○定住自立圏の形成に関する協定書
平成21年7月14日
飯田市(以下「甲」という。)と大鹿村(以下「乙」という。)は、定住自立圏の形成に関し、次のとおり協定を締結する。
(目的)
第1条 この協定は、中心市宣言(定住自立圏構想推進要綱(平成20年12月26日総行応第39号総務事務次官通知)第4の規定によるものをいう。)を行った甲と甲が行った中心市宣言に賛同した乙との間において、甲乙が相互に役割を分担して定住に必要な都市機能及び生活機能を確保し、及び充実させ、甲及び乙の区域への人材の誘導を促進するために定住自立圏を形成することに関して必要な事項を定めることを目的とする。
(1) 生活機能の強化に係る政策分野
ア 医療
(ア) 救急医療体制の確保
a 取組の内容
圏域の救急医療体制を確保するため、休日夜間当番制(社団法人長野県地域包括医療協議会支部飯伊地区包括医療協議会(以下「飯伊地区包括医療協議会」という。)による休日夜間急患診療所の運営、在宅当番医制、病院群輪番制並びに歯科及び調剤当番制をいう。以下同じ。)について支援を行う。
b 甲の役割
(a) 圏域の中核病院である飯田市立病院の開設者として、当該病院の新型救命救急センターの機能を維持し、及び充実させるとともに、休日夜間急患診療所を設置し、及び管理する。
(b) 休日夜間当番制の運営に必要な医師、歯科医師及び薬剤師の待機に係る経費(以下「待機料」という。)の算定の調整を行い、受益に応じた待機料を負担する。
(c) その他休日夜間当番制が円滑に運営されるために必要な支援を行う。
c 乙の役割
(a) 受益に応じた待機料を負担する。
(b) その他休日夜間当番制が円滑に運営されるために必要な支援を行う。
(イ) 産科医療体制の確保
a 取組の内容
圏域の産科医療体制を確保するため、甲、乙、圏域の医療関係者等で構成する産科問題懇談会を中心に、セミオープンシステム及び共通カルテ(以下「セミオープンシステム等」という。)の運用など、地域の医療機関と連携した取組を行う。
b 甲の役割
(a) 圏域の中核病院である飯田市立病院の開設者として、当該病院の地域周産期母子医療センターの機能を維持し、及び充実させるとともに、医師の招へいに努める。
(b) セミオープンシステム等を円滑に運営するために、甲の区域内の住民に対し、セミオープンシステム等の周知及び啓発を行う。
c 乙の役割
セミオープンシステム等を円滑に運営するために、乙の区域内の住民に対し、セミオープンシステム等の周知及び啓発を行う。
(ウ) 大規模災害医療救護体制の整備
a 取組の内容
圏域の大規模災害医療救護体制を確保するため、飯伊地区包括医療協議会が策定した大規模災害医療救護計画(以下「医療救護計画」という。)に基づき、医療機関、他町村、消防及び自主防災会等と連携して、当該計画の実効性を確保するための取組を行う。
b 甲の役割
衛星携帯電話による情報ネットワークシステム、治療優先順序の選択等医療救護計画に定められた圏域において先導的な役割を果たすこととなる事項に係る訓練を毎年度行う。
c 乙の役割
医療救護計画に定められた訓練を行う。
(エ) 飯田下伊那診療情報連携システムism―Linkへの支援
a 取組の内容
圏域の医療機関における情報共有化を図り、切れ目のない安全安心の医療を提供するため、電気通信回線によるネットワークを用いてそれぞれの医療機関が保有する診療情報の一部を患者本人の同意を得て閲覧できるシステム(以下「診療情報連携システム」という。)の運用について支援を行う。
b 甲の役割
(a) 乙及び関係他町村と協議の上、診療情報連携システムの運用に必要な機器、ソフトウェア、ネットワーク機材等の導入及び更新に必要な経費の一部を医療機関に対し補助する。
(b) 診療情報連携システムの周知及び啓発を行う。
c 乙の役割
(a) 甲及び関係他町村と協議の上、前b(a)に掲げる経費の一部を負担するほか、医療機関に対し必要な補助を行う。
(b) 甲が行う診療情報連携システムの周知及び啓発に協力する。
イ 福祉
(ア) 圏域健康計画の策定
a 取組の内容
圏域住民の健康に関する総合的なマネジメントを行うための計画(以下「圏域健康計画」という。)の作成を行う。
b 甲の役割
(a) 乙が行う住民の健康の維持のための独自の取組を踏まえた上で甲の区域における住民の健康に関する総合的な計画を作成し、及び当該計画の実施に際し圏域において先導的な役割を果たすこととなる事項について取組を行う。
