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飯田歴研賞2021 受賞作品紹介

ページID:20211006 印刷用ページを表示する 掲載日:2021年10月6日更新

飯田歴研賞2021 受賞作品

 飯田歴研賞は、飯田・下伊那の地域史研究における優れた論文や著書等を表彰するものです。

 今年度の受賞作品をご紹介します。 

著作賞

丹保の今昔を語る会 様

 『丹保の歴史と民俗 次世代に語り継ぐはなし』 (私家版、2020年8月)

丹保の今昔を語る会『丹保の歴史と民俗 次世代に語り継ぐはなし』 

講評

 リニア中央新幹線の建設により、大きな変貌を強いられつつある上郷飯沼の東南端・丹保(たんぼ)地区(旧飯沼村丹保耕地)で、地域の方々が数年をかけて独自に編さんした地域史の力作である。地域における時代の流れ、暮らしのようすなどを、調査や研究、聞き取りなどを経て詳細に叙述している。次の世代に語り継ぐことを目的に、その内容は網羅的であると同時にとてもわかりやすい。弥生や古墳時代の遺跡から地域の歴史を繙き、天竜川との関わり、地区内の小河川や井水、農業のあり様、信仰や多様な文化・行事、また地域を構成する諸団体の歩みなど、多数の図版や写真、わかりやすい表などを用いて、ヴィジュアルに描く。そして叙述のここかしこには、地区の多くの方々からの聞き取りが活かされている。中でも小字名・屋号の詳細な調査・記録は圧巻である。地区を彩る自然、長い歴史の過程で刻まれたさまざまな痕跡や、地域の大切な歴史遺産を一つ一つ丁寧に辿ることで、丹保耕地を基盤とする地域のかけがえのない総合的な歴史叙述を達成した特筆すべき成果となっている。

 

齊藤 俊江 (さいとう としえ) 様

 『長野県飯田下伊那の満洲移民関係資料目録』 (不二出版、2020年6月)

斎藤さん『長野県飯田下伊那の満洲移民関係資料目録』  

講評

 本書は、以下の理由により、著作賞に値すると評価できる。
 1、本書は、単なる資料目録ではなく、聞き取り記録や映像などをふくむ広範囲な「資料」を網羅しており、記録の概念を再検討しつつ、満洲移民(義勇軍をふくむ)を研究するための素材にふさわしい「資料目録」のありかたを提起した。その意味では、充実した解説もふくめ、ひとつの「著作」というに値する方法(構成)をもっている。
 2、こうした「資料目録」の作成は、飯田市歴史研究所の活動の根本をささえる作業であり、おおむねそれは基礎的な作業であって、そのこと自体が注目されることはあまりない。しかし、1に述べたように、目録作成(つまり何を当該テーマの記録とするかという選択も含めて)はひとつの思想と方法をもつ学問的成果と評価すべきであろう。こうしたいわば地味な仕事をも積極的に評価する必要がある。

 

奨励賞

壬生 雅穂 (みぶ まさほ) 様

 『ミチューリン会機関紙に見る農業技術運動の展開と変容』 (玄武書房、2020年9月)

 壬生さん『ミチューリン会機関紙に見る農業技術運動の展開と変容』

講評

 1930年代にソ連のスターリン体制のもとで発展した農業技術・ミチューリン農法は、日本では1950年代に、下伊那ミチューリン会を中心とした運動によって全国に普及した。本書は、このミチューリン運動について、長野県下伊那地域を中心としつつも、全国的な視野を持ちながら機関紙(誌)を網羅的に収集、分析した優れた成果である。
 さらに具体的な成果として、以下の3点が指摘できる。
1、ミチューリン会機関誌によって、1950年代のミチューリン運動の隆衰の全過程を提示したこと。
2、機関誌の言説から、ミチューリン運動の主体であった、社会主義者の菊池謙一と農民、さらに科学者の意識と関係性を、転換期にあった社会主義運動を中心とした内外の政治情勢をふまえて考察したこと。
3、ミチューリン運動の多様性を、環境問題や女性史、サークル活動などの今日的視点から考察したこと。

 

伊藤 修 (いとう おさむ) 様 

  『陸軍第十五師団歩兵第十七旅団機動演習』 『信濃』第72巻第6号2020年6月)

伊藤さん『陸軍第十五師団歩兵第十七旅団機動演習』

講評

 この論文は、1915(大正4)年10月の伊那谷における陸軍第十五師団歩兵第十七旅団の機動演習について、南信・信濃毎日などの新聞記事史料や飯島村役場史料を素材とし、その実態を地域社会との関係に焦点を当てながら検討したものである。そこでは、この機動演習の概要をみた後、村役場レベルでの事前協議や準備、兵士の受け入れに伴う待遇や経費、宿営地の設定や宿舎の依頼、歓迎準備、兵士の食事などの給養体制、請負業者の機能、馬の飼料、荷物の運送など、主に準備過程を中心に、郡役所を中心として、村・在郷軍人会などの地域団体の対応体制を丁寧に明らかにした。軍と地域社会との関係を、郡・村・在郷軍人会などの媒介機能に注目して検討した点で、重要な成果を上げたと評価できる。

 

関連リンク

 過去の飯田歴研賞受賞作品