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令和6年飯田市議会第3回定例会 開会市長あいさつ
令和6年飯田市議会第3回定例会 開会 市長あいさつ
本日ここに、令和6年飯田市議会第3回定例会を招集し、令和5年度飯田市一般会計歳入歳出決算認定をはじめとする諸案件についてご審議いただきますことに対し、御礼申し上げます。
お盆前の8月8日の夕方、日向灘でマグニチュード7.1の地震が発生し、宮崎県内では最大震度6弱を観測しました。
1月の能登半島地震に続いての大きな地震であり、被害を心配しましたが、被害状況が明らかになる前の午後7時15分には、気象庁から南海トラフ地震臨時情報「巨大地震注意」が発表されました。
飯田市では、地震発生直後の同日午後5時から第一警戒態勢を取り、「巨大地震注意」が発表された午後7時15分には第二警戒態勢に移行し、午後8時過ぎに防災行政無線等を通じて、市民の皆さんに食料・飲料水の備蓄といった日頃の備えの確認をお願いいたしました。
翌9日の午前8時30分には臨時部長会議を開催し、地震発生後からその時点までに収集した情報と今後の対応について確認いたしました。
幸いにも注意の呼びかけのあった1週間のうちには巨大地震の発生はなく、8月15日午後5時をもって、南海トラフ地震臨時情報「巨大地震注意」に伴う政府としての特別な注意の呼びかけが終了したことから、市の警戒態勢も解除いたしました。
今回の臨時情報の発表は、制度ができてから初めてのことであり、心配された市民の皆さんも多かったであろうと推察しますが、日頃からの備えを確認する良い機会になったと感じております。
注意の呼びかけが終了したからといって、南海トラフ巨大地震が発生する可能性がなくなったわけではありません。市民の皆さんには、冷静に通常の生活を送っていただく一方で、地震に対する日常的な備えを引き続きお願いいたします。
9月1日に予定している地震総合防災訓練では、市民の皆さんには安全行動訓練(シェイクアウト訓練)を、各地区の自主防災組織においては指定避難所の開設・運営訓練をお願いしているところです。各地区で準備を進めていただいていることに感謝申し上げます。
1月の能登半島地震、この度の南海トラフ地震臨時情報発表後の大事な訓練であり、飯田市災害対策本部では、物資輸送拠点の開設訓練、災害廃棄物仮置き場の開設訓練、福祉避難所の開設訓練、り災証明の申請受付訓練など、実践に則した訓練を予定しておりますが、大型で勢力も強い台風10号の接近に伴う天候の悪化、災害の発生が心配される状況でもあります。
市民の皆さんの意識も高まっており、自主防災組織の皆さんも訓練に向けてご尽力いただいていると承知しておりますのでぜひ訓練を実施できればとは思いますが、訓練に参加する皆さんの安全確保を第一に考えなければなりません。本日の午後3時までには訓練実施の是非を判断し、お伝えいたします。
今年の夏は大変な暑さに見舞われました。
飯田測候所で35度以上を観測した猛暑日は、7月5日に35.3度を観測して以来21日、南信濃でも7月5日に36.9度を観測してから30日を数え、特に南信濃では7月29日に39.1度の観測上最高気温となるなど、まさに記録的な猛暑となりました。
過去に類を見ない猛暑の年となりましたが、ここ数年続いている夏の猛暑は、熱中症の増加などの健康被害や農作物の減収といった、私たちの暮らしと直結する部分で影響が出始めています。
地球温暖化による気候変動が、生活に深刻な影響を及ぼし始めている中、今一度、省エネや再生可能エネルギーの利用促進、ごみの減量により循環型社会を目指すこと等、基本的な対策に取り組むことが重要となっています。
このうち、ごみの減量に関しては、燃やすごみの削減、特に生ごみの削減を進めるため、生ごみを生ごみ処理機で堆肥にすることなどにより集積所に出さない旨の宣言を行っていただいたご家庭に対し、専用の燃やすごみ袋「生ごみ出しません袋」を8月20日から配布しています。
これは、家庭ごみのサンプル調査で燃やすごみの約4割が生ごみであること、生ごみの約8割を水分が占め焼却に多くのエネルギーが必要となることから、燃やすごみ、特に生ごみを減らすにはどうすればいいか、市民の皆さんに考えてもらうきっかけづくりとして、配布しているものです。
燃やすごみの減量は、ごみ袋の使用枚数の削減をはじめとして家計にも優しく、稲葉クリーンセンターの焼却設備への負担を減らし、ひいてはCO2の排出量の減少により地球環境にも優しいという「三方よし」の取組です。
市民の皆さんには、まずは食品ロスの削減を含めた生ごみの削減に関心を持っていただき、取り組みを進める中でごみ全体を減らす行動に結びつけていただければと思います。
7月28日には、「地域づくりシンポジウム」をエス・バードで開催し、議員各位をはじめ各地区まちづくり委員会の役員など、合わせて180名を超えるご参加をいただきました。ご多忙の中ご出席いただきました皆様に感謝申し上げます。
このシンポジウムでは、飯田市の自治基本条例を市議会が主体となって市民とともに作り上げた背景やねらいを振り返ることができ、自治基本条例が持つ意味を、再確認することができました。
10月下旬には、「持続可能な地域社会総合研究所」所長の藤山 浩(ふじやま こう)さんを講師にお招きし、「田舎へ還ろう戦略」の基となった藤山さんが提唱する「田園回帰1%戦略」を中心とした、住んでみたい、住み続けたい地域とは何かを学ぶ地域づくり研修会を開催することとしています。
こうした学びを重ね、自治基本条例の理念を尊重した「協働のまちづくり」と「ムトスの精神」に立ち返り、人と人とのつながりを大切にした地域づくりを進めてまいります。
