○定住自立圏構想中心市宣言書
平成21年3月24日
中心市宣言
飯田市は、遠州・東三河・東濃地域と境を接する南信州圏域の中央に位置し、豊かな水と森林に抱かれ、四季折々の趣が美しい自然環境に恵まれた地である。
古くは東山道に始まり、近世には三州街道、遠州街道などの陸運や天竜川の水運が発達し、今日ではJR飯田線や中央自動車道など、いつの時代においても交通が結節する要衝にあり、伊那谷の政治・経済・文化の中心として、近郷近在とともに繁栄してきた。
多種多様な人やモノ、情報が行き交い、人々はそれらと交流する中で、進取の精神と学究性に富んだ創造力により独自の文化、産業を醸成してきた。
戦後まもなく遭遇した大火の復興という苦難の時に、中学生の発意により植えられた「りんご並木」は、飯田のまちづくりのシンボルである。創意と努力によって幾多の困難を乗り越えてきた「自主自立の精神」は、人々の心や地域に根付き、水引をはじめとする伝統産業は今なお地域経済の一翼を担い、神楽・人形浄瑠璃などの伝統芸能は連綿と息づいている。
さらに、人形劇フェスタに象徴される文化を生み、体験教育旅行を中心とした独自のグリーンツーリズムを育て、国内トップクラスを誇る先端技術開発に挑戦するなど、今も新たな価値の創造が続いている。
人々は、これらの文化的・経済的基盤を共有する中で、「結い」の精神と「ムトス」の行動力とによって特徴ある住民自治を展開し、飯田市を中心とした独立的な圏域を形成してきた。
将来を展望したとき、日本の総人口は急速に減少し、地方圏のみならず三大都市圏の人口まで減少していく厳しい情勢にある中で、地方分権の推進により基礎自治体の責任範囲が拡大してくることは明白であり、今後、市町村の見識と行動力が一層求められる時代となる。
こうした中、当地域が長野県の南の玄関として取り組んできた三遠南信地域の連携が新たな段階を迎え、また、三遠南信自動車道の伸展やリニア中央新幹線の具体化など、当地域は、日本の東西あるいは南北の交流・連携の要として、新たな飛躍が期待されている。
このような状況を踏まえ、われわれは、超長期的に目指している「環境文化都市」を実現するため、先人から受け継いだ「山のくらし」「里のくらし」「街のくらし」が渾然一体となって織りなす多様性あふれる魅力を大切に育み、次の世代へと確実に引き継いでいかなければならない。
われわれは、この地に若者達が定着し、多彩な「人財」が将来にわたり往来する、活力にあふれ美しく、心が響き合い、安心して暮らすことができる南信州定住自立圏を構築していこうとするものである。
飯田市及び関係町村は、住民が日常生活文化圏を共有していることを踏まえ、圏域を一体的に経営していく必要性を再認識したい。そして、相互の連携を一層強化する中で、共通課題の解決と圏域活力の再興・創造に向けて協働し、着実にこれを実行することで、地域政府としての責務を果たしていこうと考える。
飯田市は、圏域全体を視野に入れ、定住に必要な都市機能の整備・提供や生活機能の確保・充実に努めるとともに、豊かで多様なライフスタイルを提案しつつ圏域への人材誘導を強力に推進し、さらに「環境モデル都市」としての先駆的な取り組みを実践していくものである。
一方、町や村には、人々にとって欠くことの出来ない自然環境の保全や生活文化の保持・向上を図るなど、当地域が有する「多様性」を守り磨くことにより、圏域の魅力づくりと一体感の醸成にそれぞれが役割を果たすことを期待するものである。
このように、市と町と村とが相互に役割を分担する中で、圏域の未来を光り輝かせ、内外の人々を惹きつける地として、地方生活圏の新しい姿を創出しようとするものである。
飯田市は、圏域の中心都市としての自覚に基づき、共感と謙虚さをもってこのマネジメントを担い、率先垂範していく覚悟であり、理想と信念をもって邁進していくことを決意し、その意志をここに表明する。
平成21年3月24日
飯田市長 牧野光朗
1 飯田市の都市機能の集積状況及び利用状況等 |
別紙のとおり
2 飯田市と周辺町村との連携が想定される取組 |
(1) 生活機能の強化
① 医療
・ 飯田市立病院を中心に、民間病院等及び診療所が連携した地域医療体制の充実及び飯田市立病院の機能強化
② 福祉
・ 地域リハビリテーション広域支援センター(平成22年度中開設予定)等を中心とした治療後の回復期及び維持期の地域リハビリ機能の強化
・ 療育センターひまわり等を中心とした知的障害児者の療育訓練機能の強化
・ 行政、地域住民及び関係事業者等が連携した地域健康ケアの推進
③ 産業
・ 地場産業センター等を中心に、関係団体・関係事業者等が連携した経営基盤の強化及び地域ブランドの確立など地域経済の活性化
