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令和6年飯田市議会第2回定例会 開会市長あいさつ
令和6年飯田市議会第2回定例会 開会 市長あいさつ
本日ここに令和6年飯田市議会第2回定例会を招集し、令和6年度一般会計補正予算第1号案ほか諸案件をご審議いただきますことに対し、御礼を申し上げます。
第1回定例会が閉会してちょうど1週間後、「リニア開業まで少なくとも10年」という当地域にとって非常に大きなニュースが流れました。
3月29日に開催された第2回リニア中央新幹線静岡工区モニタリング会議において、JR東海から「工事契約締結から既に6年4か月が経過している静岡工区の状況が、名古屋までの開通の遅れに直結しており、2027年の開業は実現できない。」との説明があり、更に「静岡工区のトンネル工事着手後、リニア開業まで最短でも10年を要する」として、2027年以降とされていた品川・名古屋間の開業が、現時点で今から10年以上先になる見通しであることが明らかになったものです。
4月22日には、長野県の阿部知事とJR東海の丹羽社長とのトップ会談が行われ、阿部知事からリニア開業時期の明確化と県内工事の早期完成、完成時期の明確化について直接要望されました。
丹羽社長からは、リニア開業時期について明確な回答はありませんでしたが、長野県駅の今後の工事スケジュールについては、7月頃に説明会を実施したいとする回答がありました。
2027年の開業を前提として土地を提供された地権者の皆さんの心情を考えれば、JR東海には、工事スケジュールの説明の前に、まずは、開業が10年も先に延びることとなった経過や事情を地元の皆さんに説明する機会を設けるべきであると思います。その旨は、すでに長野工事事務所には伝えていますが、JR東海としての真摯な対応を望みます。
リニア長野県駅本体工事のスケジュールの変更は、当市が実施するリニア駅周辺整備計画にも影響を及ぼします。一日も早く、具体的な工程・スケジュールを示していただきたいところです。
飯田市としては、駅周辺整備計画の見直しの中で、リニア開業を待たずに駅前広場の一部を供用開始し、賑わいを創出することについても検討したいと考えております。
リニア開業が10年先となることで、企業誘致や移住促進などへの影響は避けられませんが、それを嘆くのではなく、改めてリニアに寄りかかり過ぎない地に足の着いたまちづくりを進めていくことが大事であると考えます。
地域自治・住民自治について改めて学び直し、「つながりの再生」、住民主体のまちづくりに改めて取り組むとともに、信州大学と連携したグリーン水素・水循環の研究の「実証タウン」としての取組、脱炭素先行地域としてのマイクログリッドの構築や太陽光・小水力・バイオマスなど再生可能エネルギーの普及促進など環境を軸としたまちづくり、空飛ぶクルマなど新たな産業振興、森林資源の循環や環境に配慮した農業の推進など、この地域ならではの取組をこの10年の間にしっかりと進め、結果として、リニア開業時にはこの地域の「らしさ」とリニアの利便性を兼ね備えた魅力的なまちとなるよう、しっかりと取り組んでまいります。
早いもので、元日に発生した能登半島地震から4か月以上が経過いたしました。
先週富山市で開催された北信越市長会におきましても、被災地の復旧・復興に関する決議をいたしましたが、改めて、被災地の皆様にお悔やみとお見舞いを申し上げますとともに、一日も早い復旧・復興をお祈りいたします。
この間、多くの市民の皆様から被災地に対するご支援を賜りました。
特に、石川県珠洲市に対し、地名や学校名に「飯田」という同一地名等があることから義援金による支援を呼びかけたところ、3月末までに総額1855万4,670円のご厚志をお預かりし、4月25日に送金することができました。
また、ふるさと納税による珠洲市に対する代理寄付も3月末までに総額1639万3,760円のご厚志を賜りました。皆様のご理解とご協力に感謝申し上げます。ありがとうございました。
発災直後の1月2日から行ってまいりました市職員の派遣支援では、医療・給水・下水道管渠調査・廃棄物処理・家屋被害調査などの業務に対し、5月18日までに延べ78名の職員を派遣いたしました。今後は中長期の派遣に移行してまいりますが、引き続きできる限りの支援を続けてまいりたいと考えております。
3月25日には、派遣職員の被災地での経験や感じたこと、教訓などを市民の皆さんと共有できるよう、活動報告会を開催し、多くの皆様にお集まりいただきました。
