ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
現在地 ホーム > 分類でさがす > くらしの情報 > 教育 > 生涯学習・講習 飯田アカデミア第100講座を開催しました(2024072223)

本文

飯田アカデミア第100講座を開催しました(2024072223)

ページID:0115958 更新日:2024年2月24日更新 印刷ページ表示

作新学院大学名誉教授 小林 千枝子さんに「人生百年時代の生き方を歴史に学ぶ」について講義していただきました

アカデミア第100講座会場写真(講師)アカデミア第100講座会場写真(質問)

  • 開催日 : 2023年7月22日(土曜日)・23日(日曜日)
  • テーマ  : 人生百年時代の生き方を歴史に学ぶ                                              
  • 講 師 : 小林 千枝子さん (作新学院大学名誉教授)
  • 会 場 : 飯田市役所 3階会議室

  

講義概要

 現代の高齢社会の諸相を踏まえた上で、1910・20年代の伊那自由大学、農民自治会運動における青年たちの活動をたどり、教育という観点からその意義について論じられました。

テーマ 人生百年時代の生き方を歴史に学ぶ 

第1講 「人生百年時代の「高齢者」の内実

 まず、人生百年時代という構想が、政策においても想定されるようになり、「大人」や「高齢者」として生きる時間が長くなりました。一方で、希望平均寿命の平均値はそれより低く、後期高齢者に対するイメージや、現代青年の将来展望・人生観に揺らぎが生じています。しかし、高齢者には退職後の仕事以外にも文化的活動を担い活躍することも可能です。エリクソンによる悲観的な「老年期」の位置づけが生涯発達心理学によって再検討されており、流動性知性と結晶性知性という二つのタイプの知能のうち、高齢者には後者が備わっていくという発達可能性についての展望が示されました。

第2講 「人は死ぬとどこへ行くのか

 講師の経験も踏まえつつ、一神教文化と多神教文化のステレオタイプの死生観が見直されました。例えば歌曲「千の風になって」の詩やそれが書かれた経緯にもそうした見方が見出されます。宗教史一般を振り返りながら、日本の宗教史において仏教がどのように定着したのかを追います。さらに、日本社会では柳田國男の述べた民間信仰が大きな位置を占め、先祖信仰や長子家督相続の下にある親族集団が宗教観に大きな影響を与えているとされました。

第3講 「歴史のなかの青年1 伊那自由大学をつくった青年たち

 まず1970年代以降の民衆史や教育史などの研究史が概観され、その上で、1910~20年代の社会において青年の活動が活発化したことや、長野県が青年会の自主化運動が活発な地域の一つであったことが論じられました。蚕糸業の繁栄という経済状況を背景としつつ、補習学校の自主化運動も起こる中で、自由教育の広がりを受けて伊那自由大学が設立されました。伊那自由大学やLYL運動の関連を追い、最後に「伊那自由大学千代村支部設立趣意書」が紹介され、そこに表現された農村事情や思想に触れられました。

第4講 「歴史のなかの青年2 岡山の農民自治会運動

 自由大学運動は、比較的富裕層の農村青年が村の知識人を育てることを趣旨としていました。それに対し、同じく自由教育の風潮の中でも生活教育の過程で成立した農民自治会は、知識の習得だけでなく農村文化活動の推進などを主な活動内容としました。日本教員組合啓明会の後続団体の一つである「森の家」を設立した大西伍一らが農民自治会を主導し、全国に広がりました。自主化運動も活発であった岡山県において、農民自治会運動は機関誌や講演会を通して相互に交流し、青年に生活を語り文学の形で自己表現することを促しました。

関連ファイル

アカデミア第100講座ポスター (その他のファイル/325KB)