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市長エッセー(散歩道)その100~110

印刷用ページを表示する 掲載日:2013年11月27日更新

飯田市長・牧野光朗が日々感じたことを記していきます

101 渋谷で体験できる「人形劇のまち飯田」 (広報いいだ平成25年6月1日号より)

 渋谷駅から歩いて数分、渋谷区文化総合センター大和田の中にある「コスモプラネタリウム渋谷」で、この5月8日から7月4日まで、飯田市のオリジナル番組「人形劇のまち飯田」が上映されています。
 飯田市美術博物館のデジタルプラネタリウムにおけるドーム映像の番組づくりについては本欄でも採り上げましたが、既に12作品が制作されています。これらは和歌山大学観光学部との協働によるものですが、「観光」の視点から当事業を更に発展させて、他地域でも上映できないものか、と考えていました。そこで1年半ほど前に、座光寺地区との交流や防災協定など、かねてから関係が深かった渋谷区の桑原敏武区長さんをお訪ねし、このお願いをしたところ、大変有難いことに快く引き受けてくれました。
 渋谷のプラネタリウムは飯田に比して規模が大きく、投影システムも異なるため、実際に映像を変換して上映できるようにするまで時間を要しましたが、川本喜八郎先生がお住まいになっていた渋谷区から人形劇文化の発信になれば、と区長さんが自ら当番組を選んでくれました。人形劇フェスタ15周年に花を添える情報発信になれば、と期待しているところです。

 102 特急伊那路で「穂の国」へ (広報いいだ平成25年7月1日号より)

 豊橋市の佐原市長のお招きで「穂の国とよはし芸術劇場PLATアートスペース」のこけら落とし公演を観に行って来ました。今回の観劇には往復とも飯田線を使い、特急伊那路で片道2時間半の行程でしたが、深緑の山と渓谷の景色をゆったり楽しむことができました。
 当劇場は豊橋駅の隣接地にPFIという民間の資金や経営・技術能力を活用した手法で建てられたもので、当市出身の俳優、平田満さんが芸術文化アドバイザーを務めています。
 佐原市長ご夫妻と観た今回の公演は、その平田満さんが出演する「父よ!」と題する演劇でした。母親に先立たれた老齢の父親の面倒を四人兄弟の誰がみるか、と言う今の高齢社会の重い題材をコミカルに描いていて、思わず笑ってしまったり、しんみり考えさせられたりする作品でした。
 佐原市長としては、当劇場を全国から劇人が集まる催しの拠点として活用できないか、考えているそうなので、何かの参考になればと思い、この8月の人形劇フェスタにお誘いしておきました。こうした交流が三遠南信の文化的繋がりを深める契機になれば、と期待するところです。

103 学んで、発信する「松尾小の宝」 (広報いいだ平成25年8月1日号より)

 学校に通っていた頃、「どうして、これがここに?」と疑問に思った経験は誰しもあるのではないでしょうか。大概はそのまま見過ごしてしまうと思うのですが、松尾小6年(当時は5年)1組の皆さんはそうしたモノを自分たちの「宝」と捉えて調べ始めました。「竜の彫刻は何故ここにあるのか」、「校歌や学校目標『まけるな』はどのようにつくられたのか」、「どうしてオオサンショウウオが学校で飼われていたのか」、「『塩むすび遠足』はどのように始まったのか」等々。気づき始めると結構たくさんあって、それぞれにエピソード、物語があることを学んだようです。
 こうした活動は、当市が掲げる「地育力による心豊かな人づくり」における「ふるさと学習」に通じると思いますが、6年1組の皆さんが更に進んでいたのは、こうした宝にまつわる物語を台本にまとめ、演劇「松尾小の宝」として発信したことでした。
 昨年の伊那谷文化芸術祭での上演に続いて、先日、松尾小学校でこの劇を見せてもらいましたが、自分たちが見つけて調べた宝について一所懸命語る子どもたちの姿に感動を新たにし、彼らはきっと地域の将来を担ってくれると期待を膨らませたところです。

104 人形劇フェスタから創発する地域ブランド (広報いいだ平成25年9月1日号より)

