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令和6年飯田市議会第1回定例会 閉会市長あいさつ
令和6年飯田市議会第1回定例会 閉会 市長あいさつ
令和6年飯田市議会第1回定例会を去る2月27 日に開会し、本日までの25 日間、提案いたしました令和6年度飯田市一般会計予算をはじめとする諸案件につきまして、慎重にご審議、ご決定いただきましたことに対し、御礼を申し上げます。
審議の過程でご指摘いただいた点につきましては、十分に意を配して対応してまいります。
この場をお借りして、いくつかご報告を申し上げます。
はじめに令和7年秋のグランドオープンを目指しております、道の駅遠山郷かぐらの湯について申し上げます。
去る1月28日に新たな源泉掘削工事の安全祈願祭が行われ、掘削が始まっておりますが、現在のところ、およそ300mの深さまで掘り進めることができております。
掘り進める過程では非常に硬い岩盤もあり、1日に数mしか掘れないような箇所もありましたが、請負事業者の24時間連続工事によるご努力で、順調に掘削が進んでいる状況です。
このまま工事が進めば、5月中には当初の計画通り深さ1,300mまで達する予定であり、掘削が着実に進んでおりますことをご報告いたします。
令和6年度からは、いよいよ施設の改修工事を進めてまいります。三遠南信自動車道(仮称)青崩峠トンネルの開通を見据え、信州の南の玄関口として重要な役割を担う観光拠点として、ハード整備とともにソフト面の準備もしっかり進めてまいります。
2月19日の全員協議会でご説明いたしました、新しい文化会館の整備に関する基本構想案につきましては、2月末までパブリックコメントを実施し、「みんなが集い、創り、伝える、感動の飯田ひろば」という基本理念と基本構想が固まってまいりました。
2年間にわたり議論を重ねていただきました整備検討委員会の皆さんをはじめ、様々な意見をお寄せいただきました市民の皆さんに改めて感謝を申し上げます。
令和6年度は、基本構想を具現化するための基本計画の策定とともに、建設候補地の選定にも着手し、市民の皆さんの思いが実現できるよう取り組んでまいります。
3月8日には、信州大学「地域中核・特色ある研究大学キックオフイベント」が松本市で開催され、私も、飯田市を代表して応援メッセージを述べてまいりました。
イベントでは、信州大学が考える飯田市の実証タウンイメージが発表され、アクア・リジェネレーション機構長に就任予定の手嶋勝弥教授から「実証タウンである飯田を人や技術が集まる魅力あるまちにしていかなければならない。そのためには大学が行う基礎研究だけでなく、観光などの多様な要素も含め、自治体や企業と連携した幅広いタウン形成が必要」と期待が寄せられました。
私からは「世界の課題を解決する取組に、当地域が実証タウンとして関われることにとてもワクワクしている。市民、企業、行政、大学が一緒になってアクションを起こし、信州発で世界に繋がる研究を進めていきましょう」とご挨拶させていただきました。
信州大学はもとより、長野県や地元地域、産業界、経済界とも連携して、魅力ある実証タウンをつくってまいります。
3月9日には、美術博物館が耐震工事ほか5か月間の改修工事を終えて開館いたしました。
春休みに合わせて3月31日までは高校生まで観覧無料としております。
令和6年度は、菱田春草生誕150年を記念して特別展を開催するほか、寄贈された田中芳男関連資料の有効活用を図るべく、修復作業を実施いたします。
3月末には、長年にわたり飯田市立病院の診療や経営に多大なご尽力をいただきました堀米直人院長が退任されます。
医師確保、医療設備の整備、医療安全対策など多くの課題を抱える中、ここ数年はコロナ対応にも最前線に立ち、ご尽力いただきました。
飯田市立病院が飯田下伊那のみならず南信地域の中核病院として、今日、その役割を果たせておりますのも、堀米先生のお力があったからこそと思っております。
ここで改めて感謝申し上げる次第です。本当にありがとうございました。
引き続き、名誉院長として、お力を貸していただければと思っております。
ここで、3年4カ月余りにわたる市長としての任期を振り返りながら、今後の市政に対する私の考えについて申し上げたいと思います。
まずは、この間、市政運営にご理解とご協力をいただいてまいりました市民の皆様に厚くお礼を申し上げます。
私は、市長就任以来、「日本一住みたいまち」を目指し、「対話と現場主義」を基本姿勢として市政運営に当たってまいりました。
市長に就任して3週間後の2020年11月18日、私は、リニア駅ができる北条地区の皆様のところに参りました。
移転をお願いする地権者の皆様や生活環境が一変することになる地区の皆様に対し、大変心苦しいが地域の将来のために何とかご協力いただきたいとお願いをいたしました。
