○飯田市再生可能エネルギーの導入による持続可能な地域づくりに関する条例
平成25年3月25日
条例第16号
(目的)
第1条 この条例は、飯田市自治基本条例(平成18年飯田市条例第40号)の理念の下に様々な者が協働して、飯田市民が主体となって飯田市の区域に存する自然資源を環境共生的な方法により再生可能エネルギーとして利用し、持続可能な地域づくりを進めることを飯田市民の権利とすること及びこの権利を保障するために必要となる市の政策を定めることにより、飯田市におけるエネルギーの自立性及び持続可能性の向上並びに地域でのエネルギー利用に伴って排出される温室効果ガスの削減を促進し、もって、持続可能な地域づくりに資することを目的とする。
(用語の意義)
第2条 この条例において用いる用語の意義は、次に定めるところによる。
(1) 協働 飯田市自治基本条例第3条第8号に規定するものをいう。
(2) 飯田市民 飯田市の区域に住所を有する個人をいう。
ア 太陽光を利用して得られる電気
イ 太陽光を利用して得られる熱
ウ 風力を利用して得られる電気
エ 河川の流水を利用して得られる電気
オ バイオマス(新エネルギー利用等の促進に関する特別措置法施行令(平成9年政令第208号)第1条第1号に規定するバイオマスをいう。)を利用して得られる燃料、熱又は電気
カ 前アからオまでに掲げるもののほか、市長が特に認めたもの
(4) 再生可能エネルギー資源 再生可能エネルギーを得るために用いる自然資源であって、飯田市の区域に存するものをいう。
(地域環境権)
第3条 飯田市民は、自然環境及び地域住民の暮らしと調和する方法により、再生可能エネルギー資源を再生可能エネルギーとして利用し、当該利用による調和的な生活環境の下に生存する権利(以下「地域環境権」という。)を有する。
(地域環境権の行使)
第4条 地域環境権は、次に掲げる条件を備えることにより行使することができる。
(1) 自然環境及び他の飯田市民が有する地域環境権と調和し、これらを次世代へと受け継ぐことが可能な方法により行使されること。
(2) 公共の利益の増進に資するように行使されること。
ア 地縁による団体(地方自治法(昭和22年法律第67号)第260条の2第1項に規定するものをいう。)
イ 前アのほか、再生可能エネルギー資源が存する地域に居住する飯田市民が構成する団体で、次に掲げる要件を満たすもの
(ア) 団体を代表する機関を備えること。
(イ) 団体の議事を多数決等の民主的手法により決すること。
(ウ) 構成員の変更にかかわらず団体が存続すること。
(エ) 規約その他団体の組織及び活動を定める根本規則を有すること。
(市長の責務)
第5条 市長は、飯田市民の地域環境権を保障するために、次に掲げることを実施する責務を有する。
(1) 飯田市民が地域環境権を行使するために必要な基本計画を策定すること。
(2) 前号に規定する基本計画に基づき、再生可能エネルギーを活用した持続可能な地域づくりにおいて主導的な役割を担い、飯田市民の地域環境権の行使を協働により支援すること。
(市民の役割)
第6条 飯田市民は、地域環境権を行使するに当たっては、他の飯田市民の地域環境権を尊重し、次に掲げる事項について、主体的に努めるものとする。
(1) エネルギーを利用するに当たっては、再生可能エネルギー資源から生み出された再生可能エネルギーを優先して利用すること。
(2) この条例の規定に基づいて行われる市の施策に協力すること。
(事業者の役割)
第7条 飯田市の区域で活動する事業者は、飯田市民の地域環境権を尊重し、次に掲げる事項に努めるものとする。
(1) 発電に関する事業を行う場合は、再生可能エネルギー資源を用いた再生可能エネルギーを活用する事業(以下「再生可能エネルギー活用事業」という。)として行うこと。
(2) エネルギーを利用するに当たっては、再生可能エネルギー資源から生み出された再生可能エネルギーを優先して利用すること。
(3) この条例の規定に基づいて行われる市の施策及び他者が行う再生可能エネルギー活用事業に協力すること。
(支援する事業)
第8条 市長は、第5条第2号の規定により、次に掲げる事業の実施を支援する。
(2) 団体の決定を経て、当該決定に従って地域団体及び公共的団体等が協力して行う再生可能エネルギー活用事業
(1) 前条第1号に規定する事業 地域団体
(2) 前条第2号に規定する事業 地域団体及びこれに協力する公共的団体等
2 市長は、前項の申出者に対し、次に掲げる事項を基準として指導、助言等を行う。
(1) 再生可能エネルギー活用事業を行う者が備えるべき人的条件
(2) 地域住民への公益的な利益還元その他再生可能エネルギー活用事業が備えるべき公共性
(3) 実施しようとする再生可能エネルギー活用事業に充てられるべき自己資金の割合
(4) 再生可能エネルギー活用事業を運営するに当たり、申出者が担うべき役割及び責任の内容
(5) 前条第2号に規定する事業にあっては、協力する相手方である公共的団体等が備えるべき公共性
(6) 前各号に定めるもののほか、市長が必要と認めた事項
(市長による支援)