 15周年を迎えた今年の人形劇フェスタは、アジア人形劇フェスティバルとの併催で8月6日から11日までの6日間に約130会場において約500ステージが行われ、暑い飯田の夏を更に熱くしました。
 今年はこれまで本欄にも登場した豊橋市の佐原市長さんや渋谷区の桑原区長さんなどの首長さん方がフェスタの視察に来飯されましたが、こうした方々の感想は一様に「飯田にはこんな素晴らしい文化があるのだから、もっと外にPRしてもいいのでは?」というものでした。
 飯田の人形劇フェスタは、カーニバルの時代から数えて35年の間に「日本最大の人形劇の祭典」に成長しましたが、元々地元の子ども達が高いレベルの人形劇文化に触れる機会を当地でつくることを大きな動機にしていたこともあり、「知る人ぞ知る祭典」の趣きを呈してきました。
 これから「小さな世界都市」を目指す当地域にとって、人形劇フェスタは必要不可欠な文化的要素であり、地域ブランドになり得るものです。フェスタも含め、今後飯田の発信力を高めるブランディング事業を展開することで数多くの飯田ファンが形成され、「飯田ファンなら一度は見たい祭典」になれば、と期待するところです。

105 ストックの価値を重視する地域 (広報いいだ平成25年10月1日号より)

 先日、元経団連図書館館長で社史研究家の村橋勝子さんの仲介で、ある新聞記者の方から図書館に関する取材を東京で受けました。村橋さんによれば、最近は全国的に図書館を「金食い虫」と捉えて指定管理者による民間委託にする例が増えていて、「インターネットで何でもわかるので、図書館はいらない」という議論さえあるそうです。
 長年の積み重ねの中で公民館や図書館が「地域の学びの拠点」として市民生活に根付いている当地域からみると、果たしてそれでいいのか、首を傾げるところですが、お会いした新聞記者の方からも「多くの自治体は図書館を貸出数などのフローの数字から評価するだけで、飯田のようにストックの価値に目を向けるところは少ない」とお聞きしました。
 こうしたストック軽視の風潮については、学輪IIDAに参画いただいている大学の先生方も言及していました。大都市圏の大学では、退官する教授の貴重なストックである蔵書を引き取ってくれず、個人ではスペースの確保もままならないので処分せざるを得ないとのことなのです。因みに学輪IIDAでは、こうした先生方の蔵書の一部を飯田市が引き受けて、地域で活用していく試みをスタートさせています。

106 人口減少時代における都市の再構築(広報いいだ平成25年11月1日号より)

 この10月24日に、㈶自治体国際化協会パリ事務所協力の下、フランス上院日仏議員友好グループ主催による「日仏地方自治フォーラム」がパリで開催されましたが、全国市長会からの要請を受けて、表題のタイトルで以下を要旨とする飯田の取り組みを発表してきました。フォーラムの様子は次回お伝えします。
 【合併を繰り返して市域を拡大させてきた飯田市は、合併後も旧町村単位の地区をそのまま地域自治組織のカタチで継承してきたことから、各地区それぞれ地域性が強く、自主自立の気風に溢れ、コミュニティの力が強いことを特徴としています。
 こうした各地区の多様性を保持しながら、人口減少、少子化、高齢化の時代に対応していくため、各地区の拠点に生活に必要な機能を集約させつつ、拠点同士の連携により都市の再構築を図ろうとしています。
 これは生活圏、経済圏を同じくする南信州においても同様で、国の定住自立圏構想を活用しながら、地域医療や産業振興の分野で市町村間の連携を深めています。こうした考え方はリニア時代になっても変わるものではなく、飯田は飯田らしく、子どもたちが育てたりんご並木のリンゴが秋にはたわわに実る街であり続けたいと考えています。】

107 専門家同士の議論を経て形成される欧州の街並み(広報いいだ平成25年12月1日号より)

 この程パリで開催された日仏地方自治フォーラムでは、両国の市長による持続可能な地域を目指した事例紹介や、建築家や都市計画の専門家によるこれからのまちづくりの考え方が示されました。印象的だったのは、建築家の山本理顕氏が日本のニュータウンが次世代に受け継がれない街になっていることを指摘し、様々な世代、様々な職種が混在するまちづくりの提案をされたことでした。
 こうした議論を聴いていて思い出したのは、建築家と都市計画の専門家の議論を経て形成される欧州の街並みでした。例えばドイツで建築家によってデザインされた建物を建てる際には、それがその地域の街並みに合うものなのか、市役所に勤める都市計画の専門家と議論することになります。なるべく自らの考えを具現化したい建築家と、これまで積み上げてきたその街らしさを損なわないよう指導する都市計画の専門家との議論はしばしば白熱したものになるようですが、こうした専門家同士の切磋琢磨によって、その街ならではの特徴を有しながら全体として調和のとれた街並みが形成されていると言えるでしょう。