およそ3時間にわたってご不安やご心配の声、厳しいご意見を頂きましたが、集会の最後には拍手を頂き、「これまでこういう機会がなかった」と声を掛けていただきました。
このときのことは、この先ずっと忘れることのない、忘れてはいけない、私にとって「対話と現場主義」の原点とも言える出来事でありました。
その後の3年間、コロナ禍の中で、思うようには市民の皆さんと対話する機会を設けられなかったことも含め、私が目指す「市民の皆さんの声が届く市政」「市民の皆さんと共に歩む市政」が実現できたかと問われれば、私としては「まだまだ」と思っておりますが、今後も、あの北条での対話集会のことを忘れることなく、「対話と現場主義」の姿勢を貫いてまいりたいと思います。
私が市長になって最初に直面した課題は、新型コロナウイルスへの対応でありました。
検査キットの無料配布や次々と実施した緊急対策事業、日々の市長メッセージの配信など、手を尽くしていた日々がもう昔のことのように思われます。
飯田お練りまつりが開催された際には、なぜ中止・延期しないのかというご意見を山ほど頂きましたが、関係者の皆様の御尽力により開催できたことは、後(あと)に続いた諏訪の御柱祭り、善光寺の御開帳のことも含め、判断は間違っていなかったのではないかと思っております。
何より、コロナ対策の最前線で戦っていただいた、そして今なお戦っていただいている医療関係者の皆さん、福祉施設関係者の皆さんに心からの感謝を申し上げたいと思います。
コロナ対策に追われる中でも、長年の課題について先送りすることなく前に進めたとの自負はございます。
長く地域の課題であった運転免許センターの設置に道筋をつけ、持続的な水道事業のための料金の見直しについても15年ぶりの改定を決断し、桐林クリーンセンターの後利用についても目途を付けることができました。
運転免許センターの設置に伴い閉館されることとなる飯田創造館に代わる文化芸術活動の場の確保についても、利用者の皆さんとの対話、町村長の皆さんとの協議・調整、長野県との交渉の中で、着地点を見出すことができました。
地域にとって長年の願いである4年制大学の設置について、信州大学の新学部設置の動きをとらえて誘致に名乗りを上げ、結果は、当初目指した情報系の新学部の設置は見送りとなったものの、新学部誘致に名乗りを上げたことが、信州大学から「グリーン水素と水循環の研究」の実証タウンに飯田市が選ばれることにつながりました。
2021年3月に「2050いいだゼロカーボンシティ宣言」を行い、2022年11月には環境省の「脱炭素先行地域」に選定され、2023年12月には飯田市が実証タウンとなる信州大学のグリーン水素・水循環の研究が「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業」に採択、そして2024年2月には桐林クリーンセンター跡地にセイコーエプソン社のバイオマス発電所が建設されるとの計画が発表されました。
市長選に臨むに当たって掲げたマニフェスト「新・環境文化都市創造プラン」が目指した「環境」を軸としたまちづくりが、一歩一歩、着実に進んでいる手ごたえを感じております。この良い流れに乗って、「環境文化都市・飯田」に向けた歩みを一層力強く進めていきたいと思います。
市長就任後最初の定例会での所信表明で、飯田市政の最大の課題は、「若い人が帰ってこない」という一言に代表される人口減少問題であると申し上げました。
私が市長に就任して以降も飯田市の人口は減少を続け、2月末時点の住民基本台帳上の人口は9万6千人を切っています。
この間、雑誌やテレビのランキングで「住みたいまち」第1位に度々選ばれるなど外部からは高い評価を頂いているものの、人口減少に歯止めがかかっていない現状に、正直、忸怩たる思いであります。
来年度予算では、子育て世代を支援する取組、多様な働き方を支援する取組を強化いたしましたが、飯田を誰もが「住みたいまち」にしていくために、結婚・出産、子育て・教育、福祉・医療・介護に関する政策、脱炭素社会に向けた取組、地域経済の活性化、そして、安全・安心・防災について、さらに取組を加速していかなければなりません。
これから10年の間には、新文化会館の建設、南信運転免許センター関連事業、そしてリニア関連事業と多くの大規模事業が控えております。限られた財源の中で、投資すべきは投資しつつ、持続可能な財政運営を行わなければならない、まさに難しいかじ取りが求められますが、市民の皆さんのご支援、ご支持を頂けますならば、引き続き、市政を担わせていただきたいと存じます。
まずは、残り7カ月余りとなった任期を全力で市政運営に当たってまいる所存ですので、議員各位、市民の皆さんのご理解とご協力をお願い申し上げます。
以上申し上げて、閉会に当たっての挨拶といたします。
ありがとうございました。
※掲出文は原稿ベースであり、実際の発言と異なる箇所があります。