第10条 市長は、前条第2項に掲げる基準に照らして適当と認めた事業を、協働による公共サービス(公共サービス基本法(平成21年法律第40号)第2条第2号に規定するもの又はこれに準じるものをいう。)と決定し、当該決定した事業(以下「地域公共再生可能エネルギー活用事業」という。)を実施しようとするもの(以下「実施者」という。)に対し、必要に応じ、次に掲げる支援を行う。
(1) 継続性及び安定性のある実施計画の策定並びにその運営のために必要となる助言
(2) 金融機関及び投資家による投融資資金が地域公共再生可能エネルギー活用事業に安定的に投融資されることを促し、初期費用を調達しやすい環境を整えるための信用力の付与に資する事項
(3) 補助金の交付又は資金の貸付け
(4) 市有財産を用いて地域公共再生可能エネルギー活用事業を行おうとする場合においては、当該市有財産に係る利用権原の付与
2 市長は、実施者と飯田市との役割分担及び各自の責任の所在を、書面をもって定める。
3 市長は、地域公共再生可能エネルギー活用事業が現に行われている期間においては、実施者に対し、当該事業が継続性及び安定性をもって運営されるために必要な指導、助言等をすることができる。
2 審査会は、市長が支援等を適切に行うために必要な事項について、市長の諮問に応じて専門的知見に基づく審査等を行い、市長に答申する。
3 市長は、前項の規定による審査会の答申があった場合は、その内容を尊重して支援等を行わなければならない。
(審査会の組織)
第13条 審査会は、学識経験を有する者のうちから市長が任命する者(以下「委員」という。)15人以内で組織する。
2 委員の任期は2年とする。ただし、再任を妨げない。
3 委員が事故その他の理由によりその任務を遂行できなくなったときは、市長は、補欠委員を任命するものとする。この場合において、当該補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。
(会長)
第14条 審査会に会長を置き、委員の互選をもってこれを定める。
2 会長は、審査会を代表し、審査会を招集し、審査会の会議において議長となる。
2 前項の規定により任命された委員の任期は、当該審査等を行うべき事項に応じ市長が定める。
(守秘義務)
第16条 委員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も同様とする。
(助言)
第17条 審査会は、必要と認めたときは、既に行われている地域公共再生可能エネルギー活用事業の実施状況を調査し、当該事業の実施者に対して必要な助言をすることができる。
(答申内容の公告)
第18条 市長は、審査会から第9条第2項第2号、同項第5号及び第10条第1項第1号に関する答申を受けた場合は、その内容を公告する。
(飯田市再生可能エネルギー推進基金)
第19条 第10条第1項第3号の規定による、地域公共再生可能エネルギー活用事業に対する貸付金の財源に充てるため、飯田市再生可能エネルギー推進基金(以下「基金」という。)を設置する。
2 基金の総額は4,000万円とする。
(基金への繰入れ)
第20条 市長は、使途を限定した寄附があった場合は、予算の定めるところにより基金に繰り入れる。
(資金の貸付け)
第21条 市長は、実施者に対し、基金を財源として、資金の貸付けを行う。
2 前項の規定により貸し付けられる資金(以下「貸付金」という。)は、地域公共再生可能エネルギー活用事業に係る建設工事を発注するための調査に直接必要な経費にのみ充てることができる。
3 貸付金の貸付けは、一の実施者につき1回とする。
4 貸付金の貸付額は、一の実施者につき1,000万円を限度とする。ただし、基金に属する現金の額が1,000万円を下回る場合にあっては、当該基金に属する現金の額を貸付額の限度とする。
(償還)
第22条 貸付金は無利子とし、貸付金の貸付けを受けた日が属する年度の翌々年度から、年賦で均等に償還するものとする。
2 前項の規定による償還の期間は、償還を開始した年度から起算して10年以内とする。
3 前2項の規定にかかわらず、考慮すべき事情があると市長が認めた場合は、償還方法を月賦又は半年賦とし、又は償還年限を短縮し、若しくは延長することができる。
(貸付けの決定の取消し)
第23条 貸付金の貸付けを受けた者が次の各号のいずれかに該当すると認めたときは、市長は、貸付金の貸付けの決定を取り消し、又は既に貸し付けた貸付金の返還を求める。ただし、やむを得ない事情があるものと認めた場合にあっては、この限りでない。
(1) 実施者において地域公共再生可能エネルギー活用事業の実施が不可能となり、又は当該実施が困難である明白な事由が発生したとき。
(2) 第21条第2項の規定に反したとき。
(3) 実施者が解散し、又は不在となる見込みとなったとき。
附則
(施行期日)
1 この条例は、平成25年4月1日から施行する。
(飯田市特別職の職員で非常勤の者の報酬に関する条例の一部改正)
2 飯田市特別職の職員で非常勤の者の報酬に関する条例(昭和37年飯田市条例第10号)の一部を次のように改正する。
(次のよう略)