第17回飯田市地域史研究集会を開催しました(飯田市歴史研究所)
第17回飯田市地域史研究集会を開催しました。
9月7日、8日にかけて飯田市役所で開催し、市外や県外からの参加者を含め約160名の方にお越しいただきました。
テーマ : 飯田・下伊那の蚕糸業と地域社会
飯田・下伊那を経済的に支えた蚕糸業の歴史について、地域社会とのかかわりに着目しながら考えました。
1日目は、近現代における蚕糸業の歴史を題材にした2本の講演と1本の報告を行いました。
2日目は、蚕糸業にまつわる文化や遺産を未来へ継承する試みに関する2本の報告を行いました。
あわせて、飯田市歴史研究所で現在行われている研究活動を紹介する報告も2本実施しました。
■9月7日(1日目)
開会行事・歴研賞授与式
本年度は大日方悦夫氏、中平区誌編纂委員会、細谷亨氏、速渡賀大氏が歴研賞を受賞しました。
講演1「日本蚕糸業の地域類型―長野と群馬の組合製糸を中心に―」 石井寛治氏(東大名誉教授)
蚕糸業史研究の第一人者である石井寛治氏による講演が行われました。日本を代表する蚕糸業地域であった長野県と群馬県を事例に、組合製糸発展の歴史が説明されました。
講演2「下伊那の蚕糸業と地域構造」 田中雅孝調査研究員(歴史研究所)
明治から昭和期までの下伊那における蚕糸業の展開について、地域構造との関係や日本資本主義の歴史との関わりから講演を行いました。
報告1「天龍社の盛衰と蚕業技術員の機能」 太田仙一研究員(歴史研究所)
飯田・下伊那最大の組合製糸であった天龍社の蚕業技術員に関する研究報告を行いました。
各報告に対する質疑応答、全体討論
講演者・報告者が参加し、蚕糸業史研究の今後の展望について議論が行われました。
*午後には芸術鑑賞として、飯田市立緑ヶ丘中学校合唱部による合唱が行われました。
■9月8日(2日目)
報告1「飼うから始めるお蚕様プロジェクト」 大石真紀子氏(阿智村役場)
阿智村が全村博物館構想の一環として取り組んだ「お蚕さまプロジェクト」及び「聞き書きプロジェクト」について報告しました。
報告2「蚕種の保存に使われた天然の冷蔵庫・風穴」 片桐一樹氏(伊那谷自然友の会)
風穴山・風越山などに現在ものこる風穴とそのメカニズム、またかつて蚕種の保存に用いられた点について報告を行いました。
報告3「建物原簿史料からみた大正期の飯田町」 福村任生研究員(歴史研究所)
歴史研究所が所蔵している「建物原簿」という史料を紹介し、戦前の飯田の街並みを考察しました。
報告4「戦地からの1014通の手紙~川路村の教師に届いた軍事郵便~」 上河内陽子氏(市民研究員)
川路地区から発見された、アジア・太平洋戦争期に出征した兵士たちが故郷に送った軍事郵便を素材とする報告を行いました。