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市長エッセー(散歩道)その21~30

印刷用ページを表示する 掲載日:2013年9月11日更新

飯田市長・牧野光朗が日々感じたことを記していきます

21 世代を超えた人的ネットワークを形成する地域文化 (広報いいだ平成18年9月1日号より)

 今年も「りんご並木と人形劇の街いいだ」の象徴的イベント、「人形劇フェスタ」が盛大に行われました。フェスタには海外からも多くの劇人が集まるので、単なる飯田の夏の風物詩としてだけではなく、まさに「小さな国際都市」にふさわしいイベントとしてすっかり定着しているように思われます。
 私自身、転勤族だった頃からこのイベントに合わせて帰省し、さまざまな友人を飯田に招いたり、知り合いの劇人の公演を手伝ったりしていました。 90年代初めには、当時国連の研究員として名古屋に在住していたモンテ・カセムさん一家をお招きしましたが、ジャパン・タイムズの記者をされていた奥様のジュリアさんが飯田の人形劇をすっかり気に入り、かなりの紙面を割いてくれたことを思い出します。
 それから15年の時を経て、モンテ・カセムさんは立命館アジア太平洋大学(APU)の学長に就任され、昨年7月に飯田市と友好交流協定を締結、この8月にはAPUの学生8名をフェスタに合わせて地域の調査研究に送り込んでくれました。 次代をになう若者たちにも人形劇で盛り上がる飯田は魅力的に映ったようで、調査研究の中間発表も大変意欲的なものでした。

22  公共交通は地域の持続可能性を示すバロメーター (広報いいだ平成18年10月1日号より)

 10月は「エコドライブ推進月間」です。私はバス通勤をしていますが、途中でバスに乗車する人が多いと、何となく晴々した気持ちになります。
 公共交通と言えば、ドイツ駐在時代に調査した東独・ドレスデン市のカーゴトラムは、西独でも例を見ない先進的なものでした。
 これは、フォルクスワーゲン(VW)社が同市内に新設した「ガラス張り工場」と貨物駅を結ぶために2001年に導入した貨物専用の路面電車です。 本件では、もしも野放図な貨物輸送を認めてしまうと、工場フル稼働時には日に170台もの大型トラックが市の中心部を通過することが予想されました。
これでは都市環境に与える負荷が大きすぎるので、その代替案としてカーゴトラムが計画されたのです。 市にとっては、これによってエルベ河畔の文化都市としてのアイデンティティ(その都市らしさ)を守れますし、VW社にとっても、より「ジャスト・イン・タイム」な輸送が期待できるためメリットが大きいと判断されました。
 このプロジェクトは、冷戦時代に長く中央政府に依存してきた東独の地方都市において、官民の協働によって地域の自立と持続可能性を追求する象徴的事例です。

23  第2回日独地域国際化サミットinウルム (広報いいだ平成18年11月1日号より)

 この9月27日に、昨年10月に飯田市で行われた日独地域国際化サミットに引き続き、ドイツのウルム市(人口12万人)において第2回サミットが開催されました。「「都市が抱える人口問題の解決を目指して-日独比較-」をテーマに、両市が直面する高齢化問題への対処をお互いの経験に基づいて議論するものでしたが、私が最も印象深かったのは、「都市の文化が人材を惹きつけ、都市に活力をもたらす」というヴェツヒ副市長の考え方でした。
 ウルムはアインシュタインの生まれ故郷であり、大学やハイテク関連の研究機関・企業が集積する学研都市として知られていますが、ウルム市民の誇りは、何と言っても世界一高い大聖堂(高さ161m)です。
 この大聖堂は1377年の着工から現在に至るまで、常にウルム市民の手によって築かれてきており、地理的にも文化的にもウルムの中心であり続けています。 副市長の考えを裏付けるように、私がお会いしたウルム市役所の方々の多くはウルムの出身ではないとのことでした。
 彼らはまさにウルムの文化に惹かれてそこに移り住み、専門的知識を有するスタッフとして市民と共に地域づくりを進めているのです。

 24 南信州へのお誘い・飯田でのお迎え (広報いいだ平成18年12月1日号より)

