○飯田市空家等の適正な管理及び活用に関する条例

平成27年3月26日

条例第8号

(目的)

第1条 この条例は、空家等対策の推進に関する特別措置法(平成26年法律第127号。以下「法」という。)第1条に定める目的のほか、飯田市において空家等の増加が地域コミュニティの活力低下の要因となっていること、及び適切な管理が行われていない空家等の増加が周辺の地域において防犯等の生活環境の保全上の支障を生じさせていることに鑑み、空家等の適正な管理及び活用の推進並びに新たな空家の発生の予防に関し、飯田市が行う政策の内容その他必要な事項を定めるとともに、飯田市、市民及びまちづくり委員会の責務並びにこれらの者と空家等の所有者等、事業者、市民活動団体等の連携に関する事項を明らかにすることにより、多様な主体が協働して健全で快適な生活環境の保全を図り、もって活力ある地域づくりの実現に寄与することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

(1) 空家等 法第2条第1項に規定する空家等であって、飯田市(以下「市」という。)の区域に所在するものをいう。

(2) 特定空家等 法第2条第2項に規定する特定空家等であって、市の区域に所在するものをいう。

(3) 準特定空家等 特定空家等に該当しない空家等であって、次のいずれかに掲げる状態にあると市長が認めるものをいう。

 老朽化、自然災害その他の事由により、建築物又はこれに附属する工作物が倒壊し、又はその部材が落下し、若しくは飛散することによって、保安上危険となるおそれのある状態

 草木の著しい繁茂又は害虫、ねずみその他の生物の著しい発生により、衛生上有害となるおそれ又は景観を損なうおそれのある状態

 不特定の者の侵入を容易に許し、火災又は犯罪が誘発されるおそれがある状態

 からまでに掲げるもののほか、適切な管理が行われていないことにより周辺の良好な生活環境の維持を図る上で支障を生じるおそれがあるものとして市長が規則で定める状態

(4) 所有者等 法第3条に規定するものをいう。

(5) 市民 市の区域に居住し、勤務し、通学し、又は滞在する者をいう。

(6) まちづくり委員会 飯田市自治基本条例(平成18年飯田市条例第40号)第14条に規定する委員会等をいう。

(7) 市民活動団体等 市民活動団体(ボランティア活動その他の公益的な活動を行うことを目的として市民が組織する団体をいう。)その他の団体であって、飯田市自治基本条例第3条第6号に規定するまちづくりの活動の促進に関わるもの(まちづくり委員会を除く。)をいう。

(8) 事業者 市の区域において不動産業、建設業その他の空家等の活用(法第6条第2項第5号に規定する活用をいう。以下同じ。)に関連する事業活動を行う法人その他の団体又は個人をいう。

(市の責務)

第3条 市は、空家等に関する対策を総合的かつ計画的に実施するため、空家等対策計画(法第6条第1項に規定するものをいう。以下同じ。)を定めるものとする。

2 市は、まちづくり委員会、市民活動団体等その他の関係機関と連携し、空家等に関する対策の実施及び市民の意識の啓発を行うものとする。

3 市は、空家等対策計画に基づき必要と認める場合においては、まちづくり委員会及び市民活動団体等が行う空家等の活用に係る取組について支援を行うものとする。

4 市は、空家等に係る情報について、次条の規定による市民からの提供又は第5条の規定によるまちづくり委員会からの提供を受けたときは、必要に応じ法第9条第1項に規定する調査又は同条第2項の規定による立入調査を行うものとする。

(市民の責務)

第4条 市民は、特定空家等又は準特定空家等があると認めるときは、速やかにその情報を市又はこれらの空家等が所在する地域自治区(飯田市地域自治区の設置等に関する条例(平成18年飯田市条例第42号)第2条の規定により設置されたものをいう。以下同じ。)に係るまちづくり委員会に提供するものとする。

(まちづくり委員会の責務)

第5条 まちづくり委員会は、前条の規定による情報の提供を受けたときは、速やかにその情報を市に提供するものとする。

2 前項の情報に関し、空家等の所有者等に関する事項その他当該空家等について市が実施する施策に必要な事項について市が行う調査において、市から当該事項に関する情報の提供の求めがあったときは、まちづくり委員会は、当該事項について有する情報の提供を行うことその他の必要な協力を行うものとする。

3 まちづくり委員会は、その所在する地域自治区の区域の空家等に関する情報の収集に努めるものとする。

(相互の協力)

第6条 市、空家等の所有者等、市民、まちづくり委員会及び事業者は、この条例の目的を達成するため、相互にその果たす役割を理解し、協力するものとする。

(助言又は指導)

第7条 市長は、準特定空家等の所有者等に対し、当該準特定空家等に関し、第2条第3号に規定する状態の改善を図るために必要な措置をとるよう助言し、又は指導することができる。

(緊急安全措置)

第8条 市長は、著しく保安上危険となるおそれのある状態にある特定空家等又は第2条第3号アに規定する状態にある準特定空家等(以下この条においてこれらを総称して「空家等」という。)について、公共の安全を確保するため緊急の必要があり、かつ、その実施により空家等の形状を著しく変形させることはないと見込まれるときは、当該公共の安全の確保に必要な最低限度の措置(以下この条において「緊急安全措置」という。)を講じることができる。

