○飯田市土地利用基本条例

平成19年3月30日

条例第15号

(目的)

第1条 この条例は、飯田市における土地の利用に関する基本理念、基本原則及び基本的な方針等を定めることにより、市域の土地の特性に応じた適正かつ合理的な土地の利用を図り、もって市民生活の向上並びに地域の経済及び社会の健全な発展に寄与することを目的とする。

(基本理念)

第2条 土地は、現在及び将来における市民のための貴重な資源であるとともに、生活、生産その他諸活動における社会共通の基盤であることから、公共の福祉が優先され、豊かな自然環境が保全されるよう、その利用がなされなければならない。

2 土地は、地域の自然、歴史、文化、経済及び社会と密接に関連するものであることから、地域住民の意向を踏まえ、適正な制限の下にこれらの調和が図られ、地域の特性と個性の伸長に資するよう、その利用がなされなければならない。

3 土地は、その周辺の土地と相互に一体として構成され、存在するものであり、かつ、市民の共通の資産であることから、市民参加により策定された土地利用に関する計画に基づき、関係者相互の理解と協力の下に適正に誘導され、周辺の土地の利用との調和が図られるよう、その利用がなされなければならない。

(基本原則)

第3条 土地は、将来この地に暮らす人々に引き継がれるものであることから、その利用については、現在の豊かさが将来の豊かさにつながるよう、その持続可能性の保持と環境負荷の低減が図られなければならない。

2 土地は、市民が安心して暮らすための基盤であることから、その利用については、地形や地質等の特性が配慮され、自然の節理に反した土地の利用が控えられること等により、市民の生活の安全及び安心を確保することを旨として行われなければならない。

3 土地は、市民が快適な生活を営むための基盤であることから、その利用については、自然との共生、水と緑の保全及び創出並びに公害の防止等環境の保全を旨として行われなければならない。

4 土地は、市民の経済活動及び社会活動の基盤であることから、その利用については、地域の経済及び社会の活性化に資するよう、市民、事業者及び市により一体的な取組がなされなければならない。

5 土地は、地域のきずな、伝統行事、風土及び風景を育んできたふるさとであることから、その利用については、地域固有の伝統及び文化が尊重され、継承されるよう、配慮がなされなければならない。

(市の役割)

第4条 市は、第2条に規定する基本理念(以下「基本理念」という。)及び前条に規定する基本原則(以下「基本原則」という。)にのっとり、土地の利用に関する総合的な施策を市民の参加を得て策定し、実施するものとする。

2 市は、基本理念及び基本原則の普及及び啓発に努め、土地の利用に関する情報を提供し、地域住民によるまちづくりを支援するものとする。

(土地所有者の役割)

第5条 土地所有者は、自ら所有する土地の利用が周辺の土地の利用に大きな影響を与えることを認識し、その土地の利用に当たっては、基本理念及び基本原則にのっとり、周辺の土地の利用と調和するよう努めるとともに、市の施策に協力するよう努めなければならない。

(事業者の役割)

第6条 事業者は、土地の利用に当たっては、地域住民その他の関係者に対して情報の提供を行うよう努めるとともに、基本理念及び基本原則にのっとり、市の施策及び地域が一体となって行うまちづくりに協力するよう努めなければならない。

2 事業者は、土地の利用に当たっては、地域住民の理解を得るよう努めるとともに、土地の利用に係る紛争が生じたときは、相手の立場を尊重し、自主的に解決するよう努めなければならない。

(市民の役割)

第7条 市民は、自らがまちづくりの主体であることを認識し、基本理念及び基本原則にのっとり、地域が一体となって行うまちづくりに積極的に参加し、市の施策に協力するよう努めなければならない。

2 市民は、土地の利用に係る紛争が生じたときは、相手の立場を尊重し、自主的に解決するよう努めなければならない。

(土地利用基本方針)

第8条 市は、適正かつ合理的な土地の利用の推進を図るため、市域の土地の利用に関する基本的な方針(以下「土地利用基本方針」という。)を定めるものとする。

2 土地利用基本方針においては、次に掲げる事項を定めるものとする。

(1) 都市の目指すべき基本的な方向を示すための都市づくりの理念及び目標で規則で定めるもの

(2) 目指す都市の姿を実現するための都市の整備に関する方針で規則で定めるもの

(3) 市域における土地の利用に関する基本的な計画(以下「土地利用基本計画」という。)

