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市長エッセー(散歩道)その81~90

印刷用ページを表示する 掲載日:2013年9月11日更新

飯田市長・牧野光朗が日々感じたことを記していきます

81 春草没後百年記念特別展における美術館と博物館の「接点」(広報いいだ平成23年10月1日号より)

 飯田が生んだ日本画の巨匠、菱田春草は1911(明治44)年9月16日、満36歳の若さで亡くなりました。
 今年は春草没後百年にあたり、飯田市美術博物館では、記念特別展「春草晩年の探求〜日本美術院と装飾美〜」を9月3日から一カ月間開催し、国の重要文化財に指定されている「賢首菩薩(けんじゅぼさつ)」をはじめ3点の「落葉(おちば)」、市が所蔵する「菊児童(きくじどう)」「春秋(しゅんじゅう)」などが展示されました。
 また、初の試みとして、今回展示した作品のドーム映像を和歌山大学との協働により制作しました。この番組は特別展のオープニングにデジタルプラネタリウム「天歩(てんぽ)」で公開されましたが、迫力ある映像に目を見張っただけではなく、本物の作品では小さく書かれた人物が大写しになることで「こんな表情をしていたのか」と気づかされ、新たな作品の楽しみ方を発見したような気分になりました。
 今回の特別展は、郷土の偉人に思いを馳せるいい機会になったことはもちろん、同じ建物に入っていても別々なものと捉えられがちな美術館と博物館の接点をつくり、今後の「美術博物館」の可能性を広げるものになったとも言えるでしょう。

82 災害対策支援においても成果があった大学連携 (広報いいだ平成23年11月1日号より)

 東日本大震災に係る災害対策支援本部については、9月12日をもって一区切りと致しました。これまでの市民の皆さんの温かいご支援に改めて感謝申し上げます。
 しかし、震災からの復興の道筋は未だ不透明であり、南相馬市から飯田下伊那に避難されている方々も未だ40人弱いらっしゃいます。被災地の雇用情勢が厳しいこともありますが、特に医療介護といったセーフティネット機能が十分回復していないことから、帰るに帰れない状況にある方も多いようです。
 当市と致しましては、避難者の自立支援はじめできる限りの支援を継続していく所存ですので、今後もご理解、ご協力の程、宜しくお願いします。
 この被災者支援に関連して、大学連携の観点から成果がみられました。立命館大学が早い段階から飯田下伊那の被災地支援に関する調査に入ってくれたため、6月には報告書(注)がまとめられ、当市もこれを利用できるようになりました。
 市の職員は、通常業務と並行して被災者支援業務を行ってきたため、まとまった報告書の早期作成はなかなか困難でしたが、このように第三者の視点からリアルタイムに調査報告書が出ることは、当市の情報発信機能の強化に直結するもので、大変有り難いものでした。

83 国の制度変革の原動力となった外国人集住都市会議 (広報いいだ平成23年12月1日号より)

 去る11月8日に地域内外より約400人の参加者を集めて外国人集住都市会議が当地で開催されました。
 今年で11年目となる当会議は、南米日系人を中心とする外国人住民が多数居住する全国28都市から構成されており、外国人集住に係る様々な課題を共有しつつ、その解決に向け、調査研究や国等への法制度整備の提言を連携して行っているものです。
 今年度から2年間は飯田市が座長を務めていますが、当会議で討論する相手方の関係省庁が多岐に渡ることをみても、課題解決の困難さを痛感するところです。
 例えば、来年7月から実施される改正住民基本台帳法に基づく制度によって、ようやく市内にどれだけ外国籍の方が居住しているのか正確に把握できるようになりますが、全ての行政サービスの基礎となるこうした制度整備が立ち遅れていたこと自体、課題の根深さを示しています。
 こうした改革の原動力になったのが外国人集住都市会議の長年にわたる地道な取り組みでした。今回の会議はこの3月に国が策定した「日系定住外国人政策に関する行動計画」に係る研究報告と提言に基づく議論が中心でしたが、この計画を絵に描いた餅にしないよう、今後も参加自治体が連携、協働して取り組むことが確認されました。

 84 学輪IIDAによる大学機能の「クラウド化」 (広報いいだ平成24年1月1日号より)

