ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
現在地 ホーム > 分類でさがす > 市政情報 > 市政 > プレスリリース 第14回飯田市地域史研究集会 内容紹介

本文

第14回飯田市地域史研究集会 内容紹介

ページID:0042385 更新日:2016年9月20日更新 印刷ページ表示

第14回飯田市地域史研究集会

  黒田人形 藤田覚氏講演
  (左)黒田人形保存会の皆さんによる「三番叟」の上演
  (右)講演「幕府権力と地域―武蔵多摩郡八王子地域を素材にして―」東京大学名誉教授 藤田 覚氏

  会場の様子 ディスカッションの様子
 (左)報告「近世後期の飯田藩政―その展開と課題―」 飯田市歴史研究所 千葉 拓真
 (右) ディスカッションの様子

特集 飯田藩と地域社会

 8月27日(土曜日)・28日(日曜日)に、第14回飯田市地域史研究集会を開催しました。1日目の来場者は約130名、2日目は71名と、市内はもとより市外や県外を含めた皆さんにご参加いただきました。飯田・下伊那地域について考える上で、飯田藩と地域社会との関係は大変重要なテーマであり、今後とも様々な視角からこの問題について研究を進めていきたいと考えています。

 今回の地域史研究集会では、近世に飯田・下伊那のうち2万石を支配した飯田藩と地域社会との関わりについて、藩政の展開に加え、文化・学問という側面を重視しながら、これを明らかにすることを試みました。

 本研究集会では、講演・報告に先立って、黒田人形保存会の皆さんによる三番叟の上演を行いました。その後、基調講演として東京大学名誉教授の藤田覚氏から、「幕府権力と地域―武蔵多摩郡八王子地域を素材にして―」と題し、幕府権力(公儀)による支配の在り方を地域における利害調整という側面から検討するご講演をいただきました。

 午後には飯田市歴史研究所の千葉拓真研究員が「近世後期の飯田藩政―その展開と課題―」と題した報告を行い、江戸幕府の側用人や老中格まで昇進した10代藩主堀親寚とその子 堀親義の時代における飯田藩政の動向と、そこから見える政治課題等について検討しました。前飯田市立中央図書館長の加藤みゆき氏からは、「堀家旧蔵古書を中心とした飯田文庫の蔵書について」と題して、飯田市立中央図書館の前身である飯田文庫に堀家の蔵書などが収蔵された経緯や、現在中央図書館が所蔵する堀家の旧蔵古書をはじめとした書籍の紹介をしていただきました。そして東京大学の竹ノ内雅人氏に「近世における飯田の学問と文化」と題し、飯田における和歌や国学、寺子屋での学習の様相や、それらを通じた武士や百姓・町人の文化的なネットワークについて検討していただきました。

 これらの講演・報告に基づいて、横浜国立大学教授で歴史研究所調査研究員の多和田雅保氏の司会により、パネルディスカッションを行い、その後、会場とのあいだでも活発な議論が行われ、飯田藩と地域社会との関係性や文化の多様性、飯田・下伊那地域の特性にまで議論が及びました。

 会場の廊下では、「飯田・上飯田の水路と歴史―近世の御用水から現代の裏界線まで―」として、近世から現代までの飯田の水路に関係する史資料や市民団体「いいださんぽ会」の活動などについてパネル展示を行いました。この内容は、これまでの飯田市歴史研究所やいいださんぽ会による活動の成果を反映したものです。
 
 2日目には4本の報告を行いました。座光寺地区における「歴史に学び地域をたずねる会」の活動報告や、飯田・下伊那地域における結婚および結婚式の形態の変化について、アンケート調査をもとに研究した報告、そして近世の座光寺村を中心とした山論に関する報告、満蒙開拓青少年義勇軍の創設に関する報告が行われ、いずれも深い洞察と精緻な分析に基づく研究報告でした。
 以上2日間の成果は、今後の執筆と編集を経て、来年刊行される年報にまとめられる予定です。

さんぽ sannpo
「水路と歴史をめぐる飯田町さんぽ」の様子