・ 南信州観光公社等を中心に、関係団体・関係事業者等が連携したグリーンツーリズム事業及び誘客事業の拡大
・ 関係団体・関係事業者等が連携し、マーケッティング力の強化及び地域ブランドの確立など農林業の振興と担い手の確保育成
・ 高齢者や障害者等も含めた魅力的な就業機会の創出
④ 教育及び文化
・ 飯田文化会館、飯田市美術博物館、飯田図書館等を中心に、行政、地域住民及び関係団体等が連携した文化・教育活動の充実
・ 保育所及び小中学校等の運営面における協力関係の構築
・ モノづくりの拠点校など高等教育機関の整備充実
(2) 結びつきやネットワークの強化
① 地域公共交通
・ 行政、地域住民及び関係事業者等が連携した持続可能な地域公共交通システムの構築及び実証実験
② ICTインフラの整備
・ 行政及び関係事業者等が連携した地域情報システム・地域防災情報システムの構築
③ 交流・移住促進
・ 飯田市結い(UI)ターンキャリアデザイン室を中心に、関係機関及び関係団体等が連携した定住促進に関する取組
・ 飯田市中心市街地、名勝天龍峡など、交流を促進するための圏域内の賑わい拠点の整備
(3) 圏域マネジメント能力の強化
① 中心市等における人材の育成
・ 合同研修などによる職員資質の向上
② 外部からの人材の確保
・ 専門家の共同招へい
(4) その他
・ 低炭素社会の構築に向けた南信州いいむす21など地域ぐるみによる環境関連活動及びリサイクルプラザなど必要な基盤等の整備
3 当該中心市に対して従業又は通学する就業者数及び通学者数を、常住する就業者数及び通学者数で除して得た数値(通勤通学割合)が0.1以上である市町村の名称、並びに中心市の周辺にあって、当該中心市と人口定住のための連携が想定される市町村の名称 |
・ 松川町、高森町、阿南町、清内路村、阿智村、平谷村、下條村、天龍村、泰阜村、喬木村、豊丘村、大鹿村、根羽村、売木村(下線:通勤通学者割合が0.1以上)
【別紙】 飯田市の都市機能の集積状況及び利用状況等
□医療関係
○飯田市立病院の利用状況(平成19年度)
利用区分 | 総数(人) | 飯田市民 | 周辺町村 | その他 | |||
利用者(人) | 割合 | 利用者(人) | 割合 | 利用者(人) | 割合 | ||
入院 | 123,188 | 73,050 | 59.3% | 39,667 | 32.2% | 10,471 | 8.5% |
外来 | 240,436 | 155,322 | 64.6% | 71,409 | 29.7% | 13,705 | 5.7% |
病院の概要 病床数:一般病床403床(うち救急ICU2床、ICU4床、NICU3床)、感染症病床4床 合計407床 診療科目:31科 |
資料:飯田市立病院
○主な飯田市内の4病院の利用状況(平成19年度)
利用区分 | 総数(人) | 飯田市民 | 周辺町村 | その他 | |||
利用者(人) | 割合 | 利用者(人) | 割合 | 利用者(人) | 割合 | ||
入院・外来 | 135,120 | 106,925 | 79.1% | 28,068 | 20.8% | 127 | 0.1% |
資料:聞き取り
○休日・夜間診療の状況(平成19年度)
利用区分 | 総数(人) | 飯田市休日夜間急患診療所 | 当番制(診療所)/輪番制(病院) | |||
飯田市民 | 割合 | 町村 | 割合 | |||
夜間 | 3,996 | 3,122 | 78.1% | 874 | 21.9% | 利用者の実態を把握していない |
休日 | 1,423 | 936 | 65.8% | 487 | 34.2% |
※当番・輪番に係る医師の待機経費は、休日夜間診療所の利用実績割合で按分
資料:飯田市保健福祉部
○圏域内の救急搬送の状況(平成19年)
搬送先 搬送者 | 総数(人) | 飯田市内病院 | 圏域内病院 | その他病院 | |||
利用者(人) | 割合 | 利用者(人) | 割合 | 利用者(人) | 割合 | ||
飯田市民 | 3,484 | 3,370 | 96.7% | 69 | 2.0% | 45 | 1.3% |
周辺町村 | 2,130 | 1,659 | 77.9% | 423 | 19.9% | 48 | 2.3% |
その他 | 75 | 67 | 89.3% | 0.0% | 8 | 10.7% | |
合計 | 7,819 | 6,755 | 86.4% | 915 | 11.7% | 149 | 1.9% |
資料:飯田広域消防(平成19年救急統計)
□福祉関係
○障害者施設の利用状況(平成19年度)