 『エコノミスト』11月29日号に、学輪IIDAの取り組みが日本政策投資銀行調査役の永井伸さんにより紹介されました。
 彼は学輪IIDAを「飯田市にとっては必要に応じて必要な知見を取り出せる仕組み」で「いわば、大学機能のクラウド化」と捉えています。
 情報システムの世界で言う「クラウド(雲)」とは、「コンピュータシステムのイメージ図」でネットワークを雲の図で表す場合が多いことから、コンピュータ処理をネットワーク経由で提供する形態を指しています。同様に学輪IIDAでは、飯田市は政策立案に必要な時に専門的な識見を、この「知のネットワーク」から得ることが可能になることから、「大学機能のクラウド化」と言える訳です。
 学輪IIDAは飯田を起点とする人材育成ネットワークとして平成23年1月の全体会で発足しましたが、このように地域と大学が連携するモデルとして、既に全国的な注目を集めています。
 1月28日の2回目の全体会では、全国20以上の大学から多くの先生方が集まり、飯田に関する取組事例の発表などを通して様々な議論が展開される予定です。
 リニア将来ビジョンが掲げる「高付加価値都市圏」に繋がるものとして大いに期待されるところです。

85 地域の活力の源泉となる若い力 (広報いいだ平成24年2月1日号より)

 昨年末、飯田高校のラグビー班が2年振りに花園に出場し、宮崎県代表の高鍋高校と対戦して、接戦の末13年振りの花園勝利を挙げました。
 私が応援に行った2回戦では、埼玉県代表の深谷高校に敗れはしたものの、試合内容は前回に比べ成長ぶりを窺わせるものでした。
 また、同じく花園で行われた中学生の全国大会でも長野県スクール選抜チームは2勝1敗の好成績だったそうです。
 東日本大震災後のわが国が「なでしこジャパン」の活躍に元気をもらったように、こうした若い皆さんの頑張りは地域に活力を与えてくれます。
 特に地域を取り巻く環境が厳しく、先行き不透明な時期には、将来ある若い皆さん方の活躍に明るい未来を見出せるように思われます。
 飯田高校の試合では、飯田下伊那のみならず東京や名古屋から集まった大勢の応援団が精一杯の声援を送りました。選手の皆さんも、いざという時に結束する私たちの地域の「結いの力」を大いに感じる機会になったのではないかと思います。
 試合を終えた3年生はそれぞれの道に進むことになると思いますが、この日のことを胸に刻んで、いつか必ず私たちの地域に戻って来て再び活力の源泉になってもらいたいものです。

86 食育から地域を考える (広報いいだ平成24年3月1日号より)

 先日、全国市長会の推薦で委員に就任した国の食育推進評価専門委員会に初めて参加しました。当委員会は、昨年3月に策定された「第2次食育推進基本計画」をフォローするため
 1 生涯にわたるライフステージに応じた食育
 2 生活習慣病の予防および改善につながる食育
 3 家庭における共食を通じた子どもへの食育を重点課題に、実施した施策の評価と推進方策を審議するものです。
 自治体の立場で参加しているのは当市だけなので、「四季の朝食レシピ」や「飯田の食ごよみ」、「朝食カード」などの具体的取組を紹介したところ、大変興味深く聞いてもらえました。
 ある委員さんからは「飯田の小中学校の給食率は100%か?」との質問を頂き、全国には食育推進を給食率の向上から始めなければならない地域もあることを改めて実感しました。
 そう言えば、「地元学」を提唱しつつ水俣市の環境への取り組みを進められた吉本哲郎さんが、かつて私に「公害に悩まされた当地の問題を突き詰めていったら、自分たちの食について考えることに行き当たった。」と語ってくれたことを思い出しました。
 当委員会への参加により、当市においても食育の果たす役割が更に広がる手応えを感じたところです。

87 日本初のラウンドアバウト型交差点への切替 (広報いいだ平成24年4月1日号より)

 2月15日に参議院の「共生社会・地域活性化に関する調査会」に呼ばれて震災復興に関する意見陳述をしてきました。
 調査会の参議院議員の皆さんには飯田の大火からの復興や最近の中心市街地活性化、南相馬市からの被災者受け入れ等、飯田の取り組みを熱心にお聞きいただきましたが、質疑の中で吾妻町のラウンドアバウトの社会実験についても詳しく述べさせていただきました。
 この社会実験については「市長エッセーNo.78」でも触れましたが、この度、東和町の交差点にラウンドアバウト型を採用する運びとなりました。
 現在の信号機付き交差点からの切替は日本初とのことですが、これが実現可能となったのは、公安や県等の関係当局そして地元の皆さんからご理解ご協力を得られたことはもちろんですが、名古屋大学の中村英樹教授を中心に国際交通安全学会との社会実験を通して技術的知見を蓄積してきた成果でもあります。
 いくらエコで安全と言われ、海外で普及していても、日本で初めてのことを実現するためには信頼に応え得る技術的知見が必要でした。その意味で、本件は「知のネットワーク」が地域の新たな価値の創造に繋がった好例と言えるでしょう。
 先日、全国市長会の推薦で委員に就任した国の食育推進評価専門委員会に初めて参加しました。

