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第12回飯田市地域史研究集会 内容紹介

ページID:0027814 更新日:2014年10月1日更新 印刷ページ表示

第12回飯田市地域史研究集会

 2014年8月23日(土曜日)・24日(日曜日)に、第12回飯田市地域史研究集会を開催しました。1日目の来場者数は約130名、2日目は約50名と、市内はもとより、市外や県外含めた皆さまにご参加いただきました。研究所設立以来10年間の蓄積を踏まえ、今後とも聞き取りによる口述資料を、地域にとって重要な遺産として保存し、活用していきたいと考えています。

 講演「『被爆者の声』、その力―「口述資料」と文書資料―」 報告「沖縄戦証言記録の学校教材化への取組み」
 (左)講演「『被爆者の声』、その力―「口述資料」と文書資料―」 岩手大学 今野日出晴氏
 (右)報告「沖縄戦証言記録の学校教材化への取組み―『創造』される歴史―」 沖縄県文化観光スポーツ部 久部良和子氏

特集 記憶と経験を語り継ぐこと―地域遺産としての「口述資料」―

 今回の地域史研究集会では「オーラルヒストリー」という方法に焦点をあてて、その成果である口述資料をいかにして後の世代に引き継ぐか、また引き受ける世代にとっての課題とは何か検討することを目的としました。

 基調講演として岩手大学の今野日出晴教授からは、長崎県の被爆者に取材を行ったジャーナリスト伊藤明彦氏の残した聞き取り資料群を素材に、口述資料の持つ個性について多面的に検討した成果についてご講演をいただきました。続いて沖縄県の久部良和子氏からは、沖縄戦をめぐる聞き取り、映像資料を基にして、教育の現場で教員や生徒がいかにして歴史を学んでゆくのか、その実践についての報告をいただきました。満州移民を考える会の齊藤俊江氏からは10年以上に及ぶ飯田・下伊那での聞き取り活動を総括し、現状と課題についてのお話をいただきました。地域との連携として、飯田女子短期大学で福祉を学ぶ学生3名から、授業の中で行った聞き取りを通じて、自分たちがクラス討論をもとにどのように考えたかを発表してもらいました。最後に、飯田市歴史研究所の安岡健一研究員が、飯田市歴史研究所における口述資料の現状と今後のオーラルヒストリー調査の課題と展望を述べ、共同研究への参加を呼びかけました。
 これらの講演・報告に基づいて、信州大学人文学部の大串潤児准教授の司会により、パネルディスカッションを行い、その後、会場とのあいだで活発な議論を行いました。

 一連の特集に併せて、会場の廊下では「『聞き書き』を聞き取る」と題したパネル展示を行いました。本島和人調査研究員の研究に基づき、県内各地の12に及ぶ聞き取りの取り組みが紹介され、その多様性が視覚的に示されました。

 2日目には3本の報告と資料紹介を行いました。平成8年に「農村記録写真の村宣言」をした阿智村の林茂伸氏が、日本を代表する農村写真のコレクションである、同村所有の熊谷元一写真の保存と活用について報告されました。また飯田市歴史研究所の千葉拓真研究員からは、明治時代に行われた江戸時代に関する聞き取りの事例を紹介し、伊坪達郎調査研究員からは、飯田・下伊那地域における共有文書の保存の実態について報告しました。最後に、森本昭夫氏所蔵の映像資料として三六災害時の飯田線界隈の動画を紹介しました。映像もまた、地域の姿を伝える貴重な資料であり、今後の保存に向けた取り組みが必要です。以上2日間の成果は今後の原稿執筆と編集を経て、来年発行する年報に掲載される予定です。

 パネルディスカッションの様子 パネル展示
 (左)パネルディスカッションの様子
 (右)パネル展示の様子