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姫塚古墳 (飯田古墳群)

ページID:0050117 印刷用ページを表示する 掲載日:2024年1月19日更新

姫塚古墳(ひめづかこふん)

区 分:史跡(平成28年10月3日 国指定「飯田古墳群」)

所在地:飯田市松尾上溝3366-1 他

所有者:個人

時 代:古墳時代(6世紀前半)

構 造:前方後円墳

規模等:

墳丘測量図 墳丘測量図

 ○墳丘;全長40m (後円部径23.6m 前方部幅23.6m)・主軸N60°E(※1)

 ○埋葬施設;横穴式石室(※2) 全長4.2m以上〈玄室(※3)長2.9m 幅1.8m 高さ1.4m、羨道(※3)長1.3m以上 幅1.1m 高さ1.2m〉・主軸真北

  • ※1 遺構の中心線が、北(North)から78度東(East)へ傾いているという意味です。西へ傾く時はW(West)を用います。
  • ※2 横穴式石室:古墳時代の石室には、縦方向に掘られ、蓋(ふた)をした竪穴式石室と、横穴を設けて出入り口とした横穴式石室があります。5世紀代は竪穴式石室、6世紀以降は横穴式石室が用いられました。竪穴式石室が個人を埋葬したのに対し、横穴式石室は入口を開ければ数代にわたり埋葬できます。
  • ※3 玄室・羨道:石室のうち遺体を安置する空間を玄室(げんしつ)といい、玄室へ通ずる通路を羨道(せんどう・えんどう)といいます。

概 要:

石室は後円部の墳丘中ほどに真南に開口しており、開口部には一部後世の石積みがあります。

石室 玄室奥側

石室は、東側のみ袖(そで ※4)をもつ片袖式で、川原石を用いており、持ち送り(※5)の構造がよく現れています。石室内部が赤く塗られていることも特徴です。

  • ※4 袖:玄室と羨道の境が明瞭で、肩のように突き出ている部分を袖といい、無袖式、両袖式、片袖式の分類があります。
  • ※5 持ち送り:石材を内側に傾斜させて積み重ね、最後に天井石を置いて押さえつける石室の積み方です。

せきしついりぐち 石室開口部の様子

ふんきゅう 墳丘

墳丘は、周囲を削平されているものの、前方部・後方部共に残存しています。

出土遺物

○七鈴鏡1

7つの鈴が付いた銅鏡で、江戸時代享保年間(1716~1735)以前に前方部から出土したと伝えられます。

上溝(あげみぞ)古墳群

本古墳を含め、3基の前方後円墳と11基の円墳からなる古墳群です。円墳は現在すべて消滅しています。

松尾地区の様相

前方後方墳(※6)である代田山狐塚古墳が4世紀前半に、羽場獅子塚古墳が4世紀中頃に造られていることが、他の地区と大きく様相が異なります。しかし、その後これに続く前方後円墳は造られておらず、飯田古墳群との間には断絶があることは、他地区と同じです。4世紀から5世紀前半にかけては、弥生時代以来の方形周溝墓(※7)が造られ続けています。

5世紀中頃に、物見塚古墳、茶柄山古墳群などが円墳が造られ始め、周辺から馬や馬具、武具が出土しています。その後、5世紀後半から前方後円墳が造られ始め、代田獅子塚古墳、水佐代獅子塚古墳、茶柄山3号古墳がやや離れた位置に築かれています。

6世紀の前方後円墳は松川右岸の高台に集中しています(上溝古墳群)。6世紀前半に姫塚古墳が、中頃に上溝天神塚古墳が築かれ、後半のおかん塚古墳を最後に前方後円墳は造られなくなりました。円墳も間もなく築かれなくなりましたが、上溝11号古墳の事例からすれば、奈良時代8世紀までは、横穴式石室での追葬(ついそう ※8)が行われていたようです。

松尾地区には、5世紀中頃から馬に関連する集団が登場し、間もなく前方後円墳を造り始めました。石室の特徴からは、6世紀中頃には東海地方との関連がうかがえますが、6世紀後半には畿内との関わりがうかがえます。

  • ※6 前方後方墳:前方後円墳の丸部分を四角に変えた、四角と三角を足したような形の古墳で、古墳時代前期の東日本(東海地方)に多く分布しています。
  • ※7 方形周溝墓:周囲に四角い溝を掘った墓をいいます。弥生時代以来の方形周溝墓は、古墳に比べ盛土の高さが低いことが特徴の一つです。
  • ※8 追葬:一度埋葬した施設へ、後に別の遺体を埋葬することです。横穴式石室は、入口の川原石(閉塞石)を取り外せば追葬が可能です。

書籍等案内:

アクセス・見学・注意事項:

  • 飯田市考古博物館 徒歩30分 車6分
  • JR飯田線「下山村」駅 徒歩9分、「伊那八幡」駅 徒歩12分
  • 信南交通 乗合バス久堅線 「堀割」 徒歩3分
  • 私有地・通行の妨げになる場所への駐車はお止めください。
  • 私有地ですので無断での立ち入りはご遠慮ください。
  • 石室は古代の土木技術で造られており、現在の技術で安全が確保されているものではありません。特に地震や大雨の後は状況をよく確認してください。

周辺の古墳:

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