古島敏雄著作集 復刻版(全10巻セット)
[概要]
古島敏雄著作集 全10巻
A5判上製本
10巻セット(専用箱入)
販売価格:50,000円
発行:(財)東京大学出版会
販売:飯田市歴史研究所
[詳細]
飯田市出身の農業史学者古島敏雄(1912〜95)が遺した、農村史、農業技術史研究における孤高の業績は『古島敏雄著作集』全10巻に収められています。しかし、歴史研究者には必読の書といわれながら、長期にわたり絶版となっていました。
歴史研究所では、古島の没後10年となる2005年、この著作集全10巻を100セット限定で復刊しました。ご希望の方へ実費(1セット5万円)で販売しています。
〈復刊に当たって〉
岩本純明(顧問研究員・東京大学名誉教授)
長い間品切れとなっていた『古島敏雄著作集』が、関係各位のご尽力により復刊されることになった。このことをまずは喜びたい。本著作集に収録されている著作の大部分は、古島敏雄先生が研究生活を開始してほぼ10年余の間に刊行されるか、あるいはその骨格ができあがっていた仕事である。古島先生の言葉によれば、「戦時下に若さと戦争の焦燥のなかで書き急いだもの」(著作集序)である。しかし、このことが、本著作集にいまなお瑞々しさと魅力を保たせる理由ともなっている。
(中略)古島先生の著作は、豊富な史料をもとに自らの思考・論証過程を丹念に記述していくというスタイルをとっている。そのため、概説的な記述や結論の再整理といった部分は省略されていることが多い。このことが、若い研究者に取っつきにくい印象を与えるかも知れない。しかしながら、最初のこの困難を克服してもらえば、確かな仮説設定を踏まえた緻密な史料分析の醍醐味を味わうことができるはずだと思う。
(中略)本著作集の復刊を契機にして、古島先生の仕事が若い世代の読者に読み継がれていくことを期待したい。(『古島史学の現在』序文−『古島敏雄著作集』復刊にあたって− より)
■第1巻「徭役労働制の崩壊過程」
近世の長野県伊那地方でみられた農業経営形態である御館被官制度が、商品流通の発達によって崩壊していった様相を解明。古島の研究の出発点ともいうべき著作
■第2巻「日本封建農業史 家族形態と農業の発達」
日本封建時代の農業に関するはじめての本格的な通史。土地制度や農業技術、家族形態の変遷など、村と農業に関する史実が体系的にまとめられた基本的文献
■第3巻「近世日本農業の構造」
「典型的に徳川時代的なものとして」の近世の農業構造について明らかにした、古島の代表作。豊富な事例を素材に、村落階層、共同体的土地慣行、農業技術、農業経営の四側面から農業の構造を追求
■第4巻「信州中馬の研究」
近世の伊那地方でみられた運輸慣行、中馬の発展過程を解明。商品流通の展開が、伊那地方にいかなる変容をもたらしたのかを追求した本書は、戦後の近世史研究に大きな影響を与えた。
■第5巻「日本農学史」
古代から近世前期にかけて、農学がどのように展開したかを解明した重要文献。本書に刺激されて、戦後になって農書の発掘と研究が全国で活発に行われた。
■第6巻「日本農業技術史」
古代から近世にかけての日本の農業技術の発展について、あらゆる史料を発掘して全面的に解明した、他に例を見ない大著。昭和24年度毎日出版文化賞受賞
■第7巻「共同体の研究」
山林、牧野、用水など、村落共同体の再生産にとって、いずれも不可欠な諸条件について解明した論文9本を収める。
■第8巻「地主制史研究」
古島は戦後、地主制史研究者として活躍し、学界に大きな影響を与えた。本書は江戸時代から明治時代にかけての日本でみられた地主制度について書かれた論文10本を収める。
■第9巻「近代農学史研究」
明治以降の洋学の導入により、日本農学がいかなる変遷を遂げたのかを解明した論文集。古島自身による「年表農業百年」も収載
■第10巻「地方史研究法」
地方史をいかなる課題設定により、どのように研究すればよいのか、古島は自らの体験を基に、折に触れ語っている。古島史学への理解を深める上で、本書は必読の1冊といえよう。
[情報発信元]
飯田市歴史研究所(IIHR)