 域外に出るときは水引のブローチを胸につけることにしていますが、「それは何ですか?」と質問してくるのはたいてい女性の方です。しかも関東より関西の方がはっきりした反応があるようです。
 九州では「どこに行けば買えるのですか?」とまで聞かれます。
 そこで『南信州・飯田に住もう』のPR冊子を渡しながら、水引が飯田の地場産業であることを紹介すると、皆興味深そうに冊子をめくってくれます。
 先日、ナショナルトラスト全国大会に出席するため、鳥取を訪れたときもそうでした。遠山の霜月祭や桜守の旅に浪漫を感じてくれたらしく「これまで全く知らない地域でしたが、是非行ってみたい」という女性の方が何人もいました。 このような何らかのご縁で飯田を訪れてくれた方々をお迎えするところが、10月から中心市街地の再開発ビルにオープンした「まちなかインフォメーションセンター」です。
 欧州のように、そこに行けばその街の情報が何でも手に入る案内所を目指しています。
 全国屈指の観光地でも未だなかなか実現していないことですが、来訪者の多種多様な相談に親身になって応えることで「もう一度来てみたい」と思っていただけると考えています。

25 ふるさときゃらばん飯田公演 (広報いいだ平成19年1月 1日号より)

 11月28日、「ふるさときゃらばん」による消防団を題材にしたミュージカル「地震カミナリ火事オヤジ」が飯田文化会館に千人以上の観客を集めて上演されました。
 消防団をはじめ実行委員会に参加していただいた関係団体の皆さんの熱心な取り組みが実り、劇団代表の花岡さんから「全国的にみても、とても盛り上がった公演」との感想をいただきました。「ふるさときゃらばん」は地方の課題を丹念に取材してミュージカルを制作する劇団ですが、私がこの劇団とご縁を持ったのは10年程前にさかのぼります。
 東京に「新・浪漫亭」という地域づくりに携わる人々が全国から集う、たまり場のような飲食店があり、花岡さんともそこで出会いました。
 「代々木にミュージカル観劇後にパーティーもできる特設テントをつくり、『信州の日』を設定して長野県出身者を数多く集めたい」という熱い企画を聞き、同僚を誘って応援に行ったことを思い出します。
 以後同劇団の皆さんとの交流はずっと続き、昨年、花岡さんから「国の財団から補助が出るように働きかけるので、飯田で消防団ミュージカルをやりませんか」と声をかけていただきました。
 都会に比べ4割程度の観劇料で飯田公演が可能となったのは、人とのご縁のたまものでした。

26 地域ブランド化する市田柿 (広報いいだ平成19年2月1日号より)

 昨年11月、地域団体商標登録制度導入後の初めての審査において、特許庁は「市田柿」を認定しました。市田柿はちょうど1年ほど前に台湾の主要デパートにおいて開催された「干し柿フェア」でも好評を博しましたが、この商標登録によって国内での引き合いも一層活発になっています。
 まさに南信州の地域ブランドとして定着してきたように思われます。
 地域ブランドへの取り組みと言えば、大分県の平松前知事が昭和54年から提唱してきた「一村一品運動」が全国の先駆けとして位置づけられます。
 「一村一品運動」では、関サバ・関アジや城下カレイ、臼杵フグなど市町村ごとにブランド化された特産品自体に関心が向きがちですが、本来の趣旨はそうした特産品の開発を通じて、自主自立の気概にあふれ、創意工夫で行動する人材を育成することにありました。
 実際、現在大分の地域づくりで活躍されている方々の中には、平松前知事によって昭和58年に開設された「豊の国づくり塾」の卒塾生が少なくないと聞いております。 飯田・南信州においても、市田柿のブランド化を契機として、誇りを持って自分たちの地域づくりに取り組む人材が輩出されることを期待してやみません。

27 地域文化が支える「台湾チャレンジ」 (広報いいだ平成19年3月1日号より)

 2月初旬、台湾の旧正月前の「歳末セール」の時期に合わせ、昨年に引き続き「市田柿フェア」を開催しました。今回は今田人形座の皆さんに中心市街地のデパート前で人形浄瑠璃を披露していただき、市田柿のほかに梨の南水も販売しましたが、大変好評を博しました。
 台湾においても南信州ブランドが浸透しつつあるようです。
 飯田市では地域経済活性化プログラムの一環として「台湾チャレンジ」を進めています。これは20年におよぶ人形劇を通じた台湾との文化交流によって培われた人的ネットワークを基盤に、南信州への観光誘客と地場産品の輸出をパッケージにしたプロジェクトです。
 今回のフェアでは、市と友好協定を締結している立命館アジア太平洋大学の台湾出身の教授や留学生の皆さんから助言してもらい、台湾の方々に付加価値の高い産品として受け入れてもらえるよう包装等に工夫を凝らしました。
 さらに、3月に催される「台湾ランタンフェスティバル」(昨年の入込客数は史上最高の678万人とのこと)には、鼎の屋台獅子が5連参加します。
 地域文化を基盤に、内外の人的ネットワークが錦織なす「台湾チャレンジ」は、飯田の強みを存分に発揮したものと言えるでしょう。 

