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飯田アカデミア第74講座を開催しました
-飯田アカデミア2015 第74講座 報告
第74回となる飯田アカデミアを、文化庁記念物課世界文化遺産室付、鈴木地平先生をお招きして、6月6日(土曜日)に開催しました。
第1講では「文化的景観って、なに?」と題して平成16年の文化財法の改正により設けられた地域に固有の土地利用に基づく重要文化的景観の概念、選定の条件、海外や国内における文化的景観に関する取組み、県内の事例について紹介をしていただきました。
特に川の水利によって形成されてきた1500枚の棚田から成る千曲市姨捨の棚田や、ブナ林に覆われた小菅山とそこで営まれた修験道の坊院跡と特徴的な水利をともなう飯山市の小菅の里について、県内の身近な事例として具体的に紹介していただきました。
第2講では「文化的景観を活かしたまちづくり」と題して、高島市針江の「カバタ」と呼ばれる水場の景観を案内する住民の取組み、宮崎県日南市坂元の棚田における天日乾燥米づくり、熊本県天草市の今福における景観を見直す市民活動等の事例をもとに、地域の持続的・自立的運営の「きっかけ」となった文化的景観の取り組み事例を紹介していただきました。
最後に飯田・下伊那の文化的景観を受講者同士で話し合い、地図に記してゆく、ワークショップの時間が設けられ、多くの身近な文化景観があげられました。地域の持続性に文化的景観がどのように貢献できるのか、新しい文化財の可能性を理解する貴重な場になったと思います。
講師
鈴木 地平(スズキ チヘイ)さん 〔文化庁記念物課世界文化遺産室付技官〕
昭和55年(1980)生まれ、滋賀県大津市出身。
京都大学大学院文学研究科(地理学)を経て、平成17年(2005)より現職。
在職中に高崎経済大学大学院地域政策研究科を修了し、博士(地域政策学)。
全国の文化的景観の保存・活用に従事するほか、世界遺産も担当。
講師著書
主に『都市の文化と景観』(共著)、「文化的景観が目指すもの」(月刊文化財 平成24年11月号)。「「イイ景観」を未来へ」(月刊地図中心 平成26年9月号)など。
講義概要
魅力ある風景を未来へ-文化的景観の見方、守り方、使い方-
第1講 「文化的景観って、なに?」
1. 文化的景観ってなに?
2. 文化的景観の見方
3. 長野県内の重要文化的景観
第2講 「文化的景観を活かしたまちづくり」
1.文化的景観の活かし方
2. 飯田で文化的景観は成り立つのか?