88 地域人教育によって高校時代に地育力の軸を通す (広報いいだ平成24年5月1日号より)

 4月18日から飯田長姫高校商業科の生徒の皆さんを対象にした「地域人教育」の授業が始まりました。この授業は、同日締結された飯田長姫高校、松本大学、飯田市のパートナーシップ協定に基づいて実施されるものです。協定においては、「地域人」を「地域を愛し、理解し、地域に貢献する人」と定義しています。
 こうした人材を育成しようとする飯田長姫高校と、地域や高校との連携により地域社会の振興や地域文化の発展に資する人材育成に実績を上げている松本大学、そして「地育力による心豊かな人づくり」を市政経営の基本方針に掲げる飯田市が連携し、それぞれ役割分担しながら地域人教育を推進することになりました。
 折りしも今年度から、鼎中学校区、竜東中学校区をモデルとして、飯田ならではの小中連携・一貫教育がスタートし、地育力向上連携システム推進計画も小中学生に高校生を重点対象に加えた見直しがなされました。
 高校時代は人生のうち恐らく最も柔軟な思考が可能で多感な時期だと思いますが、これまでは地域との関係が疎遠になりがちでした。こうした取り組みを梃子にして、高校教育においても地育力の軸を通していければ、と期待しています。

 89 「学びの音楽祭」を象徴する成果発表演奏会 (広報いいだ平成24年6月1日号より)

 ゴールデンウイークに今年で4回目となる「オーケストラと友に音楽祭」が開催されました。「アフィニス夏の音楽祭」を引き継ぎ、名古屋フィルハーモニー交響楽団を迎えて、小中高生を含め地元のアマチュアが学ぶ音楽祭に進化したことは「その53」で述べましたが、今回から「市民による市民のための音楽祭」を目指して実行委員長に矢高仰児さんをお迎えし、新たなスタートとなりました。
 私自身が特に心動かされたのは、音楽クリニック成果発表演奏会でした。これまで、当音楽祭に「学び」をどのように位置付けていくか、試行錯誤を続けてきたところですが、正直、最後にアンコールがかかる程の仕上がりになっていた演奏には驚かされました。有名な音楽家やプロの楽団がやって来て、その奏でる音楽を楽しむことに主眼を置いた他地域の音楽祭とは一線を画し、地元の小中高生がプロの楽団から本格的に音楽を学べる環境をいかにつくるかは当音楽祭の重要なテーマですが、「メンバーは代わっても教えたことが引き継がれている」との楽団の先生方の評価に確かな手応えを感じました。
 このようなところにも当地域の成長を続ける「学びの樹」を見る思いがしたところです。

90 「環境モデル都市」飯田ならではの小水力発電機開発 (広報いいだ平成24年7月1日号より)

 6月6日に独立行政法人科学技術振興機構(JST)と総務省の共催で開催された「地域からエネルギーの未来を創る緊急シンポジウム」において、飯田の環境への取り組みについてプレゼンを行い、その際に、ビジネスネットワーク支援センター「ネスク・イイダ」が取り組む小水力発電機開発プロジェクトを紹介しました。
 このプロジェクトは、JSTで「地域に根ざした脱温暖化・環境共生社会」の研究開発領域を総括する龍谷大学の堀尾教授のご指導を受け、ネスク・イイダを通して飯田の企業5社が集い、協働して安くて良質の小水力発電機開発に取り組んだもので、ネスク・イイダとしては「その58」で採り上げたLED防犯灯に続く新たな挑戦となりました。今のところ小水力発電機の国内市場は成熟しておらず、1機2~3百万円もする状況でしたが、精密機械工業の集積する当地域は、蓄積された技術力を活かして60万円以下の製品開発に成功しました。
 この新たな産学官の協働による「メイド・イン・イイダ」の小水力発電機は8月から販売が予定されていますが、こうした大学連携(知のネットワーク)を梃子にした環境産業の振興を今後更進めていきたいところです。