また、5月9日には、地域の自主防災会で指導的役割を果たしていただく皆さんを対象とした自主防災リーダー養成研修会を開催し、能登半島地震を踏まえた自主防災のあり方を改めて研修していただきました。
来月6月2日には降雨による災害を想定した土砂災害全国統一防災訓練を実施いたします。こうした訓練や啓発活動を通じて、コロナ禍で停滞してしまった感のある地域防災の活動に関して、地域のつながりを再構築しながら、市民の皆さんと一緒に取り組んでまいりたいと考えております。
それでは、今定例会に提案いたします案件について申し上げます。
本日提案いたします案件は、報告案件19件、人事案件7件、条例案件8件、一般案件2件、予算案件3件の計39件です。
このうち、議案第64号「令和6年度一般会計補正予算第1号案」は、歳入歳出ともに11億4,800万円余を追加したいとするものです。
主な内容は、国によるデフレ脱却のための措置である「定額減税」において、減税しきれないと見込まれる方に対する「調整給付金」や低所得世帯への「支援給付金」に係る予算を計上しています。
また、令和6年度から自己負担が発生する新型コロナウイルス感染症のワクチン接種に係る費用等も計上しています。
議案の詳細につきましては、後ほど関係部課長から説明いたしますので、よろしくご審議いただきますようお願い申し上げます。
5月8日に新型コロナウイルスが感染症法上の5類に移行して1年が経過しました。
依然として少ないながらも一定数の感染者があることから、医療現場では引き続き厳しい規制を継続し、治療にあたっていただいております。医療、福祉の最前線で対応していただいている皆様に改めて感謝申し上げます。
一方で、会議やイベントの多くは、コロナ前と同じように行えるものが増え、この春は、桜まつりややまびこマーチなど家族連れを中心に、多くの人で賑わいました。
ゴールデンウィークに開催されました「オーケストラと友に音楽祭」では、市内各地で多くの皆さんにクラシック音楽をお楽しみいただきました。
音楽祭最終日の名古屋フィルハーモニー交響楽団による名曲コンサートでは、川瀬賢太郎さんの指揮の下、昨年に続いて来飯いただいた14歳の天才トランぺッター児玉隼人さんの奏でる繊細な響きが、文化会館ホールを埋め尽くす聴衆を魅了しました。
音楽クリニックも中学校吹奏楽コースの受講生が103名と過去最高となるなど、地域への広がりが年々充実してきていると感じます。名古屋フィルハーモニー交響楽団、地元音楽団体、音楽祭を支えてくださっている実行委員の皆さんほか関係者のご尽力に心から感謝申し上げます。
ゴールデンウィーク期間に当たる4月30日には、飯田市として「オーガニックビレッジ宣言」を行いました。
これは、農薬や化学肥料を減らす「環境に配慮した農業」を推進するための「地域参加型相互認証制度」を導入し、認証された農産物を学校給食に優先的に使用することで、子どもたちに安心・安全な食を提供するとともに、生産者の皆さんの安定的な販売先を確保し、有機農業をはじめとする「環境に配慮した農業」に取り組みやすい環境を整えていこうとするものです。
関係者の皆さんと力を合わせて、一歩一歩着実に取組を進めてまいります。
来たる6月1日には、信州大学が取り組んでいるグリーン水素、水循環関連の研究について、その実証タウン実現に向けたシンポジウム「南信州におけるグリーン水素と水循環技術の展開」を南信州広域連合、飯田市、信州大学の3者の主催によりエス・バードで開催いたします。
信州大学では、「水の循環利用」や「水由来のグリーン水素の生成と利用」など水を中心とする地球環境再生にかかわる「アクア・リジェネレーション(ARG)分野」の研究力の強化に取り組んでおり、昨年12月に国の「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業」の採択を受け、「研究の卓越性」「イノベーション創出」「地域貢献」の実現を目指しています。
南信州地域においては「研究拠点となる施設・設備の設置」や「研究成果を社会で活用するための先駆的モデルとなる実証タウンの構築」を行うこととされています。
今回のシンポジウムは、信州大学の研究や実証タウンの構築によって、当地域にどのようなことが起きうるのか、その研究成果が世界にどのように貢献しうるのか、当地域の産業振興にどのように生かすことができるのか、などについて、多くの市民の皆さんや事業者の方々に知っていただく機会としたいと考えております。
議員各位にもぜひご参加いただきたいと存じます。
以上申し上げまして、開会にあたってのご挨拶といたします。
どうぞよろしくお願いいたします。
※掲出文は原稿ベースであり、実際の発言と異なる箇所があります。