施設名 | 総数(人) | 飯田市民 | 他市町村 | ||
利用者(人) | 割合 | 利用者(人) | 割合 | ||
飯伊圏域障害者総合支援センター | 1,575 | 1,225 | 77.8% | 350 | 22.2% |
飯田市療育センターひまわり(通園) | 64 | 43 | 67.2% | 21 | 32.8% |
資料:飯田市保健福祉部
○主な高齢者福祉施設の利用状況(平成19年度末広域連合入所扱い分)
施設名 | 総数(人) | 飯田市民 | 周辺町村 | その他 | |||
利用者(人) | 割合 | 利用者(人) | 割合 | 利用者(人) | 割合 | ||
養護老人ホーム | |||||||
市内2施設 | 178 | 130 | 73.0% | 46 | 25.8% | 2 | 1.1% |
圏域内2施設 | 99 | 32 | 32.3% | 36 | 36.4% | 31 | 31.3% |
その他地域の4施設 | 7 | 5 | 71.4% | 2 | 28.6% | 0.0% | |
特別養護老人ホーム | |||||||
市内4施設 | 203 | 179 | 88.2% | 24 | 11.8% | 0.0% | |
圏域内9施設 | 482 | 210 | 43.6% | 269 | 55.8% | 3 | 0.6% |
その他地域の3施設 | 3 | 1 | 33.3% | 2 | 66.7% | 0.0% | |
飯田市上郷介護老人保健施設ゆうゆう(長期) | 245 | 208 | 84.9% | 36 | 14.7% | 1 | 0.4% |
(短期) | 145 | 141 | 97.2% | 4 | 2.8% | 0.0% |
資料:南信州広域連合、飯田市立病院
□産業関係
○産業関連施設の利用状況(平成19年度)
※専門校単位:人
施設名 | 総件数 | 飯田市 | 周辺町村 | その他 | |||
件数 | 割合 | 件数 | 割合 | 件数 | 割合 | ||
(財)飯伊地域地場産業振興センター | 942 | 710 | 75.4% | 39 | 4.1% | 193 | 20.5% |
飯田工業技術センター | 986 | 460 | 46.7% | 369 | 37.4% | 157 | 15.9% |
飯田EMCセンター | 156 | 54 | 34.6% | 0.0% | 102 | 65.4% | |
飯田技術専門校 | 33 | 14 | 42.4% | 11 | 33.3% | 8 | 24.2% |
資料:飯田市産業経済部
○圏域内の商工業の状況(平成19年度)
区分 | 総数 | 飯田市 | 周辺町村 | ||
割合 | 割合 | ||||
製造業 | |||||
事業所数(社) | 611 | 367 | 60.1% | 244 | 39.9% |
従業者数(人) | 17,402 | 10,716 | 61.6% | 6,686 | 38.4% |
年間製造品出荷額(万円) | 39,328,592 | 27,202,136 | 69.2% | 12,126,456 | 30.8% |
卸売業 | |||||
事業所数(社) | 418 | 320 | 76.6% | 98 | 23.4% |
従業者数(人) | 3,250 | 2,636 | 81.1% | 614 | 18.9% |
年間商品販売額(万円) | 14,566,466 | 12,103,978 | 83.1% | 2,462,488 | 16.9% |
小売業 | |||||
事業所数(社) | 1,948 | 1,269 | 65.1% | 679 | 34.9% |
従業者数(人) | 10,868 | 7,626 | 70.2% | 3,242 | 29.8% |
年間商品販売額(万円) | 18,209,094 | 13,538,191 | 74.3% | 4,670,903 | 25.7% |
大規模小売店舗(小売内数) | |||||
店舗数(店) | 34 | 24 | 70.6% | 10 | 29.4% |
従業員(人) | 2,130 | 1,726 | 81.0% | 404 | 19.0% |
年間商品販売額(万円) | 4,847,297 | 3,955,305 | 81.6% | 891,992 | 18.4% |
資料:H19商業統計(速報)、H19工業統計(速報)
□教育文化関係
○文化施設の利用状況(平成19年度)
施設名 | 総数(人) | 飯田市民 | 周辺町村 | その他 | |||
割合 | 割合 | 割合 | |||||
