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令和4年飯田市議会第1回定例会 開会市長あいさつ

ページID:80153411 更新日:2022年2月24日更新 印刷ページ表示

令和4年飯田市議会第1回定例会 開会 市長あいさつ

 本日ここに、令和4年飯田市議会第1回定例会を招集し、令和4年度飯田市一般会計当初予算(案)をはじめとする重要案件についてご審議いただきますことに対し、深く感謝申し上げます。

 令和4年は穏やかに明けましたが、仕事始め直後から、新型コロナウイルス感染症の陽性者数が急拡大し、一時は飯田保健所管内の一日の陽性者の公表数が50人を超える事態となりました。
 その後、1月最終週から2月第一週あたりにかけては、減少傾向が見て取れる状況となりましたが、2月10日あたりから再び増加し、現在も高止まりの状況となっております。
 昨年1月の感染拡大時に比べて収束に時間がかかっており、改めて、このウイルスとの戦いの難しさを痛感しております。
 コロナとの戦いが長期化する中、最前線で日々奮闘されている医療従事者の皆様に、改めて、心から、敬意と感謝を申し上げますとともに、介護福祉施設、保育所等を継続するためにご尽力いただいている皆様、ご家庭での保育にご協力いただいている保護者の皆様、そのほか、このコロナ禍と闘うすべての皆様に、心から感謝申し上げます。

 一方、このひと月半に及ぶ「第6波」への対応の中から得られた知見もあります。
 1月9日に市内16会場で開催された令和3年度成人式につきましては、参加者全員に抗原定量検査を行い、感染の心配がないことが確認された状況で開催され、その後、成人式を起点とする感染者は確認されておりません。
 事前検査で陽性となり式に参加できなかった方もおられたことは忘れてはなりませんが、しかるべき対策を講じることで、社会活動を継続できることを示した事例と捉えております。
 感染をおそれてすべての活動を止めるのではなく、感染拡大防止と社会経済活動の継続を両立させる方策を模索していくことを、「コロナ禍を乗り越え、『日常』を取り戻す」年と位置付けた令和4年の市政運営の基本姿勢として取り組んでまいります。
 ひと月後に控えた飯田お練り祭りが大きな試金石になると思いますが、奉賛会の皆さんと感染防止対策を慎重に検討してまいりますとともに、開催を決定できる状況となるよう、市民の皆さんのご協力をいただきながら、感染者数を減らす努力を続けてまいります。

 本日提案いたします「令和4年度一般会計予算案」も、「コロナ禍を乗り越え、『市民活動』や『地域経済』の再興を図る」ことをテーマとし、昨年11月に発表いたしました「予算編成の基本方針」に基づいて編成いたしました。
 テーマに沿って、市民活動の再興、地域経済の再生という観点から様々な事業に取り組むことと併せて、リニア駅周辺整備や関連する道路事業に関する用地買収・物件補償、通学路の緊急安全対策、指定避難所等のトイレ整備など、従来以上に地方債を活用する積極的な予算編成に努めた結果、予算総額は477億5,000万円、前年度比2億8,000万円(0.6%)の増となり、予算規模は過去最大となっております。
 以下、令和4年度に重点的に取り組む10のポイントについてご説明いたします。

