飯田アカデミア第90講座を開催しました(20200208)
2月8日に飯田市役所で開催しました
「歴史をめぐる新たな事実と新たな視点」をテーマにジャーナリストの渡辺延志氏を講師に迎え開催しました。
当日は、ジャーナリストの視点から見た歴史学の最新動向と、自身が発見・研究した史料についてお話いただきました。
- 開催日 2020年2月8日(土曜日)
- テーマ 歴史をめぐる新たな事実と新たな視点 ―ジャーナリストの視点で歴史を見直す―
- 講 師 渡辺 延志(わたなべ のぶゆき)さん(ジャーナリスト・元朝日新聞記者)
- 会 場 飯田市役所 C棟大会議室
講義概要
テーマ 歴史をめぐる新たな事実と新たな視点 ―ジャーナリストの視点で歴史を見直す―
第1講 日本人の歴史観はどう変化したのだろう
縄文時代像の変遷がテーマとなった。縄文時代はかつて、「進歩の無い停滞した」「遅れた」時代として理解されてきた。
1990年代以降、三内丸山遺跡の発見や科学的分析手法の発展により、その時代像は大きく変化した。
縄文時代は、「農耕を持たない停滞した遅れた文化」から「自然を有効に活用し農耕を必要としない」文化であり、弥生時代と比較して「劣っている」のではなく「異なっている」文化として理解すべきだと考えられるようになった点が紹介された。
そのような変化の背景には、冷戦の終焉やバブル経済の崩壊などを経て、発展や進歩を自明のものとはとらえられなくなった日本社会の価値観の転換が存在する点も指摘された。
戦前から日本を代表する貝塚として知られた加曽利貝塚が、近年その価値を再評価され国の特別史跡に指定されたことは、日本社会における縄文時代理解のパラダイムシフトを象徴するものであると説明された。
第2講 私たちは何を知っているのだろう
まず、日本が戦争へ進む大きなきっかけとなった日独伊三国同盟について、自身が新発見した史料に基づいてその締結過程に関して再検討を行った。実現可能性の乏しい内実の同盟が、密室交渉によって締結されてしまった実態が新史料に基づき明らかにされた。
次に、関東大震災の際に発生した朝鮮人虐殺事件について分析を行った。虐殺の担い手となったのは、国家によって民衆の警察として設けられた自警団であったことが指摘された。
自警団の組織的中核となったのは、在郷軍人会と青年団である。彼らが震災という非常時に殺人に踏み出した背景に、関東大震災の20年ほど前に朝鮮半島で起きた東学党の乱を見出した。
この乱に派兵した日本軍は、現地の農民を多数殺害している。関東大震災の際に朝鮮人殺害にかかわった人々は、東学党の乱の際に出征した世代である。
その時の経験が、震災時に虐殺行為を行わせる背景となったのではないかという推測が示された。
現在の国際状況も踏まえ、我々自身が、「記憶されなかった過去」をもう一度真摯に学ぶ必要性が伝えられた。
お問い合わせ
飯田市歴史研究所
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