3 土地利用基本計画は、土地利用の基本的な方針を明らかにするため、次に掲げる事項を定めるものとする。

(1) 市域における区域が次に掲げる地域のいずれに該当するかを示すもの

 市街地における良好な環境の整備又は保全を目的とした土地利用の用途に供するための市街地形成地域

 農業振興地域の整備に関する法律(昭和44年法律第58号)第3条に規定する農用地等(以下「農用地等」という。)若しくは良好な営農環境の整備又は保全を目的とした土地利用の用途に供するための農村集落地域

 豊かな自然環境の保全を目的とした土地利用の用途に供するための緑の環境保全地域

 土地利用の用途が混在し、又は混在するおそれがある地域であって、当該地域の特性に応じた土地利用の方針を定め、適正な土地の利用を誘導する土地利用誘導地域

 からまでのいずれかに属する地域であって、当該地域における将来の土地利用の方針が法令又は他の条例の規定に基づく土地利用に関する計画との調和が保たれない地域として、当該土地利用の方針とその土地利用に関する計画との調整を必要とする土地利用調整地域

(2) 前号により定めた各地域における土地利用の基本的な方針

4 土地利用基本方針は、飯田市自治基本条例(平成18年飯田市条例第40号)第3条第9号に規定する基本構想及び国土利用計画法(昭和49年法律第92号)第8条第1項の規定による市域における国土の利用に関する計画に即したものでなければならない。

5 土地利用基本方針のうち、都市計画法(昭和43年法律第100号)第4条第1項に規定する都市計画(以下「都市計画」という。)に関する部分については、同法第18条の2第1項に規定する市の都市計画に関する基本的な方針として定められたものとする。

6 土地利用基本方針は、法令又は他の条例の規定に基づく土地利用に関する計画との調和が保たれたものでなければならない。

第9条 市は、地域の特性及び個性を伸長する土地の利用を推進する必要があるときは、土地利用基本方針に、地方自治法第202条の4第1項の規定による地域自治区(以下「地域自治区」という。)の土地の区域の全部又はその一部について、当該区域について定める土地の利用に関する方針(以下「地域土地利用方針」という。)を定めることができる。この場合において、地域土地利用方針は、市全域について定める土地利用基本方針に即したものでなければならない。

2 地域土地利用方針においては、次に掲げる事項を定めるものとする。

(1) 地域土地利用方針の名称

(2) 地域土地利用方針の土地の区域

(3) 目指すべき地域づくりの目標で規則で定めるもの

(4) 地域づくりの方針(都市計画法第11条第1項各号に規定するものに関する事項を除く。)で規則で定めるもの

3 前項に定めるもののほか、市は、地域土地利用方針において当該区域における土地利用の方針を明らかにする必要があると認めるときは、当該区域における土地の利用に関する計画(以下「地域土地利用計画」という。)を定めるものとする。この場合において、地域土地利用計画は、次に掲げる事項を定めるものとする。

(1) 当該区域の土地が次に掲げる地区のいずれかに該当するかを示すもの(当該区域の土地の特性及び個性を伸長するために必要な場合に限る。)

 市街地における良好な商業及び業務を行うための環境の整備又は保全を目的とした土地利用の用途に供するための商業業務環境保全地区

 市街地若しくは農村集落における良好な住環境の整備又は保全を目的とした土地利用の用途に供するための住環境保全地区

 農用地等若しくは良好な営農環境の整備又は保全を目的とした土地利用の用途に供するための農業環境保全地区

 良好な工業及び業務を行うための環境の整備又は保全を目的とした土地利用の用途に供するための工業業務環境保全地区

 豊かな自然環境の保全を目的とした土地利用の用途に供するための緑の環境保全地区

 土地利用の用途が混在し、又は混在するおそれがある地区であって、当該地区の特性及び個性に応じた土地利用の方針を定め、当該地区の将来像に調和する土地の利用を誘導する地区又はからまでの地区以外の特定の土地利用の用途に供する地区である特定土地利用地区

