○飯田市犯罪被害者等支援条例
令和7年3月28日
条例第12号
(目的)
第1条 この条例は、犯罪被害者等基本法(平成16年法律第161号)に基づき、犯罪被害者等支援に関する基本理念を定め、市の責務並びに市民等及び事業者の役割を明らかにするとともに、犯罪被害者等支援の施策について基本となる事項を定め、犯罪被害者等支援を総合的かつ計画的に推進することにより、犯罪被害者等が受けた被害の早期の回復及び軽減並びに犯罪被害者等の生活の再建及び権利利益の保護を図り、もって誰もが安心して暮らすことができる地域社会の実現に寄与することを目的とする。
(1) 犯罪等 犯罪及びこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす行為をいう。
(2) 犯罪被害者等 犯罪等により被害を受けた者及びその家族又は遺族をいう。
(3) 犯罪被害者等支援 犯罪被害者等が、その受けた被害を早期に回復し、又は軽減し、安心して暮らすことができるようにするための支援をいう。
(4) 市民等 市内に住所を有する者、市内に居住する者、市内に勤務する者、市内に在学する者又は市内において活動を行う者をいう。
(5) 事業者 市内において事業活動を行う個人又は法人その他の団体をいう。
(6) 二次被害 犯罪等による直接的な被害を受けた後に、周囲の者、犯罪被害者等に接する行政機関の職員その他関係者による理解又は配慮に欠ける言動、インターネットを通じて行われる誹謗中傷並びに報道機関による過度な取材及び報道により、犯罪被害者等が受ける精神的な苦痛、心身の不調、名誉の毀損、私生活の平穏の侵害、経済的な損失その他の被害をいう。
(7) 再被害 犯罪被害者等が当該犯罪等の加害者から再び被害を受けることをいう。
(8) 民間支援団体 犯罪被害者等給付金の支給等による犯罪被害者等の支援に関する法律(昭和55年法律第36号)第23条第1項に規定する犯罪被害者等早期援助団体その他の犯罪被害者等支援を行う民間の団体をいう。
(9) 関係機関等 国、県、警察、民間支援団体その他の犯罪被害者等支援に関係するものをいう。
(基本理念)
第3条 犯罪被害者等支援は、犯罪被害者等の個人の尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい処遇を保障される権利が尊重されることを旨として行われなければならない。
2 犯罪被害者等支援は、犯罪被害者等が受けた被害又は二次被害の状況及び原因、犯罪被害者等が置かれている状況その他の事情に応じ、適切に行われなければならない。
3 犯罪被害者等支援は、犯罪被害者等が安心して暮らすことができるよう、必要な支援が迅速かつ公正に行われ、かつ、途切れることなく提供されることを旨として行われなければならない。
4 犯罪被害者等支援は、犯罪被害者等の名誉又は日常生活を害することとならないよう、二次被害及び再被害の発生の防止について十分配慮して行われなければならない。
5 犯罪被害者等支援は、市及び関係機関等による相互の連携及び協力の下で行われなければならない。
(市の責務)
第4条 市は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、関係機関等との適切な役割分担を踏まえて、犯罪被害者等支援のための施策を策定し、及び実施する責務を有する。
(市民等の責務)
第5条 市民等は、基本理念にのっとり、犯罪被害者等が置かれている状況及び犯罪被害者等支援の必要性についての理解を深め、二次被害の発生を防止し、犯罪被害者等を地域社会で孤立させないよう十分配慮するとともに、市及び関係機関等が実施する犯罪被害者等支援に関する施策に協力するよう努めるものとする。
(事業者の責務)
第6条 事業者は、基本理念にのっとり、犯罪被害者等が置かれている状況及び犯罪被害者等支援の必要性についての理解を深め、事業活動を行うに当たっては、二次被害の発生を防止するよう十分配慮するとともに、市及び関係機関等が実施する犯罪被害者等支援に関する施策に協力するよう努めるものとする。
2 事業者は、犯罪被害者等に該当する従業員の就労及び勤務に十分配慮するとともに、必要な支援を行うよう努めるものとする。
(支援体制の整備)
第7条 市は、犯罪被害者等支援を総合的に実施するための窓口を設置するものとする。
2 市は、犯罪被害者等支援に関し、関係機関等と相互に連携を図りながら協力するための体制を整備するものとする。
(個人情報の適切な管理)
第8条 市は、犯罪被害者等支援における個人情報の重要性を認識し、犯罪被害者等及びその関係者の個人情報を適切に管理しなければならない。
2 市は、市以外の犯罪被害者等支援を実施する者に対し、前項の規定に準じて犯罪被害者等及びその関係者の個人情報を適切に管理するよう求めるものとする。
(財政上の措置)
第9条 市は、犯罪被害者等支援のための施策を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。
(相談及び情報の提供等)
第10条 市は、犯罪被害者等が、その受けた被害を早期に回復し、又は軽減し、安心して暮らすことができるようにするため、犯罪被害者等が直面している各般の問題について相談に応じ、必要な情報の提供、助言その他の必要な支援を行うものとする。
(日常生活の支援)
第11条 市は、犯罪被害者等が早期かつ円滑に日常生活を安心して営むことができるよう、日常生活の支援に関する情報の提供、助言その他の必要な支援を行うものとする。
(居住の安定)
第12条 市は、犯罪等により従前の住居に居住することが困難となった犯罪被害者等の居住の安定を図るとともに、二次被害及び再被害の発生を防止するため、犯罪被害者等の一時的な利用のための住居の提供その他必要な措置を講ずるものとする。
(経済的負担の軽減)
第13条 市は、犯罪等に起因する犯罪被害者等の経済的負担の軽減を図るため、必要な支援を行うものとする。
(市民等及び事業者の理解の増進)
第14条 市は、犯罪被害者等が置かれている状況及び犯罪被害者等支援の必要性について市民等及び事業者の理解を深めるとともに、二次被害を防止し、犯罪被害者等を地域社会で孤立させることのないようにするため、広報、啓発、教育その他の必要な施策を行うものとする。
(民間支援団体に対する支援)
第15条 市は、民間支援団体が適切かつ効果的に犯罪被害者等支援を推進することができるよう、犯罪被害者等支援に関する情報の提供その他の必要な支援を行うものとする。
(委任)
第16条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。
附則
この条例は、令和7年4月1日から施行する。