飯田市の主要3図書館登録者 | 37,317 | 32,385 | 86.8% | 4,156 | 11.1% | 776 | 2.1% |
利用者 | 140,741 | 124,127 | 88.2% | 15,462 | 11.0% | 1,152 | 0.8% |
飯田文化会館 | 176,222 | ||||||
川本喜八郎人形美術館 | 47,859 | 利用者の実態を把握していない | |||||
飯田市美術博物館 | 69,674 |
資料:飯田市教育委員会
○高等学校等の利用状況(平成19年度末在籍者)
施設名 | 総数(人) | 飯田市民 | 周辺町村 | その他 | |||
利用者(人) | 割合 | 利用者(人) | 割合 | 利用者(人) | 割合 | ||
市内高等学校6校 | 4,093 | 2,550 | 62.3% | 1,407 | 34.4% | 136 | 3.3% |
市内短期大学 | 569 | 118 | 20.7% | 95 | 16.7% | 356 | 62.6% |
飯田ゆめ未来ICTカレッジ | 26 | 12 | 46.2% | 12 | 46.2% | 2 | 7.7% |
資料:聞き取り
□公共交通等
○路線バスの利用状況(平成19年度)
単位:人
路線名 | ⇒飯田駅 | 飯田駅⇒ | 利用者延数 | 備考 |
駒場線 | 110,493 | 105,105 | 215,598 | 枝線を含む |
上市田線 | 3,853 | 2,565 | 6,418 | 全線運行便のみ |
市田線 | 4,644 | 3,171 | 7,815 | |
阿南線 | 5,589 | 4,200 | 9,789 | |
遠山郷線 | 8,447 | 6,707 | 15,154 | |
市民バス千代線 | 6,437 | 4,047 | 10,484 | |
市民バス久堅線 | 5,301 | 3,746 | 9,047 | |
市民バス三穂線 | 3,357 | 2,172 | 5,529 |
路線名 | 左回り | 右回り | 利用者延数 | 備考 |
阿島循環線 | 6,987 | 4,800 | 11,787 | 全線運行便のみ |
資料:信南交通(株)、飯田市建設部
○JR飯田線の市内主要駅の乗車状況の推移
単位:人
駅名 年度 | 総数 | 元善光寺 | 伊那上郷 | 飯田 | 切石 | 鼎 | 伊那八幡 | 天龍峡 |
15 | 1,907,414 | 200,855 | 314,852 | 492,279 | 87,527 | 272,674 | 99,868 | 159,740 |
16 | 1,830,615 | 201,731 | 302,637 | 472,991 | 81,125 | 256,000 | 95,478 | 151,240 |
17 | 1,728,560 | 192,991 | 290,875 | 436,011 | 78,050 | 234,321 | 90,048 | 157,591 |
18 | 1,677,360 | 179,098 | 296,111 | 426,910 | 79,870 | 222,278 | 87,768 | 151,684 |
資料:JR東海 ※総数は市内全駅の合計値
○中央自動車道飯田ICの利用状況の推移
単位:台
年度 区分 | 15 | 16 | 17 | 18 |
入 | 1,641,607 | 1,557,265 | 1,615,053 | 1,692,446 |
出 | 1,660,096 | 1,571,219 | 1,618,963 | 1,706,323 |
入1日平均 | 4,484 | 4,321 | 4,458 | 4,637 |
出1日平均 | 4,534 | 4,359 | 4,472 | 4,675 |
資料:中日本高速道路
□その他施設(平成19年度)
施設名 | 総数(人) | 飯田市民 | 周辺町村 | その他 | |||
利用者(人) | 割合 | 利用者(人) | 割合 | 利用者(人) | 割合 | ||
飯田市動物園 | 64,850 | 利用者の実態を把握していない | |||||
飯田市斎場 | 1,502 | 1,013 | 67.4% | 478 | 31.8% | 11 | 0.7% |
県飯田消費生活センター | 3,011 | 1,384 | 46.0% | 559 | 18.6% | 1,068 | 35.5% |
飯田自動車学校(普通教習) | 908 | 608 | 67.0% | 283 | 31.2% | 17 | 1.9% |
資料:飯田市建設部/水道環境部/聞き取り