(b) 乙と共同して圏域健康計画を策定し、及び推進する。
c 乙の役割
甲と共同して圏域健康計画を策定し、及び推進する。
(イ) 病児・病後児保育事業の実施
a 取組の内容
圏域の子育て環境の充実のため、甲又は乙の住民に係る病児・病後児保育事業を行う。
b 甲の役割
(a) 病児・病後児保育事業の実施に必要な施設及び人員の確保を行う。
(b) 甲の住民に係る病児・病後児保育事業の実施に必要な事務を行う。
(c) 乙と協議の上病児・病後児保育事業の実施に必要な経費を負担する。
c 乙の役割
(c) 乙の住民に係る病児・病後児保育事業の実施に必要な事務を行う。
(d) 甲と協議の上病児・病後児保育事業の実施に必要な経費を負担する。
(ウ) 成年後見支援センターの設置
a 取組の内容
圏域の高齢者及び障害者等の権利を擁護するため、甲又は乙の住民に係る成年後見支援センターを設置し、及び運営する。
b 甲の役割
(a) 成年後見支援センターを設置する。
(b) 甲の住民に係る成年後見支援センターが行う事業の実施に必要な事務を行う。
(c) 乙と協議の上成年後見支援センターの運営に必要な経費を負担する。
c 乙の役割
(a) 乙の住民に係る成年後見支援センターが行う事業の実施に必要な事務を行う。
(b) 甲と協議の上成年後見支援センターの運営に必要な経費を負担する。
ウ 産業振興
(ア) 産業センターの運営等
a 取組の内容
圏域の産業の中核的な支援機関である公益財団法人南信州・飯田産業センター(以下「産業センター」という。)の施設及び人材を充実させ、圏域内の企業に対し人材育成、新事業展開、新規創業等の支援を行うことにより、企業の経営及び技術の革新並びに産業クラスターの形成を目指す。
b 甲の役割
(a) 産業センターを有効に機能させるために、運営に必要な人材の派遣及び確保に努める。
(b) 産業センターの運営に乙と共同して取り組み、乙及び関係他町村と協議の上必要な経費を負担する。
c 乙の役割
産業センターの運営に甲と共同して取り組み、甲及び関係他町村と協議の上必要な経費を負担する。
(イ) 鳥獣害防止総合対策
a 取組の内容
圏域内の山村の機能を保全するため、鳥獣による農林水産業等に係る被害の防止のための特別措置に関する法律(平成19年法律第134号)に基づき、甲及び乙が策定した被害防止計画に定めた鳥獣被害防止対策を総合的に進める。
b 甲の役割
(a) 関係住民との連携を図りつつ、乙と鳥獣被害に関する緊密な情報交換を行う。
(b) 乙と共同して鳥獣被害防止対策の研究を行うとともに、当該対策が有効なものとなるよう取り組む。
c 乙の役割
(a) 関係住民との連携を図りつつ、甲と鳥獣被害に関する緊密な情報交換を行う。
(b) 甲と共同して鳥獣被害防止対策の研究を行うとともに、当該対策が有効なものとなるよう取り組む。
エ 環境
地域ぐるみによる環境関連活動
(ア) 取組の内容
低炭素社会の構築に向け、地域独自の環境マネジメントシステムである南信州いいむす21など地域ぐるみで行う環境関連活動を推進する。
(イ) 甲の役割
甲は、環境モデル都市アクションプランを中心に、地域ぐるみで行う環境関連活動を推進するとともに、乙の区域内における同様の活動の推進を支援する。
(ウ) 乙の役割
乙は、甲の支援を得つつ、地域ぐるみによる環境関連活動を推進する。
(2) 結びつきやネットワークの強化に係る政策分野
ア 地域公共交通及びICTインフラの整備
(ア) 地域公共交通ネットワークの構築
a 取組の内容
南信州地域公共交通総合連携計画(以下「総合連携計画」という。)に基づき、圏域における公共交通の課題について継続的に調査し、及び検証するとともに、JR飯田線の活用を踏まえたバス路線等の効果的かつ効率的な運行について総合的な調整を行い、圏域内の公共交通ネットワークの構築に取り組む。
b 甲の役割
総合連携計画における基幹路線の起点及び終点になっていることを踏まえ、圏域における公共交通の総合的な推進を図る。
c 乙の役割
総合連携計画における基幹路線であるJR飯田線に接続する准基幹路線である大鹿線について、必要な整備を行う。
(イ) 地域情報共有システムの構築
a 取組の内容
