わがまちの“憲法”を考える市民会議記録 第14回
わがまちの“憲法”を考える市民会議記録
会議内容
第14回市民会議記録
日時 平成17年3月7日(月曜日) 午後6時30分から午後7時30分
場所 飯田市役所保健センター3階会議室
出席者 飯田市議会議長、副議長、市民会議委員18人(6人欠席)、事務局6人 合計26人
会議の内容
まず初めに、12月28日の「最終答申書」提出以降の経過について、中島議会議案検討委員長から報告がありました。
条文案の作成に向けた市長部局との調整の中で、法制担当職員(例規担当専門主査)の兼務辞令が発令されたこと。議員全員による「自治基本条例」についての勉強会を開催して、議会としての考え方をまとめたこと。
また、当初から平成17年3月議会での条例制定を目指してきたが、1)自治基本条例の条文案の作成には、条例準則がないため相当な時間を有すること。2)市民が主体の自治の原則を定める条例であることから、十分な市民周知と意見集約が必要であり、これにも相当な時間が必要となること、から物理的に困難であるとの判断をしたこと。
さらに、平成17年3月議会での条例制定は断念したが、市民会議の努力に報いるためにも、「自治基本条例」の制定に向けた取り組みを継続すべきとの考えから、全員協議会の場において、4月に改選があり「議会の同一性」の考え方から次の議会へ具体的な内容は引き継ぐことはできないとしても、「飯田市自治基本条例」の必要性を十分認識した上で、条例を制定していくことが必要であるとの提案を行い、議長から「市民会議の成果を尊重し、議員各位がそれぞれの立場で市民の負託に応えなければならない。」とする議長意見が示され、全会一致で了承した。との報告がありました。
続いて、議会側がまとめた「自治基本条例の基本的な考え方」及び「議会の骨子」についての説明がありました。
「自治基本条例の基本的な考え方」・・市民会議の最終答申書を基に「議会として自治基本条例にどのような内容を盛り込んでいきたいのか」の考え方をまとめたもの。
「議会の骨子」・・最終答申書の骨子に、議会における勉強会や検討会の意見を反映させたもの。
委員から、「答申の段階では、まとめられない部分や補足的な部分、少数意見などの残された課題があったと思うが、その課題の検討が議会側ではどのように為されたのか。」との質問があり、「残された課題も含めて全議員で検討させていただき、その意見等を反映させ、議会側の意思を表す形としてまとめた。今後は市長部局、市民からの意見もお聞きしながら、さらに実のあるものとしていきたい。」との説明がありました。またこれらの資料は今後、市長部局との調整のための資料として、市長に提出する予定であるとの説明もありました。
今回は「わがまちの“憲法”を考える市民会議」として最後の市民会議となることから、出席した委員一人ひとりから「市民会議に参加しての感想や要望」を発表していただきました。
(伊原委員)
はっきり言ってここらが限度だったと思う。これ以上延ばしたとしても今までどおりの参加はできなかった。これ以上のレベルを求められても難しい。みんなで考えてみんなで改善していくという結論は、もっともな結論だと思う。
(岡島委員)
新議会へつなげていくと言うことを申し合わせたことは評価する。是非とも継続していって欲しい。市民合意を進めるに当たっては過程の中で市民の意見を聴くことがよいと思っていたが、限られた時間の中で議会側で行うということになり任せた形になった。1月以降、市民に対するPrが少なくなったが、次へのステップのためにも市民周知・市民合意が必要だ。
(北沢委員)
10ヶ月で30数回の会議は良くやったという感じがするが、議論は十分でなかったという思いがある。頑張ったという気持ちともう少しやれば良かったという気持ちがある。個人的には自治や市民参加についての意識が深まった。これからも何らかの形で関わりたいと思うし、今までとは違う感度でものを見ていきたいと思う。新しい議会で更に高い完成度のものができることを期待する。
(久保田委員)
短期間に努力した成果だと思う。楽しくやれたし、特に分科会では活発に意見が出て良かった。その分物足りなさも感じるし、もう少しやりたいという気持ちもある。中身のことは議会がやるということだったが、常々若者が地方行政に関心を持てるようになればよいと思っていたので、もう少しその当たりを上手く提案できたら良かった。みんなが協力してできたことは良かったと思う。
(福島委員)
