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飯田版ZEH仕様

ページID:0123566 更新日:2024年10月15日更新 印刷ページ表示

飯田版ZEH仕様について

 飯田版ZEH仕様は、国の基準では評価の対象となっていない地域の特色について、それぞれの効果をCO2(二酸化炭素)削減量として換算して評価します。

 CO2(二酸化炭素)削減量をエネルギーに換算しなおして、一次エネルギー消費量の削減することにより、実質ゼロ・エネルギーを満たすものです。

基 準

1. 基本性能の「UA値0.6以下」、「基準一次エネルギー消費量から20%以上の一次エネルギー消費量削減」を満たす。

2. 地域の特色として「(1)飯田・下伊那産材を建築木材の全体数量の10%以上使用する」、「(2)市内設計事務所での設計、または、市内工務店・建設会社で施工を行う」、「(3)その他の地域の特色の項目を1つ以上採用する」を満たす。

3. CO2削減量換算シートによる設計一次エネルギー削減量が基準一次エネルギー削減量を上回る。

 

<飯田版ZEH仕様>  (飯田版ZEH仕様のイメージ)

飯田版ZEH仕様

 

各項目について

1. 基本性能

 UA値0.6以下 とする

 UA値とは、「外皮平均熱貫流率」のことです。これは住宅の内部から屋根、天井、外壁、床、開口部などを通過して外部へ逃げる熱量を外皮全体で平均した値になり、熱損失の合計を外皮面積の合計で除した値です。熱の逃げやすさを表し、値が小さいほど熱が逃げにくく、省エネ性が高くなります。

 平成28年の基準では、全国を8つの地域に分けており、当地域は5地域に分類されています。地域区分における当地域の基準UA値は0.87となっています。UA値は、住宅の断熱性能を高めることなどにより値が低くなります。飯田版ZEH仕様の基準では、基準UA値を0.6以下とします。

 

UA値算出方法

 再生可能エネルギーを除き、基準一次エネルギー消費量から20%以上の一次エネルギー消費量を削減する

 

 「一次エネルギー」とは、化石燃料、原子力燃料、水力・太陽光など自然から得られるエネルギーのことです。また、これらを変換・加工して得られるエネルギー(電気、灯油、都市ガス等)を「二次エネルギー」といいます。

 建築物では二次エネルギーが多く使用されており、それぞれ異なる計量単位(kWh、ℓ、MJ等)が使用されています。それを一次エネルギー消費量へ換算することにより、建築物の総エネルギー消費量を同じ単位(MJ、GJ)で求めることができるようになります。

 住宅で使用する冷暖房機器、給湯機器、照明等を高効率の機器を導入することにより、基準一次エネルギー消費量から一次エネルギー消費量の削減が図られます。

 飯田版ZEH仕様の基準は、基準一次エネルギー消費量から20%以上の一次エネルギー消費量削減(再生可能エネルギーを除く)を行うこととしています。

 

一次エネルギーと二次エネルギーとは

 

2. 地域の特色

(1)飯田、下伊那産材(地域産材)を活用
 〇 建築に使用する木材の全体数量の10%以上を飯田・下伊那産材の木材を使用する。

 長野県は、急峻な山々に囲まれ、自然豊かな場所です。中でも飯田市は、市域の84.4%を森林が占め、県内19市中、大町市に次ぎ2番目の森林面積を有し、古くから林業が盛んな地域です。

 当地域で育った木材を使用することは、当地域の森林・里山を保全し、治山、治水につながります。また、遠くから木材を運んでくる必要がないため、輸送にかかるCO2(二酸化炭素)の削減にもつながります。

 この他にも、地域産材を使用することにより地域への経済波及効果と雇用の増加効果や住宅の内装材に木材を使用することによる熟睡時間や作業効率の向上、調湿、消臭、抗菌効果などの住み心地の向上が期待されます。

 