飯田のまちづくりのシンボルである「りんご並木」につきましては、9月1日から社会実験を行うこととしております。
車両通行を自主規制して道路の路面を活用する社会実験を、9月1日(日)から11月30日(土)までの3か月という長期間にわたり実施するものです。
昨年12月に橋南まちづくり委員会、飯田東中学校、各種団体、沿線店舗等が参画する「りんご並木未来づくり会議」が発足し、りんご並木の目指す姿や実現するための取り組みについて協議を続けていただきました。
会議の中で、りんご並木の理念を「憩いや集いのステージとなるりんご並木」と整理していただき、その実現に向けた取り組みとして、今回の社会実験を行うものです。
路面の一部を活用して、沿線店舗のオープンテラスとしたり、りんご並木を活用している団体のフリースペースとして音楽やダンスの場とするなど、日常的な賑わいの場を作り出すこととしています。
この他、動物園や美術博物館、図書館などの周辺施設も一体的に賑わいがもてるよう、動物散歩のコースを作るほか施設職員によるまちなかガイドの取り組みも行います。
今回の実験では、月1回実施している「りんご並木歩行者天国」のような一時的な賑わいを創出するイベントとは異なり、長期間にわたり日常的に憩い集える空間づくりに取り組むことで、りんご並木の目指す姿の実証を行います。
路面活用にあたっては交通規制を実施するため、周辺住民の皆さんや事業者、道路を利用する皆さんにご不便をおかけすることもあるかと思いますが、市民の皆さんのご理解と御協力をよろしくお願いいたします。
さて、本日提案いたします議案は、報告案件3件、人事案件6件、条例案件5件、一般案件5件、予算案件3件、決算認定13件の計35件です。
議案第88号「令和6年度一般会計補正予算第3号案」は、歳入歳出ともに5億3,000万円余を追加したいとする補正予算です。
主な内容は、龍江インター産業団地の土地売払収入を歳入として計上するほか、更なるインバウンドの消費拡大や質の向上に向けた特別体験を企画する事業にかかる経費、学校給食及び民間保育所等の副食費について物価高騰対策として下半期も継続して補助する経費などを計上しております。
議案第91号から第103号までは、令和5年度の各会計の決算認定をお願いするものでありますが、ここで令和5年度決算の概要についてご説明いたします。
一般会計に墓地事業及びケーブルテレビ放送事業の両特別会計を合算した「普通会計」の決算では、歳入が502億8,300万円余、歳出が493億800万円余で、実質収支は7億2,600万円余の黒字、実質単年度収支は1億600万円余の赤字となりました。
歳入では、市税は個人市民税の増などにより1億4,600万円余の増となったものの、普通交付税の追加交付額や臨時財政対策債発行額が減少したため、歳入総額は、前年度比9億2,500万円余の減となりました。
一方、歳出は、豪雨による災害復旧費等が増加したものの、丘の上結いスクエアや民間保育所の園舎改修等の施設整備が終了したこと等により、歳出総額は、前年度比10億7,200万円余の減となりました。
普通交付税等の減や災害復旧への対応等のため財政調整基金を2億円取り崩し、歳入歳出それぞれの決算規模は、過去4番目の大きさとなりました。
財政健全化判断比率のうち、実質公債費比率については、標準財政規模が縮小したことなどから、前年度比で0.5ポイント上昇し8.1%となりました。
また、将来負担比率は、地方債の償還が進んだことによる地方債残高の減少や債務負担行為の減少により、前年度比で5.7ポイント改善し3.1%となりました。
これらの指標につきましては、早期健全化基準等に照らしても特段問題はなく、令和5年度は健全な財政状況であると捉えていますが、今後控える大規模事業を進めていくうえで、引き続き指標等を注視し、健全財政の維持に努めてまいります。
最後に未来デザイン2028後期計画について申し上げます。
令和7年度から令和10年度までの4年間を計画期間として策定を進めております「いいだ未来デザイン2028後期計画」は、これまでに「いいだ未来デザイン会議」での協議に加え、飯田短期大学、飯田コアカレッジの学生の皆さんや市内の高校生の皆さんと、持続可能な地域を創造していくために大切にすべき視点は何かを協議してまいりました。
こうした市民会議や若年層の意見を踏まえ、基本目標を策定するに当たって共通して持つべき4つの視点を定め、この視点から考えた「いいだ未来デザイン2028後期計画」の素案をお示ししました。
4つの視点とは
・地域の資源を生かし、守り、次世代に「つなぐ」視点
・育ち育て学びあい、支え合い、自分らしい暮らしを「つむぐ」視点
・誰もが豊かさも、働きがいも感じられ、発展し続ける地域を「創造(つくる)」視点
・人々が参加し、つどい、活躍できる「つどう」視点
この4つの視点をバランスよく考慮し、飯田らしさである結いやムトスの精神を大切にしつつ、地域の持続可能性を高め、リニア時代に向けた礎を築くための計画として策定してまいります。
市議会からも、中期3カ年の評価を基に、「いいだ未来デザイン2028後期計画」の素案に対してご提言をいただきました。
こうしたご意見、ご提言を踏まえて策定する「いいだ未来デザイン2028後期計画」の原案は、6日の予算決算委員会全体会で説明いたします。引き続き、議員各位からご意見をいただきたいと存じますのでよろしくお願い申し上げます。
また、9月9日から1か月間、パブリックコメントを実施いたします。
市民の皆様からも多くのご意見をいただきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
以上申し上げまして、開会に当たってのご挨拶といたします。
どうぞよろしくお願いいたします。
※掲出文は原稿ベースであり、実際の発言と異なる箇所があります。