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令和7年飯田市議会第4回定例会 開会市長あいさつ
本日ここに、令和7年飯田市議会第4回定例会を招集し、令和7年度飯田市一般会計補正予算案などの案件についてご審議いただきますことに対し、深く感謝申し上げます。
冒頭、先週18日に大分市佐賀関で発生した大規模火災について、被災された皆様に対し、謹んでお悔やみとお見舞いを申し上げます。
大分県に勤務した経験のある私にとっては訪れたことのある場所でもあり、大火でまちを失った歴史のある飯田市の市民としても、他人事とは思えない光景でした。
救いに思ったことは、火が急速に燃え広がる中、住民の皆さんが声を掛け合い、助け合って避難し、人的被害が最小限に抑えられたとの報道を目にしたことです。足の悪い方や高齢の方が逃げ遅れることなく避難できたのは、周囲の方々の助けがあったから、そういう人間関係が残っているところだったから、というレポートを観て、改めて、いざという時に助け合える地域コミュニティの大切さを痛感しました。また、消防団員の活躍が大きかったとの報道もありました。
突然家を失った皆さんの心中は察して余りあるものがありますが、佐賀関のまちの力、人の力を信じ、一日も早い復旧・復興をお祈り申し上げます。
飯田市でも、クマの出没情報・目撃情報が住民の皆さんを不安にしております。風越山トレイルマラソン大会が中止になったほか、いくつもの行事・イベントが中止の判断を余儀なくされました。
クマの出没・目撃の情報が確認された際には、防災行政無線・安全安心メールによる注意喚起、広報車による巡回、警察ほか関係機関との情報共有などの対応を行うとともに、「いいだWebマップ」にクマ出没・目撃の場所、日時、頭数等を掲載し、情報の見える化を図っております。
今後、長野県の対応マニュアルの見直しを受け、当市の対応マニュアルの整備を進めるとともに、長野県と協力し、緊急銃猟の対応に向けた訓練の実施についても検討を進めてまいります。
市民の皆さんにおかれましては、引き続き、クマの出没・目撃情報にご注意いただくとともに、一人で山に入らない、お住いの周りにエサになるようなものを置かないなど、被害の未然防止にご協力いただきますよう、お願い申し上げます。
明るいニュースもありました。
10月4日に道の駅「遠山郷」がグランドオープンいたしました。当日は、多くのご来賓の方々、地域の皆さんにご来場いただき、リニューアルオープンを祝うことができました。この場をお借りして、改めて深く御礼申し上げます。
塩泉という珍しい泉質を誇る「かぐらの湯」を目当てに、オープンからの1ヶ月間に市内はもとより県内外から延べ8,000人を超える皆さんにご来場いただき、上々の滑り出しとなりました。併設のレストランや直売所につきましても多くの皆さんにご利用いただいており、道の駅全体が賑わいを見せております。
これから冬季を迎え、観光客が減少する時期となりますが、市民の皆さんには、引き続きのご支援を賜りますようお願い申し上げます。
10月6日には、第33回三遠南信サミットが飯田文化会館において開催されました。議員各位にはご多忙のところご参加いただき、誠にありがとうございました。
今回のサミットでは、「人口減少時代の広域連携~持続的に成長する地域の創生~」をテーマに、市町村、商工会議所などの代表者に加え、市町村議員の皆さんや住民の皆さんなど、約430名が一堂に会しました。人口減少という共通の課題に対し、地域や分野の枠を超えた連携強化の必要性を改めて確認する機会となりました。
また、会議終了後の交流会では、南信州焼肉のまち協議会と飯田商工会議所が、飯田焼肉によるおもてなしを行い、交流を深めていただくことができました。
今回のサミットを契機として、三遠南信自動車道及びリニア中央新幹線の早期開通に向けた活動、三遠南信地域の連携による取組を、より一層推進してまいります。
飯田市立図書館では、開館110周年を記念して、11月15日から「中央図書館のあゆみ展」を開催しております。11月29日には、シンポジウム「図書館の明日(あした)を語る会」を開催する予定です。
市民の皆さんとともに読書の輪を広げる機会となりますよう、多くの皆さんに図書館へ足をお運びいただきますようお願い申し上げます。
11月4日からは、飯田市民の「飯田愛」を醸成するプロジェクト「イイダのイイネ!」が始まっております。
市民の皆さんが身近に感じている飯田の魅力、場所、食べ物、人、伝統文化、自然などを積極的に発信し、広く共有することで、地域の魅力を改めて発見し、飯田への誇りと愛着を育む機会となること、シビックプライドを醸成する機会となることを期待しております。