(2)市内設計事務所での設計、または、市内工務店・建設会社等で施工を行う
〇 飯田市内に本社または本店を置く設計事務所で住宅の設計を行う。

 飯田市内の設計事務所で設計を行うことにより、地域への経済波及効果と雇用の増加効果が期待されます。また、地域内の人材育成・循環が図られます。

 この他にも、設計事務所と建築現場が近いため、移動に係るCO2(二酸化炭素)の削減につながります。

 

〇 飯田市内に本社または本店を置く工務店・建設会社等で住宅の建設を行う。

 飯田市内の工務店等で施工することにより、地域への経済波及効果と雇用の増加効果が期待されます。また、地域内の人材育成・循環が図られ、地域で育まれてきた伝統技能の継承にもつながります。 この他にも、工務店等と建築現場が近いため、移動に係るCO2(二酸化炭素)の削減につながります。

 

(3)その他の地域の特色の項目を1つ以上採用する
〇 地域の建築材料の使用 

・飯田市内で製造または採取された建築材料を使用する。

 当地域には、環境に配慮した建材や昔から活用されてきた素材や技術があります。これらを活用することにより、地域への経済波及効果や雇用の増加効果が期待されます。また、地域内の人材育成・循環が図られ、地域で育まれてきた伝統技能の継承にもつながります。

  (例)ひさかた和紙、柿渋の使用等

  地域の建築材料の例 (PDF)

 

     〇 南面に日射を有効に遮る庇(ひさし)の設置

  ・南に面する(±22.5°)開口部の下端から庇下端までの高さの0.3倍以上の出幅の庇(ひさし)を設置する。

 南面に既定の庇(ひさし)を設けることにより、直射日光を遮り、室内の温度上昇を抑える効果が期待されます。これにより冷房使用時間の減少が見込まれ、エネルギー及びCO2(二酸化炭素)の削減につながります。

  〇 日射遮蔽手法の活用
 ・庇(ひさし)以外で南面開口部に日射遮蔽の手法を用いる。

 庇(ひさし)と同様に、直射日光を遮り、室内の温度上昇を抑える効果が期待されます。これにより冷房使用時間の減少が見込まれ、エネルギー及びCO2(二酸化炭素)の削減につながります。

(例)植栽・シェード・オーニングなど

 

  〇 居室における通風経路の確保 
 ・方位の異なる外部に面した開口部(窓など)の各開放可能面積が床面積の一定割合以上となっており、通風が確保されているもの。

 風の通り道を確保することにより、冷房設備などの使用を抑える効果が期待されます。これにより冷房使用時間の減少が見込まれ、エネルギー及びCO2(二酸化炭素)の削減につながります。

 通風経路の確保(概略図)

 

  〇 雨水タンクの導入
  ・雨水タンクの容量が100ℓ以上のものを設置する。

 屋根に降った雨水を貯留槽に貯めて雨水を活用することにより、雨水という天然資源を活用し省エネにつながります。

 

  〇 もりのエネルギー活用機器の導入
  ・ペレットストーブ、ペレットボイラー、薪ストーブ、薪ボイラー、竹ボイラーのいずれかを導入する。

 飯田市は森林資源が豊かな市です。その森林を構成する個々の樹木等は、光合成によってCO2(二酸化炭素)の吸収・固定を行っています。森林から得られる木材をエネルギーとして燃やすとCO2(二酸化炭素)が発生しますが、このCO2(二酸化炭素)は樹木の伐採後に新たな森林に生まれ変わる過程で、再び樹木に吸収されます。

 この地域の豊かな森林資源を木質バイオマスエネルギーとして活用することで、CO2(二酸化炭素)の排出の抑制が可能となり、地球温暖化防止に貢献します。

 また、薪ストーブ、ペレットストーブは、遠赤外線による輻射熱(ふくしゃねつ)によって、壁、床、天井などに熱を伝え、その熱が放出することで部屋を暖めます。こうした機器は、環境に良いだけでなく、炎のゆらぎで癒し効果など、日々の生活に心のゆとりとぜいたくな時間をもたらしてくれます。

