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『飯田市歴史研究所年報20』を刊行しました
飯田市歴史研究所年報20(Annual Bulletin of The Iida City Institute of Historical Research)
特集「暮らしのなかの景観―その歴史と継承」は、昨年度の飯田市地域史研究集会の成果をまとめたものです。
研究集会では、ヨーロッパやアジアの歴史を建築史の立場から研究されてきた陣内秀信氏(法政大学)や大田省一
氏(京都工芸繊維大学)などをお招きし、豊かな自然環境と人びとの暮らしの中で形成されてきた、飯田下伊那の景
観の歴史や意義、さらには将来への継承について、グローバルな視点と地域の視点から考えました。その講演や報
告を文章化した7本の論考が掲載されています。
また、小特集「下伊那の宗教文化ネットワーク―松下千代と松尾多勢子を中心に―」は、江戸時代後期~明治維
新期に活躍した松下千代と松尾多勢子を対象に、飯田下伊那地域の宗教・思想・文化の特質や、その中での女性
の位置などについて議論した、昨年末のワークショップの成果です。アン・ウォルソール氏(カリフォルニア大学アー
バイン校名誉教授)や宮崎ふみ子氏(恵泉女学園大学名誉教授)の論考、コメントなどが掲載されています。
そのほか、17世紀の清内路村を素材とした研究ノート、本島和人氏の著書『満洲移民・青少年義勇軍の研究』(吉
川弘文館、2021年)の書評、調査報告など、地域史研究の最新の成果をお楽しみください。
飯田市歴史研究所年報20
飯田市歴史研究所編/飯田市教育委員会発行
2022年、248頁、B5判、定価2,100円
内容
特集 「暮らしのなかの景観 ―その歴史と継承」
- 問題提起 ―《日常の景観》の再評価と再発見をめざして (福村任生)
第一部 景観の歴史と文化 ―国際比較の視点から
- テリトーリオの営みが生んだ景観 ―その再評価と継承の方法― (陣内秀信)
- アジアの「景」が生まれるとき (大田省一)
- コメント 絵図からみた暮らしの景観 (吉田ゆり子)
第二部 魅力ある景観をのこす・つたえる
- 近世座光寺村の社会と空間 ―庄屋善右衛門家を中心に― (羽田真也)
- 東京・葛飾柴又の文化的景観 ―調査の方法と課題― (中尾俊介)
- 宮田宿の歴史的景観と保全の取り組み (小池勝典)
- 古民家を地域にひらく (宮井啓江)
小特集 下伊那の宗教文化ネットワーク ―松下千代と松尾多勢子を中心に―
- 趣旨説明 小特集「下伊那の宗教文化ネットワーク ―松下千代と松尾多勢子を中心に―」に寄せて
- 松尾多勢子のネットワーク ―歌会・平田国学・政治活動― (アン・ウォルソール/訳 竹ノ内雅人)
- 不二道の信者ネットワークと松下千代 (宮崎ふみ子)
- コメント 下伊那発 これからの平田国学・不二道研究の可能性 (竹村雄次)
- コメント 宗教者としての松下千代 (粟谷真寿美)
- 参加記 市村咸人の仕事から先へ (三ツ松誠)
- 展示評 飯田市美術博物館トピック展示
- 「伊那谷の富士信仰と旅 ―不二道信者松下千代と仲間たち―」 (前澤健)
研究ノート
- 17世紀清内路村における年貢負担の推移 (坂本広徳)
書評
- 本島和人著『満洲移民・青少年義勇軍の研究 長野県下の国策遂行』を読み、学びながら考えたこと (上條宏之)
史料で読む飯田・下伊那の歴史(13)
- 黒田忠一の回想する「黒田騒動」 ―「黒田忠一翁聞書」より― (太田仙一)
調査報告
- 駒場上町の町屋建築 (福村任生)
- 明治期・下清内路の地籍復元 (中尾俊介・岩田会津)
- 金子勇文書 (太田仙一)
新刊紹介
歴史研究所新刊紹介
歴史研究所2021年度の記録 ほか
問い合わせ
飯田市歴史研究所
電話0265‐53‐4670
年報1~19号については詳細ページがありますので、下記のリンクよりご覧ください。