 1点目は、「新型コロナウイルス感染症対策の推進」です。新型コロナウイルスから市民の皆さんの命と生活を守るため、3回目のワクチン接種や簡易検査キットを活用した感染防止対策を行うなど、充実した医療検査体制の維持拡充を図ってまいります。
 2点目は、「市民活動の再興」です。「(仮称)飯田駅前プラザ」に設けられる公共空間を活用し、公民館機能のみならず、図書館機能、平和学習機能、女性活躍応援機能、多文化共生機能、学習支援機能、市民活動の交流・支援機能などの集積により、ヒト・モノ・コトが集まる創発の場を作り出し、市民活動の再興・賑わいの再生に取り組んでまいります。
 3点目は、「地域経済の再生・地域経済循環の促進」です。コロナ禍で冷え込んだ地域経済の再生を図るため、地域産業の高付加価値化や地域に根差した農林業の推進、デジタル技術を使ったまちづくりの推進などにより地域経済循環を促進してまいります。
 4点目は、「移住に向けた支援の強化と観光振興」です。移住定住を促進するため、市の魅力やこの地域で実現可能なライフスタイルの発信、移住希望者一人一人に寄り添う相談体制の充実を図ってまいります。また、アフターコロナを見据え、天龍峡、遠山郷などの観光資源を生かした魅力発信に取り組み、関係人口の創出につなげてまいります。
 5点目は、「子育て環境・教育環境の充実」です。保育や教育の人材確保の強化、誰ひとり取り残さない学習支援体制の充実のほか、ヤングケアラーの実態を把握するための調査を行うなど、個々の子どもに寄り添った支援を行ってまいります。
 6点目は、「市民総健康の推進と地域福祉の充実」です。新たに40歳を対象とした歯科検診を行うなど若い年代のうちから生活習慣病に関心を持って重症化予防に取り組んでいただけるように啓発するとともに、ユニバーサルデザインについての理解を深め、誰にとっても使いやすいトイレマップを作成するなど、地域共生社会の実現を目指してまいります。
 7点目は、「ゼロカーボンシティに向けた実践」です。昨年3月の「2050年いいだゼロカーボンシティ宣言」を具現化するため、地域との協働によるマイクログリッドの推進や住宅の脱炭素化など様々な環境配慮や環境共生のための事業に取り組んでまいります。なお、この地域マイクログリッド構築事業については、国が募集する脱炭素先行地域の計画提案に応募しておりますので、申し添えます。
 8点目は、「リニア・三遠南信時代を支える基盤整備」です。引き続き、リニア関連事業によって移転をお願いする皆様のご不安やご心配を払拭し、移転後の生活再建を進めることができるよう寄り添った対応に努めることを第一に取り組みますとともに、駅前広場、魅力発信施設、二次交通などの実装化に向けて、これまでの取組を総括し、より市民の皆さんの声を反映できる体制の構築と具体的検討を進めてまいります。
 9点目は、「災害や社会リスクに備えるための環境整備」です。市民の皆さんが安全・安心に暮らせるまちを目指す観点で、指定避難所等に位置付けている施設の屋外トイレについて計画的に改修を進めるほか、通学路の安全確保についても引き続き進めてまいります。
 10点目は、「デジタル技術の活用による市民サービスの向上」です。現在、飯田市では、国の方針に基づき、行政事務についてデジタルトランスフォーメーションを推進するための方針策定を進めており、今後、市役所に出向かなくてもオンラインで完結する行政手続きを増やしてまいりますが、令和4年度にはマイナンバーカードを利用してコンビニエンスストアで住民票等を取得できるサービスを導入するなどデジタル化による行政サービスの向上に取り組んでまいります。

 以上ご説明した重点事業のほか、地域通貨の導入の研究や学校・保育園の給食への有機食材導入の検討、子どもたちの読解力を高める取組の推進、古布のリサイクル回収の試行、地域猫活動への支援など、予算規模は小さかったり、ゼロ予算の事業であったりしますが、これまでなかなか目が届いていなかったことに意欲的に取り組もうとする事業も盛り込まれております。
 また、信州大学新学部の当地域への設置を目指し、「信州大学新学部誘致推進協議会」と連携して地域全体の機運を高め、誘致活動を推進していくほか、文化会館の建て替えに向けた議論を進めるなど、地域にとっての重要な課題について、しっかりと取り組んでまいります。

 それでは、今定例会に提案いたします案件についてご説明申し上げます。
 本日提出いたします案件は、報告案件1件、人事案件3件、条例案件10件、一般案件5件、そして只今ご説明した「令和4年度飯田市一般会計予算案」をはじめとする予算案件18件の計37件でございます。

 条例案件のうち、議案第12号「飯田市恒川史跡公園条例の制定について」は、奈良時代及び平安時代に「伊那郡」を統治していた役所の跡として、国の史跡に指定された座光寺の恒川官衙遺跡を保存し活用する史跡公園を設置するため、新たに条例を制定したいとするものです。
 議案第14号「飯田市立図書館条例の一部を改正する条例の制定について」は、(仮称)飯田駅前プラザに創発の場として図書館の飯田駅前分室を設置したいとするものです。分室には若者の学びが深まる本を配置し、セルフ貸出機を使ったサービスを提供してまいります。

 また、一般案件のうち、議案第15号「辺地に係る公共的施設の総合整備計画の策定について」は、上村・下栗地域における日常生活や産業振興を支える道路環境について、路線の改良整備をすることにより、通行の安全を確保し利用者の利便性の向上を図ることを目的に、令和4年度から令和6年度までの整備計画を策定したいとするものです。

 予算案件のうち、議案第20号「令和3年度飯田市一般会計補正予算(第13号)案」は、歳入歳出予算の総額にそれぞれ26億2,713万円を増額し、予算の総額を558億4,211万2千円にしたいとするものです。
 主な内容は、国の補正予算において計上された保育・教育の現場で働く保育士・幼稚園教諭等の処遇改善に要する経費や小中学校における消毒液、マスク等の購入など感染対策に要する経費を計上するほか、一定の目的を果たした庁舎建設基金の整理に要する経費等を計上するものです。

