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第15回飯田市地域史研究集会 内容紹介
第15回飯田市地域史研究集会
(左) 報告「対話を通じて地域を描く―飯田での経験から―」 横浜国立大学 多和田 雅保氏
(右) セッション1「地域の全体史を考える」討論
(左) 清内路コカリナをふきまい会の方々によるコカリナ演奏
(右) 報告「「個」の歴史から地域を見る―「自分史」が問い直すもの」 大阪大学 安岡 健一氏
(左) セッション2「自分史・歴史的景観から考える」討論・全体討論
(右) 小平 和夫氏 作品 「伊那市通り町一丁目商店街の街並み景観―街並み景観のミニチュア表現」
特集 地域の歴史を描く
7月30日(日曜日)に第15回飯田市地域史研究集会を飯田市役所にて開催しました。「地域の歴史を描く」をテーマに、地域の歴史を調べて書き記すこと、あるいは多様な形で表現することについて考えました。《セッション1 地域の全体史を考える》と《セッション2 自分史・歴史的景観から考える》に分け、6本の報告が行われました。来場者は88名、市内はもとより市外や県外からも多数ご参加いただきました。
セッション1の最初の報告、多和田雅保氏(横浜国立大学)「対話を通じて地域を描く―飯田での経験から―」では、『飯田・上飯田の歴史』の編集・執筆に携わった経験を踏まえ、地域史の叙述(研究報告や出版)を通して市民と対話を重ねることの意義などが述べられました。続いて、吉田治忠氏(中平区誌編纂委員会)「鼎中平区誌編纂にあたって」では、現在進行中の区誌編纂の現状と課題について、渡邉義昭氏(上郷公民館ふるさと学習教材編集委員会)「ふるさと学習教材を作るにあたって」では、今春刊行された小学生向け学習教材『久遠の文化うち立てん』の作成の経緯や今後の活用について報告されました。
セッション2の安岡健一氏(大阪大学)「「個」の歴史から地域を見る―「自分史」が問い直すもの―」では、自分史の系譜や地域史との関係、自分史叙述の場を確保することの重要性が述べられました。また、樋口貴彦氏(飯田市歴史研究所)「記憶としての景観」では、歴史的景観という視角の意義や、記憶と歴史(実体)の絡み合いについて報告されました。小平和夫氏「伊那市通り町一丁目商店街の街並み景観―街並み景観のミニチュア表現―」では、通り町商店街を対象としたミニチュアやしおり作りの実践について報告されました。
討論では、地域史と自分史や歴史的景観との関係、こうした取り組みがもつ意味などについて議論が交わされました。今回の成果は来年度刊行の年報にまとめる予定です。
なお、セッション2の前には、清内路コカリナをふきまい会のみなさまがコカリナを演奏し、会場を盛り上げていただきました。