28 ものづくりマイスター (広報いいだ平成19年4月1日号より)

 先日、地育力向上連携システム推進計画の一環として、シチズン平和時計で、ものづくり体験学習教室がありました。親子連れで、工場内に設置された「南信州時計工房」を見学してから、実際に時計の電池交換を行うものでしたが、普段はあまり意識していないものづくりの現場を体験できたことから、大変好評だったようです。
 興味深いことに、多くの親御さんが今回最も印象に残ったこととして、マイスターの存在を挙げておられました。 南信州時計工房では、スーパーマイスターはじめ6人のマイスターの皆さん(全員女性です)が、最高級の時計をそれぞれ専用の作業机で1日30個ほど組み立てているそうです。
 もちろんマイスターは「親方」ですから、後輩の指導もされるとのことですが、お話を聞いているうちに、マイスターの本場であるドイツのバイオリン職人養成学校を思い出しました。 そこを視察したときには、確立された技術の伝承のために、昔ながらの師弟関係の中で徹底した人材育成が行われていることに驚いたものです。
 今回のように、ものづくりの現場を体験学習した子どもたちの中から「メイド・イン・南信州 飯田」を担うスーパーマイスターが出てくることを期待しています。

29 まちづくり談義を楽しむ場所 (広報いいだ平成19年5月1日号より)

 5年ほど前に帰国して大分に赴任した私は、ドイツのように歴史的街並みの中でゆっくりお茶を飲める場所を探しました。そうして見つけたところが別府市の竹瓦温泉の前にあるオープンカフェ「タケヤ」でした。
 私はここのテラスに座って、道後温泉に次に古いと言われる木造温泉館を眺めながら、別府のまちなか再生に情熱を傾ける「タケヤ」のママたちとまちづくりの話をあれこれしたものでした。「全国さくらシンポジウム」が飯田で開催され、北海道から九州・沖縄まで800名以上の桜の愛好家の皆さんが集結し、桜を切り口に環境、景観、地域づくり、人材育成などさまざまな観点から活発な意見交換がなされました。
 「タケヤ」のママたちも駆けつけてくれましたので、見つけたばかりのお気に入りの桜鑑賞スポットにご案内しました。そこは美術博物館内のテラスで、中の喫茶店がテーブルと椅子を出してくれていました。
 ちょうど夜間開館が行われていましたから、大きな1枚ガラスの向こうに見えるライトアップされた「安富桜」はまた格別で、別府のママたちと私はテラス越しに桜吹雪を堪能しながら、まちづくり談義に花を咲かせたのでした。

30 ふるさとからの情報発信 (広報いいだ平成19年6月1日号より)

 去る5月13日に「飯田と首都圏東京との人、物、心の交流」と題して、2年に一度の信州飯田ふるさと会連合会総会が、600人以上の参加者を集めて東京で開催されました。黒田人形浄瑠璃や天龍太鼓が披露されたほか、会場脇に設けられた10以上のブースではさまざまな地場産品が販売され、好評を博しました。
 ふるさとからの情報についても大変関心が高く、この日に間に合うように飯田市歴史研究所が刊行した『満州移民』は完売しましたし、多くの方から「もっと飯田の情報が知りたい」とのご要望をいただきました。
 飯田を離れた皆さんは、それぞれの思い出を語っておられ、大変参考になりましたが、同時に飯田の現況をどのようにお伝えしていくかが課題であることも痛感しました。個人情報保護の面などから、ふるさと会の名簿を充実させることが難しくなってきていますが、一方で当連合会の平田会長があいさつで「『ムトスのまちづくり』に収められた飯田市民の活動にことのほか感銘した」と述べられたように、故郷のために自分は何かできないか、と考えていただける方も多いようです。
 情報発信を一層充実させ、こうした「心の交流」をさらに深めていきたいと思います。