 その他、議案の詳細につきましては、後ほど関係部課長から説明いたしますので、宜しくご審議いただきますようお願い申し上げます。

 議案説明については以上ですが、2点ご報告申し上げます。
 2月18日に阿部長野県知事を座長とする「リニア中央新幹線整備を地域振興に活かす伊那谷自治体会議」が、オンライン形式により開催されました。
 「社会変化を踏まえた新たな視点」及び「リニアバレー構想実現プラン基本方針に基づく戦略的チャレンジの方向性と課題」の2つのテーマについて協議しました。
 脱炭素社会の実現、コロナ禍で顕在化してきた地方回帰の潮流、さらにはDX(デジタル・トランスフォーメーション)の加速化等の社会的な環境変化に対応し、「インバウンド」や「伊那谷全体でのブランディング」等の観点も含めて、具体的な対応を進めていくことが重要との議論がありました。
 また、「広域二次交通」については、めまぐるしく変化する社会や進展する技術に対応できる柔軟性が必要であること、「企業誘致」については、情報通信基盤の整備が重要であるとともに、企業ではなく「人」を誘致するという視点が必要であること、そのためには当地域における「暮らし」そのものに価値を見出し、情報発信していくことが大切であること、などの意見が出されました。
 阿部知事からは、同じような議論を繰り返すのではなく、誰が、いつまでに、何をする、という具体的な工程表が必要だとの指摘があり、今後、リニアバレー構想の見直しとその実現に向けた具体的な工程表の作成等が進められることとなりました。

 2月22日には、「信州大学新学部誘致推進協議会」としての要望書を信州大学の中村宗一郎学長に提出してまいりました。協議会の会長である私とともに、副会長である下平町村会長、原飯田商工会議所会頭、井坪南信州広域連合議長に、それぞれ行政、経済界、住民の代表として同行していただきました。
 近い将来リニア中央新幹線と三遠南信自動車道が整備される飯田・下伊那地域に信州大学がキャンパスを置くことのメリット、官民挙げて信州大学を支援する準備を進めている当地域の熱意などについて、中村学長にお伝えし、中村学長からは、「地域の思いを重く真摯に受け止めました」とのお答えがありました。
 市民の代表であります市議会の皆様からは、21日に誘致推進についての要望書をいただいたところですが、もとより私自身、誘致推進協議会の会長として、当地域の悲願であります4年制大学・学部の設置実現に向けて、全力を尽くしてまいる所存でありますので、議員各位の一層のご理解・ご協力をよろしくお願いいたします。

 最後に、飯田市の人口動態について申し上げます。
 今月初めに地方紙で報じられたように、昨年2021年の飯田市の人口動態は、1年間で1,149人の減、そのうち、市外から転入した人と市外に転出した人の差、いわゆる社会増減が517人の減となりました。
 この517人の社会減という数字は、人口が3倍以上ある長野市よりも大きな数字であり、県下市町村の中で最も大きな数字となっております。
 これは、「ここに住み続けたい」、あるいは、「帰ってきたい」と思う人が減ったか、「住み続けたい、帰ってきたい」と思いながら、それを阻むものがあるか、いずれにしても真摯に受け止めなければならない数字であると考えます。
 もちろん、移住・定住に関する取り組みは、数の多い少ない以上に、一人一人の人生に寄り添って、「住みたい、住み続けたい」という思いを実現することが大切であり、その意味では、担当者や各地区の関係者のこれまでの地道な取り組みが評価され、田舎暮らしを扱う雑誌のランキングにおいて飯田市が上位に位置付けられたことは、嬉しく思うところでありますが、私自身にとっては、「2050年、飯田は『日本一住みたいまち』になる」という将来像に向かってなお一層の頑張りが必要であることを、数字をもって思い知らされたと受け止めております。
 改めて、希望の持てる未来を次世代にバトンタッチするために、先頭に立って全力を尽くす決意であります。

 冒頭に申し上げましたように、感染拡大防止と社会経済活動の継続を両立させるという、コロナ禍が始まってからずっと取り組んでいる難しい課題に、市民の皆さんと力を合わせて改めて挑戦し、乗り越えてまいりたいと思います。
 議員各位にも改めて力を貸していただきますようお願いいたしますとともに、市政運営への一層のご理解・ご協力をお願い申し上げまして、開会に当たってのご挨拶とさせていただきます。
 どうぞよろしくお願いいたします。

※掲出文は原稿ベースであり、実際の発言と異なる箇所があります。