菩薩面
菩薩面(ぼさつめん) 1面
区 分:飯田市有形文化財(平成18年10月18日 飯田市指定)
所在地:飯田市追手町2丁目655-7 飯田市美術博物館
所有者:松尾 鳩ヶ嶺八幡宮
時 代:室町時代
規模等:縦25.5cm×横18.0cm 木製
概 要:
面長で目鼻口の各部位は小ぶりにあらわされ、穏和な印象の菩薩面です。髻(もとどり ※1)はなく、宝冠台の正面には別材の宝冠をつけたのか、穴があります。髪の毛は線条の刻みを持ち、彫り口は平面的で省略化されています。伏せ気味の細い目で精気を欠いた顔つきですが、中世に遡る仏教行事の資料として重要です。
本面は明治の廃仏毀釈(はいぶつきしゃく ※2)まで鳩ヶ嶺八幡宮に付属した神宮寺(※3)において、来迎会(らいごうえ ※4)などの行道面(ぎょうどうめん ※5)として使用された可能性があり、中世に遡る古面として、仏教行事を伝える遺物として貴重です。
※1 髻:髪を頭上で束ねたものです。
※2 廃仏毀釈:明治初年(1868)の神仏分離令そのものは仏教施設の破壊を指示するものではありませんが、各地で仏教施設の破壊が横行しました。
※3 神宮寺:神社に付属して建てられた寺院をいいます。明治以前は神道と仏教が融合した状態で、神社で読経が行われたりしていました。喬木村阿島安養寺の毘沙門堂は、鳩ヶ嶺八幡宮の神宮寺の護摩堂を移築したものです。
※4 来迎会:亡くなる際に仏が迎えに来て極楽浄土に導く様を儀式化した仏教儀式です。
※5 行道:仏教の儀式で、堂や仏像の周りを右回りで回ること、僧侶が読経しながら練り歩くことをいいます。
見 学
参考文献
『神々の訪れ 天竜川流域の芸能の面』 飯田市美術博物館 1996