪被害者等基本法や17年12月策定の犯罪被害者等基本計画を踏まえ、重傷病給付金に係る支給要件の緩和、支給対象期間の延長、親族間犯罪に係る支給制限の緩和など、政令・規則の改正が行われました。(平成18年4月1日施行)
【改正】
○犯罪被害者等給付金の支給等による犯罪被害者等の支援に関する法律(平成20年7月1日施行)
犯罪被害給付制度の拡充と犯罪被害者等の支援を目的に活動する民間団体の自主的活動を促がすため、法改正と改称が行われました。
重傷病給付金に休業損害分を加算可能としたほか、やむを得ない理由で申請できなかった場合の特例措置が創設されました
[申請窓口]
長野県警察本部または警察署
[戸籍事項の無料証明]
飯田市手数料条例の規定により、給付金の申請に必要な戸籍事項については、無料で証明を受けられます。(市民課)
[被害者遺児の奨学金等給与事業]
財団法人犯罪被害救援基金(電話03-5226-1020)による奨学金等給与事業は、皆さん方からのご寄付によって支えられています。
[お問合せ先]
長野県警察本部 警務課 犯罪被害者支援室
電話番号:026-233-0110