振り返ってみれば、近年だけでも、橋北公民館の「春草かるた」、飯田OIDE長姫高校の地域人教育から生まれた「川路すごろく」「飯田のいいところかるた」など、地元愛を醸成しようとする取組は枚挙にいとまがありませんが、今回のプロジェクトはその集大成とも言えるものです。
議員各位にも、率先して「イイダのイイネ!」を発信していただきますようお願い申し上げます。
同じく11月4日には、来年度予算編成の基本方針をお示ししました。
来年2026年は、1996年に飯田市が将来都市像として「環境文化都市」を掲げてから30年という年に当たります。猛暑が続き、気象災害が激甚化・頻発化するなど地球温暖化の影響が現実問題となる中、環境への取組を市民の文化と言えるまで高めると謳った環境文化都市という都市像を目指す姿勢は、今まで以上に重要となるものと考えます。
また、カギかっこ付きにはなりますが、「10年先」には、リニア中央新幹線の開業・三遠南信自動車道の全通という、地域に大きなインパクトを与える二大交通インフラの開通が控えており、これらを見据えたまちづくり、すなわち、豊かな自然環境、独自の文化、地域に根差した産業などの当市ならではの地域資源と、リニア・三遠南信自動車道という交通インフラの利便性の両方を活かす戦略的なまちづくりに取り組んでいかなければなりません。
一方で、当市の人口は、自然減・社会減ともに続いており、また、令和6年の出生数は統計開始以来初めて600人を下回るなど、深刻な状況が続いております。
人口減少・少子高齢化の進行は、地域コミュニティの担い手不足、医療・介護サービスの維持困難、地域経済の縮小など、あらゆる分野に影響を及ぼしており、特に地域コミュニティへの影響は、コロナ禍において加速化した「つながりの希薄化」と相まって、一層深刻化しています。
このような状況を踏まえ、令和8年度は、いいだ未来デザイン2028後期計画の基本理念である「人口減少の緩和と適応」を基軸に、7つの基本目標に基づく戦略的な施策展開により、目の前の地域課題の解決と「10年先」を見据えたまちづくりを進める年と位置付け、当初予算編成に当たってまいりたいと考えております。
今定例会の議場における議論も、来年度当初予算編成にできる限り反映してまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
それでは、本日提案いたします案件についてご説明申し上げます。
本日提案いたします議案は、報告案件2件、条例案件9件、一般案件12件、予算案件7件の計30件です。
議案第124号「飯田市有線テレビジョン放送施設条例及び飯田市遠山郷有線テレビジョン放送施設条例の廃止」につきましては、飯田市によるケーブルテレビ放送事業が終了するため、関係する条例を廃止しようとするもの、
議案第131号「飯田市消防団員の定員、任免、給与、服務等に関する条例の制定」につきましては、消防団員の定員を現状に合わせる形で減らすほか、年齢要件の見直し、休団制度の導入、分限及び懲戒の手続の規定の追加等を行うため、飯田市消防団条例の全部を改正しようとするもの、
議案第132号から議案第136号までの5議案並びに議案第142号及び議案第143号の2議案につきましては、公の施設の指定管理者の指定に関するもの、
であります。
議案第144号「令和7年度一般会計補正予算(第5号)案」は、歳入歳出ともに6億5,600万円余を追加したいとする補正予算です。
今年度から予防接種法により定期接種化された帯状疱疹ワクチンの予防接種について、飯田市では定期接種対象者に限らず、独自に65歳以上の方全員を対象に拡充して取り組んでいるところでありますが、ワクチン接種の希望者が想定人数を大幅に上回ることが見込まれることから、予防接種にかかる委託料を増額するほか、ふるさと納税の増収に伴う経費の増、遠山郷学園における小学校の再編に伴う施設改修に係る経費などを計上しています。
そのほか各議案の詳細につきましては、後ほど関係部課長からご説明いたします。
先月28日で、私が市長に就任して5年となりました。
この間、議員各位をはじめ市民の皆さんには、市政運営に対し、ご理解と協力をいただいてまいりました。この場をお借りして、感謝申し上げます。
引き続き課題は山積、財政状況は一層厳しくなる中、今まで以上にかじ取りが難しい市政運営となっておりますが、課題に真摯に向き合い、「対話と現場主義」の初心を忘れることなく、一歩一歩、着実に歩みを進めてまいる所存です。
議員各位をはじめ市民の皆さんの引き続きのご理解とご協力をお願いいたしまして、今議会開会に当たってのご挨拶といたします。

