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ギフチョウ

印刷用ページを表示する 掲載日:2016年6月1日更新

ギフチョウ(卵・幼虫・さなぎ・成虫)(ぎふちょう たまご・ようちゅう・さなぎ・せいちゅう) 1種

区 分:飯田市天然記念物(平成元年1月31日指定)

所在地:飯田市全域

ぎふちょう

概 要:

ギフチョウは、羽を広げた大きさが5~6cmの小型の蝶で、アゲハチョウ科に属します。日本の固有種(※1)であり、本州のみに分布しており、春、桜の花が咲くころの短い期間にのみ現れることから、「春の女神」とも呼ばれています。

羽は黒と黄色の縞模様で、後の羽に橙(だいだい)色(オレンジ)、青色と赤色の模様が入ります。

市内全域に生息すると考えられていますが、特に竜丘地区から川路地区にかけての段丘崖の里山(※2)に多くみられます。

※1 固有種:その国やその地域にしか生息しない動植物です。

※2 里山:人の集落に近い場所で人間の影響を受けた環境の山をいいますが、特に、たきぎに使われたアベマキやナラなどからなる雑木林のことをいうケースが多いようです。雑木林は生き物の種類が豊富なことで知られていますが、人間が管理しないとよい環境を保つことができません。

ぎふちょう

春先、晴れた日にギフチョウをみることができます。朝のうちは地面で羽を広げ、日光を浴びて体を温めている姿をみることがあります。午前9時ころから午後2時ころまでよく活動します。

蝶道(ちょうどう)といって、多くのギフチョウが決まったルートを通ることや、山頂や尾根に集まることが知られています。サクラ・ツツジ・カタクリ・スミレなどの花の蜜を吸います。

たまご

幼虫は、ヒメカンアオイ(写真)、ウスバサイシン等の植物を食べて成長します。これらの植物は天竜川沿岸の里山に多くみられます。天竜川右岸(竜西:竜丘・川路地区周辺)にはヒメカンアオイが多くみられ、天竜川左岸(竜東)にはウスバサイシンが多くみられます。

生きた化石

メスは交尾後に受胎嚢(じゅたいのう ※3)が形成されるなど、ギフチョウはアゲハチョウの原始的な特徴を備えており、氷河時代(※4)からの生き残りと考えられています。

※3 受胎嚢:交尾の後にオスに付けられた液が板状になり、他のオスと交尾できなくなります。

※4 氷河期:気候が寒冷になり、南極や北極や高山以外でも氷河が発達した時代です。

ギフチョウの一生

産み付けられた卵が無事成虫になれる割合は、2~4%といわれています。アリやクモ、ダニなどが天敵といわれています。

成 虫

年に一度だけ、春に桜の開花に先立ち羽化(うか ※5)します。市内では3月下旬から5月上旬までの一月間姿を見ることができます。

オスはメスより1週間くらい早く羽化します。交尾はメスの羽化直後に行われることが多く、その間はほとんど飛ばずに落ち葉や草木の上にいます。

※5 羽化:昆虫のさなぎが成虫になることをいいます。

卵は木漏れ日があたる雑木林のヒメカンアオイ等に産み付けられます。直径は約1mmと小さく、真珠(しんじゅ)のような輝きをしています。約2週間で孵化(ふか ※6)します。

※6 孵化:動物の卵が孵(かえ)ることをいいます。

幼 虫

幼虫は黒色で、4cm弱の大きさに成長します。40~45日でさなぎになります。

さなぎ

茶色が混ざった黒色をしたやや硬い殻(から)で覆われます。6月上旬ころ、落ち葉の中や石の下、倒木や木の幹などでさなぎになると、そのままの状態で約10ヵ月を過ごして羽化を待ちます。

ギフチョウの分布

ギフチョウは本州だけに分布し、日本海側では秋田県、太平洋側では東京都から西に分布しています。

飯田市内では、三穂・川路・竜丘・伊賀良・鼎・松尾・千代・龍江・上久堅地区で生息が確認されており、特に、飯田市南部の段丘崖の、里山がよい環境で残っている場所で多く観察されています。過去には上飯田や山本・南信濃地区でも確認されています。

 

危機にあった飯田のギフチョウを救った市民活動

『飯田昆虫友の会』発足

昭和60年代、ギフチョウを求めて全国から蝶(ちょう)の収集家が殺到(さっとう)しており、このころからギフチョウの数は急激に減りました。

また、ギフチョウの幼虫の生息地である川路・竜丘地区の里山に、ゴミ焼却場や治水対策事業(※)の土とり場などが計画され、必要な公共事業とはいえ、部分的に生息地が消滅する危機でした。

これに危機を感じた研究者や愛好家が集まり、昭和63年4月9日、昆虫をとりまく自然や環境を語る場として、「飯田昆虫友の会」が発足しました。

保護活動の開始

飯田昆虫友の会は、すぐにギフチョウの保護活動を開始し、ギフチョウ採集禁止の看板立てを行い、11月の地区の文化祭などでその保護を訴えました。

ギフチョウの引っ越し

文化祭での訴えに対して、当時の竜丘小学校の校長先生が協力を申し出てくれました。そして、数年後に公共事業で崩されてしまう里山のヒメカンアオイを安全な場所に移す作業に、竜丘小学校の6年生全員が加わってくれました。この時は約500株が移植されました。ギフチョウには手を加えず、食草だけ移植するという独自の方法は、3年目の春にギフチョウの姿がみられ、産卵が確認されてました。なお、これにはヒメカンアオイの移植を受け入れてくれた、地主さんのご理解があってのことでした。

飯田市天然記念物の指定

飯田昆虫友の会発足と同時にギフチョウを飯田市の天然記念物に指定して保護しようとする動きも始まり、翌平成元年1月、ギフチョウは飯田市天然記念物に指定されました。

広がる保護活動

平成元年からは、竜丘地区の老人クラブや小学校PTA、飯田ロータリークラブなどの団体が協力してくれ、小学生とともに移植作業を行いました。特に老人クラブでは、新たに開始した保護監視活動にも協力してくださりました。

飛んでいるギフチョウを見る会
みるかい
みるかい

ギフチョウについてよく知ってもらうために平成元年から開催され、現在も行われています。

見学・注意事項

○例年、4月上旬に「飛んでいるギフチョウを見る会」が開催され、ギフチョウの特徴や出現場所について案内してくれます。

○ギフチョウの成虫・卵・幼虫・さなぎを、許可なく捕ることは禁止されています。自然のままの姿を観察したり、写真でとらえてみてください。

○駐車は、私有地や通行の妨げにならないようご注意願います。

詳しく知りたい方へ

『飯田市天然記念物調査報告書 1 ギフチョウの棲息分布および食草分布調査』 飯田市教育委員会

『ギフチョウの保護活動と生息環境の保全、古墳の景観保全のための啓蒙』 長野県教育委員会

飯田市立図書館(外部リンク)(外部リンク)でご覧いただけます。