 からまでの地区であって、良好な保育若しくは教育環境の整備又は保全を目的とした土地利用の用途に供するための子育て教育環境保全地区

 からまでの地区であって、当該地区における将来の土地利用の方針が法令又は他の条例の規定に基づく土地利用に関する計画との調和が保たれない地区として、当該土地利用の方針とその土地利用に関する計画との調整を重点的に推進する必要がある土地利用計画推進重点地区

(2) 前号により定めた各地区における土地利用の目標として次に掲げる事項のうち必要なもの

 建築基準法(昭和25年法律第201号)第2条第1号に規定する建築物(以下「建築物」という。)の敷地、位置、規模、構造、用途、建築設備又は形態意匠に関する事項

 土地に定着する工作物(建築物を除く。以下同じ。)の位置、規模、構造、用途又は形態意匠に関する事項

 樹林地、草地等の保全又は緑化に関する事項

 屋外広告物法(昭和24年法律第189号)第2条第1項に規定する屋外広告物の表示又は屋外広告物を掲出する物件の設置に関する事項

 農用地等の保全又は利用に関する事項

 都市計画法第4条第12項に規定する開発行為その他土地の形質の変更に関する事項

 建築物、工作物又は土地の維持若しくは管理に関する事項

 その他適正かつ合理的な土地利用の推進に関する事項

4 前項第2号の規定により地域土地利用計画に定められた土地利用の目標のうち、当該地区の土地利用の目標を達成するために都市計画法その他の法令若しくは他の条例の規定に基づく規制又は制限を活用する必要があるものは、都市計画法その他の法令若しくは他の条例の規定に基づく土地利用に関する計画に規制又は制限として定めるものとし、これ以外のものであって土地利用を誘導すべき事項については、当該地区の土地利用の誘導基準(規則で定めるものに限る。)として前項第1号に掲げる地区ごとに定めるものとする。

(土地利用基本方針の策定の手続)

第10条 市は、土地利用基本方針を定めようとするときは、あらかじめ、規則で定めるところにより、市民及び土地利用基本方針に関係を有する者の意見を求めるために必要な措置を講じるものとする。

2 市は、土地利用基本方針のうち、地域土地利用方針を策定しようとする場合においては、当該地域土地利用方針に係る地域自治区の住民の参加を得て策定するものとする。

3 市は、土地利用基本方針を定めようとするときは、あらかじめ、規則で定めるところにより、土地利用基本方針の対象となる土地の区域に係る地域協議会(地方自治法第202条の5第1項の規定による地域協議会をいう。以下同じ。)の意見を聴くものとする。

4 市は、土地利用基本方針を定めようとするときは、あらかじめ、飯田市土地利用計画審議会条例(平成19年飯田市条例第14号)の規定に基づく飯田市土地利用計画審議会(以下「審議会」という。)の意見を聴かなければならない。この場合において、都市計画に関する部分については、飯田市都市計画審議会条例(昭和44年飯田市条例第67号)の規定に基づく飯田市都市計画審議会の意見を聴くものとする。

5 市は、前項の場合において必要があると認めるときは、あらかじめ、飯田市農業振興地域整備推進審議会条例(昭和54年飯田市条例第3号)の規定に基づく飯田市農業振興地域整備推進審議会又は森林法(昭和26年法律第249号)第10条の5第1項に規定する森林整備計画に係る団体の意見を聴くものとする。

6 市は、土地利用基本方針を定めたときは、直ちに、規則で定めるところにより、その旨を公表しなければならない。

7 前各項の規定は、土地利用基本方針の変更(規則で定める軽易な変更を除く。)について準用する。

(地域住民等による申出)

第11条 市域のうち、一体として適正かつ合理的な土地利用を推進すべき土地の区域としてふさわしい一団の土地の区域であって規則で定める規模以上のものについて、土地所有者等(当該土地の所有権又は建物の所有を目的とする対抗要件を備えた地上権若しくは賃借権(臨時設備その他一時使用のために設定されたことが明らかなものを除く。)を有する者をいう。)は、一人で、又は数人が共同して、市に対し、土地利用基本方針の策定又は変更を申し出ることができる。