答申としての形を整えられたことは大変だったと思う。基本的に時間が少なすぎたため、突っ込みが足りなかった。会議運営の申し合わせをしたが、もう少しお互いの意見を交わす過程を大事にしてもらいたかった。市民憲章との整合性がまとめられなかった。市の社会的な位置付けや定義が、市民の間で意識できるようになるとよい。市民の定義も幅広い考え方ができるため位置付けが大事であり、合併なども踏まえて立場を明確にして欲しい。今後は市民の十分なコンセンサスを取ってもらいたい。
(山口委員)
積極的な提案ができなかった。飯田市の自治や他の自治体の取り組みが勉強できて良かった。分科会では多くのことを考えさせてもらった。自分とは遠い存在と思っていた地方自治について勉強させてもらうことができて本当に良かった。
(長谷部委員)
ゼロからのスタートにしては良くできたと思う。制定まで漕ぎつけられなかったことで力量不足は認識している。自治について構造的に捉える勉強ができた。行政は規範と組織と政策からなると考えるが、そのうち規範を勉強させてもらったと思っている。これに組織がついてこないと条例を作っても何にもならない。政策を考える時もトップダウン型とボトムアップ型のぶつかり合い、その兼ね合いで自治をどう育てていくかが大事になる。
(横前委員)
会議に出席することが苦痛だった。最後までどういう立場で参加しているのか悩んだ。分科会は楽しく参加できたが、途中から行政職員としての意見を求められるようになったが、何も調整してない状況なので発言できなかった。自分の中では不完全燃焼の感がある。この会議で学んだノウハウを今後の職務に活かしていきたい。
(澤柳委員)
住民に一番身近なところで仕事をしていることもあり、地域自治組織の検討とセットで進められたら良いと思っていた。議会だよりの臨時号以降、情報提供がぱったりと途絶えてしまい、市民や職員への浸透が浅くなってしまったことは大変残念だった。シンポジウムや討論会を開催して十分な市民周知を図ってもらいたい。
(中島委員)
議会が取り組む初めてのケースであり、どう進めたらよいのか分からないままに走ってきた。委員の皆さんのご努力により最終答申書が出され、今日このような形でまとめることができた。こうした積み重ねが自治基本条例の目指す本来の精神ではないかと思う。新しい議会でもしっかりと時間をかけて、飯田市の自治の基本となる条例が出きることを願う。委員各位のご努力に改めて感謝申し上げる。
このような各委員からの発表をまとめる形で高坂座長から、「所期の目的が達成できなかったことは残念だった。委員同士の会話が少なかったことは事実だが、私には3月議会での条例制定が至上命令だった。一委員だったらいろいろと自由に発言もできたと思う。とりまとめ役としての役割の難しさを痛感した。昨年の3月から5月は飯田市も激動の時期で、その中でスタートした市民会議だった。行政と議会がしっかりと連携を取ってから市民を巻き込んで欲しかった。厳しい状況の中でよくやったと思う。人生では達成されないケースの方が多いので、「初志貫徹」よりも「初心忘るべからず」でよいのではないかと思う。条例制定という切り口から自治の問題に手をつけた点はひとつのプラス面であったと思う。議会が1年前に委員会をスタートさせて、分権時代に向けた努力をしてきたことは評価できる。そうしたことからも議会が市民会議に気を遣う必要はない。結論が出なかったということもひとつの結論である。文書は残るので活かしてもらえればよいが、それに拘束されることはない。審議会の在り方を考えた時、主眼の目的化が起きてしまって十分な議論を尽くせない例が多い。市民会議は市民の意見を聴くことがひとつの目的だが、多くの市民の意見は聞けない。ではなにをするのかといった本質論ができなかった。」との集約がありました。
最後に岩崎議長から、「5月20日に委嘱状を交付してから今日まで本当にご努力をいただき感謝申し上げる。最終答申書の骨子を基に全議員で検討し、市長部局へも今後の協力を要請して、法制担当職員の兼務発令も実現した。市民周知や条文作成に相当な時間がかかるため物理的に困難であると言うことで平成17年3月議会での条例制定は断念したが、この取り組みを次の議会へ引き継いでいくよう2月24日の全員協議会で議長意見を示して全会一致で了承されている。条例制定に向けて新議会で再び立ち上げて、市民会議の皆さんのご努力を十分尊重して進めていただけるものと確信している。改めて市民会議の皆さんのご努力に感謝を申し上げる。」との言葉がありました。
これを持って、「飯田市自治基本条例」の制定を目指して昨年5月20日にスタートした「わがまちの“憲法”を考える市民会議」の活動は終了することとなりました。
委員の皆さん、本当にありがとうございました。