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第8回飯田市地域史研究集会 内容紹介

ページID:0020233 更新日:2010年8月25日更新 印刷ページ表示

第8回飯田市地域史研究集会

城下町飯田の性格・シャルルヴィルとの国際的比較を考える

 今年度第8回を迎える地域史研究集会が、2010年8月21日(土曜日)・22日(日曜日)の2日間にわたり開催されました。本年度は「城下町飯田」をテーマに、飯田城下町の性格や同時期に成立した都市シャルルヴィルとの国際的比較について考える集会となりました。中世から近世へ移行する時期に新しく建設された各地の城下町の中でも、近代に至るまで独自の発展をたどった飯田は、個性的な伝統を持っています。今回の集会では、城下町飯田がはぐくんできた個性の一端を明らかにしたと同時に、友好都市であるシャルルヴィルの歴史的性格について研究交流ができたことは、大変意義深いことであったと思います。

8月21日(土曜日) シンポジウム 伝統都市を比較する―飯田とシャルルヴィル―

都市史研究センターとらっど3主催の円座
 都市史研究センターとらっど3主催の円座

シンポジウムコメント
 シンポジウムコメント

 1日目は、「都市史研究センターとらっど3」主催の円座「伝統都市の比較史」に参加のため、飯田市に滞在されていたフランソワ=ジョゼフ・ルッジウさん(パリ第4大学教授)と、吉田伸之研究部長が、16世紀末から17世紀初頭にかけて建設され、城塞施設を中心に発展した二つの都市、飯田とシャルルヴィルの成立過程とその特徴について講演しました。吉田部長は「城下町飯田の性格を考える」と題し、飯田が当初から藩の領域を超えた伊那郡全体の中核都市として機能した点を明らかにし、ルッジウさんはシャルルヴィルがフランス国王とは直接的な君臣関係にない諸侯によりつくられた移植の都市であることをテーマにした「君侯の都市」を講演されました。これらの報告を受けて、伊坪達郎さん(上郷小学校校長)とギヨーム・カレさん(フランス社会科学高等研究院准教授)より各報告の評価や意見についてコメントがなされました。

ミニコンサート・アートパフォーマンス

 1日目の休憩時に行われたミニコンサートでは、下條歌舞伎保存会の小池恒久さんと小池美津貴さんによる義太夫節が披露され、終日会場内に展示されたアートパフォーマンスでは、組子工芸師の塩沢正信さんによる組子細工の作品が紹介されました。

ミニコンサート 義太夫節
ミニコンサート 義太夫節

8月22日(日曜日) 小特集 飯田・上飯田―近世から現代へ―

 2日目午前中は、旧飯田町・上飯田町が近世から近代にかけてどのような相互関係のもとに歴史的に経緯したかを考える、二つの個別報告を行いました。多和田雅保調査研究員は、「上飯田村の『町貫(まちつなぎ)』についてというタイトルで報告し、近世の上飯田村と飯田町との関係を、上飯田村にかけられた町の共益費といわれる「町貫」から分析しました。田中雅孝調査研究員は、戦前の飯田町における商工業の特徴を、農村部との経済的関係や町の空間構造から位置づける「戦前期飯田町の商工自営業者層の構成」を報告しました。

研究報告会

 2日目小特集の後、飯田・下伊那地域に関するさまざまな時代・分野の地域史に関する報告が行われました。飯田高等学校図書委員会からは、生徒の目線から見た飯田高校110年の歴史、市立図書館の宮下裕司司書は、山村書院と山村正夫の軌跡から見た出版文化の源流、市民研究員の原英章さんからは、戦前平岡ダム工事にかかわった朝鮮人強制連行の実態、また、東京大学大学院の小島庸平さんからは、1930年代の恐慌期における座光寺村の在来金融と負債整理についてと、多岐にわたる報告が行われました。