(a) 圏域内の防災情報等を電子メールで配信するシステム(以下「メール配信システム」という。)を構築し、及び運営する。
(b) 行政、各種団体等が情報を受発信し、圏域住民が各種地域情報を容易に入手できる地域コミュニティサイト及びケーブルテレビによるデータ放送を配信するシステム(以下「データ放送システム」という。)を構築し、及び運営する。
b 甲の役割
(a) 乙と共有することができるメール配信システム及び地域コミュニティサイトを構築し、及び運営する。
(b) 乙と共有することができるデータ放送システムの構築について共同で研究する。
c 乙の役割
甲が構築するメール配信システム及び地域コミュニティサイトを活用するとともに、甲と共有することができるデータ放送システムの構築について共同で研究する。
(ウ) 戸籍情報処理に係る電算システム機器の一部の共同利用
a 取組の内容
圏域の戸籍情報処理に係る電算システム機器(以下「戸籍情報システムサーバ」という。)について、次に掲げる取組により業務の経費を削減するとともに、住民サービスの向上を図る。
(a) 戸籍情報システムサーバを共同で整備し、及び利用する。
(b) 災害等による戸籍情報の滅失を防ぐために、戸籍情報システムサーバのバックアップシステムを構築する。
(c) 災害等によるシステム障害に備え、戸籍情報システムサーバにおける復旧体制を整備する。
b 甲の役割
(a) 乙及び関係他町村と協議の上、戸籍情報システムサーバ及び戸籍情報システムサーバの運用に必要なプログラムを導入し、及び管理し、並びに保有する戸籍情報を保護する。
(b) 戸籍情報システムサーバに係る事故等の発生時における乙、関係他町村及び関係機関への連絡及び調整を行う。
c 乙の役割
(a) 甲及び関係他町村との協議の上、前b(a)に係る経費の一部を負担する。
(b) 前b(b)の連絡及び調整に協力する。
イ 圏域内外の住民との交流及び移住の促進
にぎわい拠点の整備
(ア) 取組の内容
魅力ある圏域づくりのため、にぎわいの創出及び圏域内外の住民との交流の拠点づくりを進める。
(イ) 甲の役割
飯田市中心市街地、名勝天龍峡などにおいて、にぎわいの創出及び圏域内外の住民との交流の拠点づくりを進める。
(ウ) 乙の役割
大鹿歌舞伎、南アルプス等乙の区域内に存する観光資源の魅力の向上を図り、甲の住民及び大都市圏等の圏域外の住民に対して、娯楽及び体験の機会並びに癒しの空間を提供する。
(3) 圏域マネジメント能力の強化に係る政策分野
人材育成等
ア 取組の内容
職員の資質向上及び圏域マネジメント能力を強化するため、合同研修、圏域外の専門家の招へい等を行う。
イ 甲の役割
(ア) 環境、法務、財務会計、税務等の専門研修又は前2号に規定する取組を推進するための研修を行うに際し、乙の求めに応じて乙の職員に当該研修への参加の機会を設ける。
(イ) 乙が(ア)に掲げるものと同様の研修、及び事務事業を行うに際し、乙の求めに応じて講師として甲の職員を派遣する。
(ウ) 前2号に規定する取組を推進するために、甲乙が必要と認める圏域外の専門家の招へい等を行う。
ウ 乙の役割
前イの規定による甲の取組を活用し、職員資質の向上、事務事業の質の向上及び前号までに規定する取組の推進を図る。
(事務執行に当たっての連携、協力及び費用負担)
第4条 前条に規定する取組を推進するため、甲乙は、相互に役割を分担して連携し、又は協力して事務の執行に当たるものとする。
(協定の変更)
第5条 この協定の規定を変更しようとする場合は、甲乙が協議の上これを定めるものとする。この場合において、甲乙は、あらかじめ議会の議決を得ることとする。
(協定の廃止)
第6条 甲又は乙は、この協定を廃止しようとする場合は、あらかじめ議会の議決を経た上でその旨を他方に通告するものとする。
2 前項の通告は、書面によって行い、議会の議決書の写しを添付するものとする。
3 この協定は、第1項の規定による通告があった日から起算して2年を経過した日にその効力を失う。
(疑義の解決)
第7条 この協定の規定に関し疑義が生じた場合は、甲乙が協議の上これを定める。
この協定の締結を証するため、本協定書2通を作成し、甲乙が記名押印の上、それぞれ各1通を保有する。
令和3年3月19日
飯田市大久保町2534番地
甲 飯田市
飯田市長 佐藤健
下伊那郡大鹿村大字大河原354番地
乙 大鹿村
大鹿村長 熊谷英俊