108 「やねだん」に学ぶ公民館の全国発信(広報いいだ平成26年1月1日号より)

 「やねだん」の第14回故郷創世塾で講義をして来ました。「やねだん」は鹿児島県鹿屋市にある人口約300人の柳谷町内会のことで「行政に頼らない地域づくり」を旗印にしています。故郷創世塾は、私が親しくさせて頂いている豊重哲郎公民館長が塾長を務める地域リーダー養成塾です。今回は全国各地から地域づくりに携わる自治体や福祉関係の職員など約50名が参加し、私の講義では、公民館の学びをベースにした飯田の戦略的地域づくりに関する様々な取り組みに熱心に耳を傾けてくれました。
 参加者の名簿を見て驚いたのは、公民館からの参加は飯田市の主事1人だったことです。講義の中で公民館経験者を問うてみたところ、3名だけで、「館の管理が主な仕事だったので面白くなかった」との感想でした。「やねだん」の学びは公民館長が塾長をしているくらいですから、公民館活動の実践に直結するはず、と思うのですが、必ずしもそうなっていない他地域の現状を再認識させられました。「その91」で飯田の公民館活動を全国のモデルにしていきたい旨を申し上げましたが、やはり飯田も「やねだん」のように全国に向けた情報発信にもっと力を入れていく必要がありそうです。

109 今年の漢字一文字(広報いいだ平成26年2月1日号より)

 ここ一、二年、「今年の漢字」を意識するようになりました。元々は毎年12月12日の「漢字の日」に日本漢字能力検定協会がその年の世相を表す漢字を選んで発表しているもので、阪神・淡路大震災があった平成7 年の「震」が最初とのことです。これが一昨年くらいから「今年を振り返った時、市長にとっての漢字一文字は?」あるいは「新年を迎えるにあたって、今年の漢字は?」という質問でマスコミから聞かれるようになりました。確かに漢字は表意文字ですから、一文字であっても一年を総括したり、抱負を語る時に自らの考えを端的に表すことができるように思われます。
 私はこれまで、リニア時代を見据えた基盤構築期と捉えている第5次基本構想後期基本計画の最初の年にあたった平成24年には「台」を、リニアのルート・駅位置が確定した25年には「確」を選んだところです。この「確」には、併せてリニア将来ビジョンの掲げる「守るべきもの、備えるべきもの」を確認する思いも込めました。そして今年(平成26年)の漢字としては「年頭所感」でも示したとおり「立」を選びました。新庁舎はじめ様々な事業が立ち上がってきますが、何より、市民の皆さんの暮らしがしっかり立つよう、市政経営に尽力する所存です。

110 デザイン思考の大学院大学訪問(広報いいだ平成26年3月1日号より)

 大学院大学の設置を目指していくつかの動きが続いています。1月25日に開催された学輪IIDA全体会では、追手門学院大学の小畑教授が飯田工業高校後利用プロジェクトの取組の中でその設置可能性について丁寧に説明されています。また南信州広域連合では、岡庭前阿智村長を中心に大学院大学設置を高等教育機関設置プロジェクトの検討方針としてまとめています。更にこの3月15日には南信州・飯田産業センター主催でシンポジウムも予定されており、かねてからデザイン系の大学院大学設置を提唱されている多摩川精機株式会社の萩本副会長も登壇されます。こうした皆さんのご尽力にあらためて敬意と感謝を申し上げます。
 こうした中、私も2つの大学院大学を視察してきました。一つは大垣市の情報科学芸術大学院大学【入学定員20名、2学年】、もう一つは東京の表参道にある事業構想大学院大学【同30名、2学年】です。夫々に異なる特徴を有する学校ですが、興味深いのは、どちらも人の感性に訴えるデザイン思考に通じるコンセプトを有していることです。また、情報科学芸術大学院大学は小笠原資料館を設計した妹島和世(せじまかずよ)氏が、事業構想大学院大学は飯田高校校門を設計した北川原温(きたがわらあつし)氏が、それぞれ手掛けた建物を利活用していて、飯田市とのご縁を感じたところです。