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市長エッセー(市長室から)その41〜
飯田市長・佐藤健が日々感じたことを記していきます。
42 伝えたいこと(広報いいだ令和6年9月号から)
先日、飯田コアカレッジの皆さんにお話をする機会があったのですが、その準備をしている際に、豊田章男さんがトヨタの技術者に語ったこんな言葉に出会いました。
「皆さんは、自分のために、自分の技術を磨き続けてください。トヨタの看板が無くても、外で勝負できるプロを目指してください。私たちは、どこでも働ける実力を付けた皆さんが、それでもトヨタで働きたいと心から思っていただける環境をつくるために、努力してまいります。他人と過去は変えられませんが、自分と未来は変えられます。皆さん、一緒にトヨタの未来を創っていきましょう。」
他人と過去は変えられないが、自分と未来は変えられる——この言葉を悩み多き青春時代の真っただ中にいる学生の皆さんにお伝えしたかったのが第一ですが、豊田さんの言葉の「トヨタ」を「飯田」に置き換えると、これも私が子どもたちに伝えたいことでありました。
世界のどこへ行っても活躍できる実力を付けた皆さんが、それでもやっぱり住みたいと思ってもらえる飯田市を創っていきたい。皆さん、一緒に飯田の未来を創っていきましょう!——子どもたちに話をする際には、一度はこの地域を離れても将来帰ってきてほしいと願ってお話ししますが、それはここに縛り付けようということではありません。豊田さんの言葉は、まさに私の思いを言い当ててくれたように思ったのでした。
41 ありがとうエルマー(広報いいだ令和6年8月号から)
その新聞の「死亡記事」には、亡くなった方の顔写真ではなく、見覚えのある絵本の表紙の写真が載っていました。
『エルマーのぼうけん』。子どもの頃、私の大のお気に入りだった絵本。
その作者であるルース・スタイルス・ガネットさんのお名前も、作者が女性だったということも、その記事で初めて認識しました(もちろん本の表紙に作者の名前は書いてありますけれど)。
それにしても、『エルマーのぼうけん』を私はいったい何べん読んだことでしょう!
エルマーが「どうぶつ島」に捕らえられている子どもの竜を助けに行き、次々と起こるピンチをリュックサックに詰め込んだチューインガムやら棒つきキャンディーやら歯ブラシやらを使って巧みに乗り越えていく様は、何度読んでもワクワクしたものです。
作者の訃報に接し、久しぶりに懐かしい絵本を手に取りながら、この本と出合えたことに改めて感謝しました(だって、エルマーが今の私の一部を作ってくれたのは間違いないのですから!)。
すべての子どもが、そんな大事な一冊に出合えることを心から祈ります。