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第7回飯田市地域史研究集会 内容紹介

ページID:0020247 更新日:2009年9月1日更新 印刷ページ表示

第7回飯田市地域史研究集会

飯田・下伊那から戦争と地域を考える

 2009年度の地域史研究集会は、8月29日、30日の2日間開催されました。今回は「戦争」という問題に関連した特集を組み、多くの方に参加していただきました。ロビーでは戦時下の児童と女学生に関する史料を写真パネルにして展示し、会場内では松尾出身の写真家藤本四八氏の写真展示がありました。また、図書館を会場に「青年団資料にみる飯田・下伊那の太平洋戦争」をテーマにした資料展示を8月の間行うなど、戦後60年がたち戦争の記憶が薄れていくなかで、あらためて戦争について考える機会になったのではないでしょうか。

29日(土曜日) 特集 アジア・太平洋戦争にいたる道―霞ヶ関と飯田から―

 1日目の特集では、上山和雄顧問研究員の趣旨説明のあと、東京大学教授の加藤陽子さんから、戦争と平和をめぐる現在の状況、日本とドイツとの戦争に対する記憶の違い、国民の戦争責任などについての講演がなされました。1930年代の日本は植民地を十全に経営した大植民地帝国であり、軍隊の後には多くの日本人商人・移民がついていったのだという説明が印象的でした。神戸大学教授の須崎愼一さんからは、新聞・雑誌史料を多用した信州郷軍同志会についての詳細な講演があり、左翼的な雰囲気の強かった下伊那では、1928年の3・15弾圧事件以後、さまざまな方向へ運動が向かい、それらの変革志向が戦争へとつながっていった具体的様相をお話しいただきました。戦争体験者の仲田文之助さんからは、特攻に志願した経緯や戦前の教育のあり方などについて、多くの調査結果を駆使してご講演いただきました。会場の反応も熱のこもったものとなり、質疑応答の時間が短いのが残念でしたが、複眼的な視点から戦争について考える場になりました。

特集講演「歴史的に見た日中戦争の特殊性」 
特集講演「歴史的に見た日中戦争の特殊性」 加藤陽子さん

特集講演「昭和10年代の教育と人々の暮らし」

特集講演「昭和10年代の教育と人々の暮らし」 仲田文之助さん

30日(日曜日) 小特集 河野村長 胡桃澤盛について

 2日目の午前中は小特集を組み、戦時中に満州への分村移民を送り出した河野村の村長であった胡桃澤盛氏の生涯について、長男の胡桃澤健さん(豊丘村)と盛氏の日記の解読を進めている橋部進さん(飯田市)からご報告をいただきました。胡桃澤さんは盛氏の生涯と人物像をご自身の思いを込めて語られ、橋部さんは日記の記述を通して戦前の日本農村とそこにおける盛氏の葛藤の姿を紹介されました。質問も多く出され、会場からは早く日記を出版してほしいという声も聞かれました。

地域史研究の成果報告

 2日目の小特集の後は、地域史に関する研究成果の報告がなされました。美術博物館の槇村洋介学芸員より、満蒙開拓青少年義勇軍に参加し、戦後自然と人間とのかかわりを絵にし続けた仲村進についての報告、飯田西中学校3年生の皆さんによる職場体験の報告、多和田真理子調査研究員による近世座光寺における山手と川手の対立についての報告、本島和人調査研究員によるブラジル移民の名簿を詳細に検討した報告、池田研究員による武士の消滅に関する旗本近藤家の事例研究がありました。