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画文帯四仏四獣鏡

ページID:0050228 印刷用ページを表示する 掲載日:2024年1月19日更新

画文帯四仏四獣鏡(がもんたいしぶつしじゅうきょう) 1枚

区 分:重要文化財(昭和28年3月31日 国指定)

所在地:飯田市上川路1000 開善寺

所有者:開善寺

時 代:古墳時代(六朝時代(※1)

  • ※1 六朝(りくちょう)時代:古代中国で、建康(現 南京市)に首都を置いた、222~589年をいいます。

規模等:直径23.7m 白銅製(※2)

  • ※2 白銅:青銅の一種です。青銅とは銅に錫(スズ)を混ぜた合金で、これに鉛も混ぜられています。青く錆びるためにそのように呼ばれていますが、作られた当初は金色や白色に輝いていました。考古学では、錫を多く含んで白く輝き、硬く割れる合金を白銅、錫の含有が少なく金色に輝き、割れずに曲がる軟らかい合金を青銅と呼び、両者を区別する場合がありますが、一般的には同じ青銅です。なお、考古学以外の一般的には、白銅とは銅にニッケルを10~30%含んだ合金をいい100円硬貨等に、青銅とは銅に錫を含んだ合金をいい、10円硬貨に使われています。

概 要:

古墳時代の銅鏡の優品で、御猿堂古墳(史跡)の出土(※3)です。

  • ※3 異説もありますが、明治時代中頃に付近の住民により発掘されました。

銅鏡

文 様

背面の文様は大きく内区と外区に分けられます。

背面中央の大きな鈕(ちゅう ※4)の周囲に四つの環状乳(かんじょうにゅう ※5)を配置し、これを抱くように虎と竜を配置、その間には1対の三尊像(※6)、一対の二尊像(※6)と合計4組の仏像が配置されています。

その周辺には、細かい珠文(しゅもん ※7)地に、12個の四角い区画と、雲形文が施された半円形の区画が交互に配置され、四角い区画の中は「田」字形に四文されて、次の吉祥句(きっしょうく ※8)が刻まれています(□は判読不可、2説あり)。

□□大吉  子堂子孫  □□□宜  天王□□  君兮石子  宜□長生  吾子皆□  教前明□  □□□得  □□□□  羊呂□□  無□□□  (『下伊那史 第二巻』『伊那谷の文化財 -飯田下伊那の特質を探る-』)

□□□□  □□三□  □□□□  大吉□□  子孫□堂  □□□□  □□天王  百子□□  □生富貴  □□□□  □□□□  □得□仙  (『長野県史 考古資料編 遺構・遺物』全一巻(四))

外区には、三角形を繰り返す鋸歯文(きょしもん)が、その外側は、千人や竜・獅子などの神獣が時計回りに走る区画となっています。縁はやや高くなった平らな縁で、繰り返す菱形の中に雲文を描いています。

  • ※4 鈕:つまみのことです。
  • ※5 環状乳:乳の中央がくぼんでおり、輪のようになった乳(小さな突起)をいいます。
  • ※6 三尊像・二尊像:中央の像の左右に脇侍があるものを三尊像、左右二対の像を二尊像といい、仏の種類やポーズは様々です。
  • ※7 珠文:小さな円の点を散りばめた模様です。
  • ※8 吉祥句:めでたく、良い詩や歌をいいます。

国内の画文帯四仏四獣鏡

本件を含め、画文帯四仏四獣鏡は国内で8面が知られていますが、舶載鏡(はくさいきょう ※9)鏡と仿製鏡(ぼうせいきょう ※10)の両者があります。

本件は文化庁(京都国立博物館)所蔵の金剛輪寺旧蔵の鏡(径24.1cm)と文様の細部まで一致しています。金剛輪寺鏡と同じく舶載鏡であるとする意見と、金剛輪寺鏡に比べ鋳漏れ・鋳崩れ等があることから、金剛輪寺鏡と同氾鏡(どうはんきょう ※11)ではなく、金剛輪寺鏡かあるいは同じ原型を基に作られた踏返鏡(ふみかえしきょう ※12)と考える意見があります。

いずれにしても、本件は古墳時代の銅鏡の中でも大変優れた品質の鏡です。

  • ※9 舶載鏡:日本の銅鏡のうち、古代中国で生産され、日本へ伝わったものをいいます。
  • ※10 仿製鏡:古代中国製の鏡をならい、日本で制作された鏡をいいます。
  • ※11 同氾鏡:同一の鋳型を使いまわして作った複数の鏡をいいます。
  • ※12 踏返鏡:鋳型は通常、砂岩などを削って作りますが、銅鏡を粘土に押し付け型をとって鋳型とした銅鏡を踏返鏡といいます。オリジナルよりも文様が不鮮明となる一方、傷もそのまま写ったりします。

見 学:非公開

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