2 前項の場合において、緊急安全措置の実施に要した費用は、市が負担するものとする。

3 市長は、第1項の規定により緊急安全措置を講じたときは、空家等の所有者等に対し、行った措置の内容を文書により通知しなければならない。

4 前項の規定による通知は、過失がなくて空家等の所有者等を確知することができないときは、前項に規定する内容を公告することをもってこれに代えることができる。

(軽微な措置)

第9条 市長は、特定空家等又は準特定空家等(以下この条においてこれらを総称して「空家等」という。)について、次に掲げるいずれかの措置(以下この条において「軽微な措置」という。)をとることにより周辺における保安、衛生、景観、防災、防犯等について良好な生活環境の維持を図る上での支障を除去し、又は軽減することができると認めるときは、当該空家等の所有者等に対し、相当の期限を定めて、軽微な措置を講じるよう命令することができる。

(1) 開放されている窓その他の開口部の閉鎖

(2) 開放されている門扉の閉鎖

(3) 草刈り

(4) 前3号に掲げるもののほか、これらと同程度の措置で市長が必要と認めるもの

2 市長は、前項の規定による命令をした場合において、当該命令を受けた者が当該命令に係る軽微な措置を履行しないとき、履行しても十分でないとき、又は履行しても同項に規定する期限までに完了する見込みがないときは、行政代執行法(昭和23年法律第43号)の定めるところにより、自ら当該軽微な措置を講じることができる。

3 市長は、前項に規定する軽微な措置をまちづくり委員会に行わせることができる。

4 第1項の規定による命令については、飯田市行政手続条例(平成8年飯田市条例第12号)第3章(第12条及び第14条を除く。)の規定は、適用しない。

(民事による解決との関係)

第10条 この条例の規定は、空家等に関する紛争の当事者が、双方の合意による当該紛争の自主的な解決を図ることを妨げるものではない。

(報告の徴収)

第11条 市長は、空家等の所有者等に対し、当該空家等の使用又は管理の状況について報告を求めることができる。

(活用の促進及び発生の予防)

第12条 空家等の所有者等は、自ら利用する見込みのない空家等について、賃貸借、譲渡その他第三者による使用又は管理の方法を積極的に用いるよう努め、地域資源としての活用を図るものとする。

2 建築物の所有者等は、その建築物が空家等とならないよう努めるものとする。

3 市、まちづくり委員会、事業者及び市民活動団体等は、所有者等と連携して空家等の活用及び空家等の発生の予防に取り組むものとする。

(審議会)

第13条 市長は、法第7条第1項に規定する協議及び法第14条第3項の規定による命令又は同条第9項若しくは同条第10項の規定により市が行う措置に関する審査を行うため、飯田市空家等審議会(以下「審議会」という。)を置く。

2 審議会は、市長の諮問に応じ、前項に規定する目的を達成するため必要な事項について協議し、審査し、又は意見を述べるものとする。

3 市長は、第1項に規定する命令又は措置を行おうとするときは、審議会の意見を聴かなければならない。

4 審議会は、10人以内の委員により組織する。

5 審議会の委員は、次の各号に掲げる者の中から市長が任命する。

(1) 市の区域に居住する者

(2) 法務、不動産、建築、福祉、文化等に関する学識経験者

6 委員の任期は、2年とし、再任を妨げない。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。

7 審議会に会長及び副会長を置き、委員の互選によりこれを定める。

8 会長は、会務を総理し、審議会を代表する。

9 副会長は、会長を補佐し、会長に事故あるとき、又は会長が欠けたときはその職務を代理する。

10 審議会の会議は、市長の要請により会長が招集し、会長が議長となる。

11 審議会の会議は、委員の半数以上が出席しなければ開くことができない。

12 審議会の議事は、出席した委員の過半数をもって決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。

13 会長は、審議会において必要があると認めるときは、その会議に関係者の出席を求め、意見を聴くことができる。

14 前各項に定めるもののほか、審議会の運営に関し必要な事項は、市長が規則で定める。

(関係機関との連携)

第14条 市長は、この条例の規定の施行に必要と認める場合は、官公署その他の関係機関と必要な措置について協議し、連携した対応を行うものとする。

2 市長は、法及びこの条例の規定の施行に必要な限度において、特定空家等及び準特定空家等の所有者等に関する情報をこれらの空家等が所在する地域自治区に係るまちづくり委員会に提供することができる。

3 まちづくり委員会は、前項の規定により提供を受けた情報について、当該提供を受けた目的以外の目的に利用し、又は提供することを防止するための措置その他当該情報の適正な管理のために必要な措置を講じるものとする。

(委任)

第15条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、市長が規則で定める。

(施行期日)

1 この条例は、平成27年7月1日から施行する。

(飯田市特別職の職員で非常勤の者の報酬に関する条例の一部改正)

2 飯田市特別職の職員で非常勤の者の報酬に関する条例(昭和37年飯田市条例第10号)の一部を次のように改正する。

(次のよう略)

(条例の見直し)

3 市は、この条例の施行の状況を勘案し、必要があると認めるときは、この条例の規定について検討を加え、その結果に基づいて条例の見直しを行うものとする。

飯田市空家等の適正な管理及び活用に関する条例

平成27年3月26日 条例第8号

(平成27年7月1日施行)