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鼎切石の「切石七妙石」を紹介します ―切石地区の取り組み―

ページID:0089814 更新日:2022年1月14日更新 印刷ページ表示

飯田市鼎の切石地区には「切石七妙石(きりいししちみょうせき)」と呼ばれる石があります。地区名の由来となった切石をはじめ、それぞれに興味深い伝説が伝わっており、切石地区により説明板を設置する取り組みが行われています。その説明版をもとに紹介します。

切石七妙石

【切石】 (きりいし)

鋭い刃物で真っ二つに切断したかのような裂け目をもつ岩で、地名の元になっています。

切石

武蔵坊弁慶が、牛若丸(源義経)のお供をして切石を通りかかった時、大石が道を遮っていました。勇猛な弁慶は大いに怒り、顔を真赤にして太刀を振り上げ、一刀の下に両断しようとしました。まず試みに一太刀下しましたが、太刀先は軽く石を傷つけただけでした。続いて金剛力の腕前で、掛声もろ共切りつけたところ、大石は見事に両断されました。

この話は次の様にも伝えられています。

  • 義経が鎌倉に向かっている時、弁慶が薙刀で切ろうとしましたが切れず、義経が代わって見事に切りました。
  • 義経が平泉の藤原氏を頼って落ちていく時、弁慶が薙刀で切ろうとしましたが切れず、義経が代わって見事に切りました。
  • 源頼光の家来坂田金時が松川に沿って上って行く時、金時がまさかりで二つに割りました。

【蛙石(蟇石)】 (かえるいし・がまいし)

かえるいし

昔旅人が五輪原の辺から駒場へ行く途中、向こうから赤鬼がやって来ました。驚いた旅人は、引き返して立ち去りましたが、鬼は大きな口を開き、後を追って来ました。恐ろしさに逃げ足も縮んで歩けなくなった旅人は、道端の草むらに跳び込み、近くの黒い大きな石に抱きついて息をひそめました。追ってきた鬼は人影を見失い、あちこち探し求めてその黒い石の前に来ました。その石は赤鬼には大きな墓のように見えましたので、今度は赤鬼の方がびっくり仰天し、墓と睨めっこを始めました。旅人と違って墓は逃げも動きもしません。鬼は恐気ついて動けなくなり死んでしまいました。旅人は北方の森の方へ早足に逃げ、駒場で安堵の胸をなでおろしました。

次の様にも伝えられています。

  • 山婆の呪いを逃れて遥かな山の彼方へ旅立った男を待って、いつか石になり、それでもまだ男の帰りを信じる女の姿だと言われ、一名帰る石、または不帰石とも呼ばれて歌が残されています。
  • 「今は吾は死なむよ吾が背恋しくば早帰りませ命のある間に」

【駒石】 (こまいし)

こまいし

弁慶が道を塞ぐ大石を切りつける様子を、義経が駒に乗って見物していた石で、今でも蹄の跡が残っています。

この話は次の様にも伝えられています。

  • 昔、この地は対岸と争いが多く、捕らわれた男が処刑されるのを見て、馬に乗った女が驚き馬の手綱を引いたので、馬の蹄が火花を散らし石に食い込んだ跡とも言われています。

【太鼓石】 (たいこいし)

たいこいし

その傍を足で踏むと、今でも鼓の音が聞こえます。これは兄頼朝の勘気を被り、奥州へ落ちのびる義経主従がこの道を通った時に、静御前愛用の鼓を埋めた所と言われています。

次の様にも伝えられています。

  • 永寿丸がこの奥行人に住んでいた頃、守護神山の神の使いの白狐が、毎晩永寿丸を慰めるために打ち鳴らした鼓が埋められています。

【鬼石】 (おにいし)

おにいし

切石は昔から山の神(山婆)の信仰の厚い所で、各所に山の神が祭られています。昔、闇沢の奥の行人という所には、二十体ばかりの山婆像が安置され、山の神の祭には山婆迎えという行事が伝えられていました。鬼石はいつの頃からか、里人と交わりのあった山婆の化身と言われています。またこの奥の地獄谷に住んでいた鬼の化身とも言われています。夜上りの雨の朝方この石のどこかに鬼の面が浮かぶと言われています。

【蔦石】 (つたいし)

つたいし

昔、この辺りの大きな淵に大山椒魚が住んでいました。そこは若い男女の語らいの場所でもありました。ある時、山椒魚が男を淵に引き込み、蔦という女がその後を追いました。何百年経って松川の流れは変わり、淵の底から大きな石が現れました。これは山椒魚に変えられた男の姿だと言われています。秋になるとこの石に巻きついている蔦が紅葉して夕日に映えて美しく輝きます。

【大石】 (おおいし)

現存しておらず、いろいろの説があります。

  • 公会堂東裏、今は半分しかない古墳の一部の文福岩。
  • 大井川取入口にあった巨岩。
  • 大井川取入口の巨岩を指し示している「村界目当石」など。

見学について

  • 周辺には「切石七妙石」の他に、多くの石造文化財が残っています。
  • 切石七妙石・その他石造文化財は、個人の敷地内にありますので、マナーを守って見学してください。
  • ページ末尾のGoogleマップは、切石の位置です。
  • 他の七妙石は切石七妙石 地図 (PDFファイル/12.65MB)をご覧ください。

参考文献

  • 『郷土資料 切石記』 伊藤傳著
  • 『鼎町史』 鼎町史編纂委員会
  • 『切石区石造文化財30選アルバム』 切石公民館文化部

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