2 まちづくりの推進を図る活動を行うことを目的とする特定非営利活動促進法(平成10年法律第7号)第2条第2項の特定非営利活動法人若しくは一般社団法人若しくは一般財団法人又はまちづくり委員会(地域自治区において中核的にまちづくりに取り組むため組織された委員会等をいう。以下この条及び第15条第3項において同じ。)若しくは規則で定める団体は、前項に規定する土地の区域について、市に対し、土地利用基本方針の策定又は変更を申し出ることができる。ただし、まちづくり委員会にあってはその活動する土地の区域、規則で定める団体にあっては当該団体に係る土地の区域に限る。

3 前2項の規定による申出(以下「方針の申出」という。)は、当該方針の申出に係る土地利用基本方針の素案を添えて、規則で定めるところにより行わなければならない。この場合においては、当該土地利用基本方針の素案の対象となる土地の区域に係る地域協議会の意見を添えなければならない。

4 方針の申出に係る土地利用基本方針の素案の内容は、基本理念及び基本原則に基づいた内容であるとともに、法令又は他の条例の規定に基づく土地利用に関する計画との調和が保たれたものでなければならない。

(方針の申出に対する市の判断)

第12条 市は、方針の申出が行われたときは、遅滞なく、当該方針の申出を踏まえて土地利用基本方針の策定又は変更をする必要があるかどうかを判断し、当該土地利用基本方針の策定又は変更をする必要があると認めるときは、その案を作成しなければならない。この場合において必要があると認めるときは、当該土地利用基本方針の素案の対象となる土地の区域に係る地域協議会の意見を聴くものとする。

(方針の申出を踏まえた土地利用基本方針の案の審議会への付議)

第13条 市は、前条の規定により方針の申出を踏まえて土地利用基本方針の策定又は変更をしようとする場合において、その策定又は変更が当該方針の申出に係る土地利用基本方針の素案の内容の一部を実現することとなるものであるときは、審議会に対し、当該方針の申出に係る土地利用基本方針の素案を提出しなければならない。

(方針の申出を踏まえた土地利用基本方針の策定等をしない場合にとるべき措置)

第14条 市は、第12条の規定により同条の判断をした結果、方針の申出を踏まえて土地利用基本方針の策定又は変更をする必要がないと決定したときは、遅滞なく、その旨及びその理由を当該方針の申出をした者及び当該方針の申出の対象となる土地の区域に係る地域協議会に通知しなければならない。

2 市は、前項の規定による通知をしようとするときは、あらかじめ、当該土地利用基本方針の素案の対象となる土地の区域に係る地域協議会の意見を聴くとともに、審議会に当該土地利用基本方針の素案を提出してその意見を聴かなければならない。

(土地利用に関する指導等)

第15条 市長は、地域土地利用計画が策定された土地の区域内において、土地の利用又は建築物若しくは工作物の維持若しくは管理(以下「土地利用等」という。)に関して、適正かつ合理的な土地利用等が行われておらず、かつ、周辺の土地利用等に著しい影響を及ぼしていると認めるときは、当該地区の地域土地利用計画に照らして、良好な景観を形成し、若しくは風致を維持し、若しくは公衆に対する危害を防止し、又は適正かつ合理的な土地利用等を推進するため必要があると認める限度において、当該土地又は建築物若しくは工作物の所有者又は管理者その他土地利用等に関係する者に対し、とるべき必要な措置について指導又は勧告することができる。

2 市長は、前項の規定による指導又は勧告をしようとする場合においては、あらかじめ、当該指導又は勧告の対象となる土地又は建築物若しくは工作物が存する土地の区域に係る地域協議会の意見を聴くとともに、審議会の意見を聴かなければならない。

3 まちづくり委員会は、当該まちづくり委員会が活動する土地の区域について定められた地域土地利用方針を推進するため必要があると認めるときは、当該地域における第1項のとるべき必要な措置について、市長に申し出ることができる。この場合においては、規則で定めるところにより、当該申出に係る素案を添えて行わなければならない。

(委任)

第16条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、市長が規則で定める。

この条例は、平成19年4月1日から施行する。

(平成20年9月30日条例第33号)

この条例は、平成20年12月1日から施行する。

(平成24年3月28日条例第12号)

この条例は、公布の日から施行する。

飯田市土地利用基本条例

平成19年3月30日 条例第15号

(平成24年3月28日施行)