 

 〇 おひさまのエネルギー活用機器の導入
 ・太陽光発電設備(系統連系したもの)、蓄電システム(系統連系した太陽光発電設備と接続したもの)、太陽熱温水器のいずれかを導入する。

 飯田市は、日照時間が年間2,000時間を超え、内陸性の気候で年間を通じて晴れた日が多く、日射量が非常に多い地域です。そのため、再生可能エネルギーである「おひさまのエネルギー」を利用した、太陽光発電や、太陽熱利用に恵まれた地域です。

 太陽光発電設備は、再生可能エネルギーを創出します。さらに、蓄電池と組み合わせることで、発電ができない夜間などにも再生可能エネルギーで発電された電気を活用でき、家計にも優しくなります。

 太陽熱温水器は、エネルギー効率が高く、省スペースで設置できるなどの利点があります。

 また、太陽光発電設備や太陽熱温水器を導入することで、化石燃料に代わるエネルギーとして使用することで、CO2(二酸化炭素)の排出の抑制が可能となり、地球温暖化防止に貢献します。

 

 〇 エネルギーの見える化設備の導入
  ・HEMSを導入する。

 HEMSとは、Home Energy Management System(家庭のエネルギー管理システム)の略です。家電機器や給湯機器をネットワーク化し、エネルギーの「見える化」をするとともに、制御する機能を持つシステムです。これにより、エネルギー使用の無駄をなくし、賢く使う、家庭の省エネ促進ツールとして期待されています。

 エネルギーの「見える化」の機能として、機器ごとのエネルギー消費量などをパソコン、テレビ、スマートフォンなどの画面に表示をするほか、使用状況に応じた省エネアドバイスを行うなどの機能を持つものもあります。

 エネルギーの制御機能には、遠隔地から機器のオンオフの制御や、温度や時間などの自動制御があります。

 2012年に政府は、グリーン政策大綱において、2030年までにHEMSを全世帯へ普及させることを目標に掲げています。

 このように、使用しているエネルギーを「見える化」することにより、省エネすべきポイント(エネルギーの無駄)が明確になり、効果的な対策が行えるようになります。また、日常的に使用量やコストが目に入るようになるので、省エネ意識の向上と継続的に持ち続けることにつながります。

 

3. CO2削減量換算シート

CO2削減量換算シートによる設計一次エネルギー削減量が基準一次エネルギー削減量を上回ること

 以下のExcelのCO2削減量換算シートの必要項目に入力した判定結果が「OK」となった場合は、基準を満たしています。

 

 飯田版ZEH CO2削減量換算シート(Excel)      飯田版ZEH仕様の算定例(図)

 

 

 

<用語説明・参考及び出展資料>

ZEH(ゼッチ)とは

 ZEH(ネット・ゼロ・エネルギーハウス)とは、「外皮の断熱性能等を大幅に向上させるとともに、高効率な設備システムの導入により、室内環境の質を維持しつつ大幅な省エネルギーを実現した上で、再生可能エネルギーを導入することにより、年間の一次エネルギー消費量の収支がゼロとすることを目指した住宅」のことです。

 簡単にいうと「省エネ住宅」のことで、高断熱でエネルギーをできるだけ必要とせず、暖房や冷房、照明、給湯などの設備が高性能でエネルギーを上手に使い、太陽光発電等でエネルギーを創り出すことにより、使うエネルギーと創るエネルギーが同じ状態の住宅です。

 国のエネルギー基本計画(平成30年7月閣議決定)で、「2030年までに新築住宅の平均でZEHの実現を目指す。」としています。

ZEH                                

出典: 国土交通省HPより

 

参考及び出典資料

「快適・安心な住まい なるほど省エネ住宅」(外部リンク) (一社)住宅生産団体連合会

「住宅・建築物の省エネルギー基準」(外部リンク) 国土交通省住宅局

「省エネ住宅」と「健康」の関係をご存じですか?(外部リンク) (一社)日本サスティナブル建築協会

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